日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

商品名に込められた思い

2010-06-13 06:23:48 | ビジネス
毎日新聞の不定期連続企画記事「ずーと愛して:ロングセラー物語」。
長い間多くの人に支えられ、愛されてきている(過去形ではない)商品を紹介している記事だ。
この記事を読んで感じることが、企業名や商品名に企業の理念や思いが沢山詰まっていて、その思いや理念がブレていない、というコトだ。

「そろそろこの季節」というコトで、今回取り上げられているのが「大日本除虫菊」だ。
名前を聞いても「???」という方もいらっしゃるかも知れないのだが、「日本の夏、金鳥の夏」と言えば分る方は多いだろう。
日本で初めて、渦巻き型の蚊取り線香を作った会社だ。

我が家では、まだまだ現役として活躍している「蚊取り線香」だが、今では、住宅事情の変化やエアコンの普及、煙や独特の臭い、ペットの関係などで「蚊取り線香」を使うという家庭は減ってきているのではないだろうか?
代わりに、溶液を電気で気化させるタイプなどを利用されている家庭が多いのでは?と、思っている。
今では、スプレー式の1プッシュで一部屋丸ごと、蚊を防ぐというタイプや薬剤などを使わず、電気で集めて殺虫する、というモノもある。

今では「家庭用殺虫剤・防虫剤」のトップ企業となった、「大日本除虫菊」だが、その原点となっているのは、看板商品である「蚊取り線香」にあるようだ。
何より、多くの人にとって企業名である「大日本除虫菊」よりも、「蚊取り線香」の商品名である「金鳥」の方が馴染みがあり、それを定着させたのは、60年代の有名なCM「日本の夏・金鳥の夏」だった。
その商品名である「金鳥」は、中国の歴史書「史記」の一節にある「鶏口となるも牛後となる勿(なか)れ」が由来で
 「小さな会社でも品質や信用でトップでありたいとの決意が込められている」 
と言う。

「鶏口となるも牛後となる勿(なか)れ」は、20年ほど前までは大学の卒業式や企業の入社式などの祝辞として使われたコトバだが、このような思いを持って、「殺虫剤・防虫剤」と言う事業分野だけで、常にトップを走り続けて来たという点は、経営と言う視点では参考にすべき点なのではないだろうか?

バブル全盛期、様々な企業が「多角経営」で、本来の事業領域とは違い分野に手を伸ばし、その後経営不振に陥った企業は数多い。
一つの事業領域でトップを走り続けられ、世界的な企業に成長できたのは、この「小さな会社でも品質や信用でトップでありたい」と言うブレない思いがあるからなのではないだろうか?
そんな気がする。