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W杯とビジネス

2010-06-11 20:07:44 | スポーツ
今日、アフリカ大陸初のW杯が開幕する。
南アフリカの人たちにとって、この大会が様々な面で「南アフリカ」という国を大きく前進させるモノとなれば!と思っているだろう。

ところで、W杯をビジネスという視点で見てみると、実によく組み立てられたスポーツイベントだというコトが分る。
まず、「W杯」というコトバそのものの使い方にも、FIFAが大きく関わってきている。
正しい表記をしようとすると、当然「商標権の使用(=使用許可と使用料が必要)」というコトになる仕組みとなっている。
8年前の「日韓大会」が行われた時、名古屋の某百貨店が、サッカーボールに見立てた重箱のおせち料理を「W杯おせち」として予約受け付けを開始したところ、FIFAからクレームがつき、発売中止となってしまった。
似たようなコトが、「W杯商戦」を見込んだトコロで数多く起きていた。
そして、今回の南アフリカでも同様のコトが起きているようだ。

「オリンピックの商業主義」と言われるようになったのは、「ロス五輪」だが、この成功をが「国際的スポーツイベントのビジネス化」の始まりだったといわれている。
この頃のW杯は、まだまだ開催国と出場国の人たちのサッカーファンにとっての、「最大級のサッカーイベント」でしかなかった。
それが、「スポーツビジネス」として成り立つようになったのは、アメリカ大会の頃からだろう。
正しくは、「アメリカ大会開催を決めた頃から」と言ってよいと思う。

「アメリカ大会開催」が決まった時、欧州の理事からは「サッカー不毛の地で開催するというのは、いかがなものか」と異論が続出したという。
「サッカー不毛の地・アメリカ」と言っても、FIFAランキングでは日本よりズット上だ。
そのアメリカで大会を開催するというコトを決めた背景には、「サッカーが世界で一番競技人口が多く、世界で一番愛されているスポーツである」というコトを、アピールする狙いがあったようだ。
だからこそ、共催というカタチであったけれども、日韓大会が開かれ、今回の南アフリカ大会へと繋がっているのだ。
世界の様々な国々で大会が開催されるというコトは、当然試合を中継する国も増えるというコトになる。
そこで持ち上がったのが「放送権料の高騰」だ。

そして忘れてならないのは、スポンサー企業との関係だろう。
実際、FIFAと契約しているスポンサーは、相当高額な費用を払っている。
それも一つの業種に付き1社という契約。
契約をする企業とすれば、世界中に放送される=広告宣伝効果の高さから、途方もない高額な契約であっても、魅力的な契約でもある。
当然、契約企業はあらゆるモノにW杯のロゴやマスコットなどを使うことができる。
それだけではなく、「W杯観戦ツアーキャンペーン」なども可能となる。
今回の南アフリカ大会で、日本の企業が契約したのはソニー1社だけだ。

結局のところ、FIFAが様々な面で取り仕切るコトで、FIFA自体が大きな収益を上げる大会が、W杯でもあるのだ。
ただ、今回の南アフリカ大会はこれまでとは違う様相を呈するかも知れない。
というのは、これまで開催されてきた国々は経済的にも社会的にも安定をし、ある程度成熟した社会での大会だったからだ。
そのためFIFAとすれば「如何に多くの収益を上げるか」だけを考えれば良かった。
ところが、南アフリカは社会的・経済的に安定しているとは言いがたい。
もしかしたら、この南アフリカ大会がFIFAにとって、ターニングポイントとなるかも知れない。