日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

改めて考えてみたい「お値打ち感」

2010-12-21 13:35:52 | ビジネス
先日何気なくテレビを見ていたら、「今年のヒット商品分析」のようなコトをしていた。

「今年ヒットした商品のキーワードから、ヒット商品の分析をする」と言うアプローチだった。
ところで、今年にヒット商品のキーワードというと何を思い出されるだろう。
その番組で取り上げられていたのは3つ。
1.「激安」
2.「プチ贅沢」
3.「品切れ」
1と2に付いては、何となく分るような気がする。
3の「品切れ」と言うのは、「食べるラー油」など今年「品切れにつき、ご迷惑をおかけいたしております」と言う広告が、掲載された商品が多かった、と言うコトのようだ。

私がこの番組を見て感じたことが、「お値打ち感」と言うコトだった。
単に「お値打ち感」と言うと、「(価格が)安い商品」であったり「大幅割引商品」と言う気がするのだが、もしかしたら「価格以上の価値を感じた」と言うコトが、「お値打ち感」となるのでは?と言う気がしたのだ。

例えば1の「激安」で取り上げられていたのは、牛丼チェーン「松屋」だ。
私自身、あまり外食をしないため「吉野家」も「松屋」にも縁が無い。
ただ「松屋」のテレビCMを見る限り、昔ながら(と言うべきか?)の牛丼ではなく、様々なトッピングや丼サイズを選べるコトで、幅広い客層を掴んでいると言う。
ある意味「お客様メイドの牛丼」のような感じだろうか?
そのような提案のある牛丼チェーンは「松屋」がはじめてだろう。
その結果、1杯280円の牛丼に対して、「300円くらい払っても食べたい」と言う価値をつけるコトに成功しているのだ。

3の「品切れ商品」の中には、お米からパンを作る「GOPAN」が取り上げられていた。
量販店などの店頭に現在も並んでいないので、どのような商品なのか実際に見たことは無い。
ただ、一般的なホームベーカリーの2倍以上の価格の商品でありながら、実際に使っている方は、販売価格の5万円ではなく8万以上の価値があると、インタビューで答えていた。
その理由は、お子さんが小麦アレルギーで市販のパンはもちろん、通常のホームベーカリーで作れるパンでも、食べることが出来ないからだ。
「何もパンにこだわる必要は無いのでは?」と思われる方もいらっしゃると思う。
でも購入された方にとっては「家族揃って、同じモノを美味しく食べるコト」と言うことに、とても高い価値を感じていらっしゃるのだ。
むしろ、そのようなご家庭は増えつづけているのではないだろうか?

もちろん「品切れ」が市場に一種に飢餓感を与え、「なんとしても、手に入れたい」と言う欲望を起こさせると言うコトもある。
だが、作為的に作られた飢餓感では、今の生活者が「価値」を感じるわけではない。
そこには「期待以上のモノ・コト」があって、はじめて「価値」を感じ、「お値打ち感」を得るのではないだろうか?
その意味で「お値打ち感」の意味が、変わりつつあるような気がする。