今週、これまで日本の農業の象徴?とも言える「減反政策」の見直しを政府が発表した。
これまで農家に支払われていた補助金を減らし、「競争力のある農業」への転換を図る、と言う趣旨のようだ。
このことについて、賛成・反対などが既に出ているが、補助金や競争力という視点では無く「美味しいお米と産地」という視点で見ると、チョット変わってくるのでは?と思っている。
「新潟県・魚沼産コシヒカリ」と言えば、誰もが知っている「ブランド米」の筆頭だろう。
最近は、北海道の「ゆめぴりか」や熊本の「森のくまさん」、岐阜県の「龍の瞳」など、新品種のお米の評価も高く、その点から考えれば、日本のお米は「お米」という括りでは語れない程バラエティに富んでいると思う。
「日本産 米」ではなく、「△△地域産××米」という表示が相応しいのが、日本のお米なのだと思う。
一方、ここ数日問題となっているホテル内のレストランで提供される食材の問題。
「魚沼産コシヒカリ」が、ブランド米として注目される様になってから、「本来の魚沼では生産されていない、コシヒカリが『魚沼産コシヒカリ』として、販売されている」という話が、度々出ている。
何となく思うのだが、「軽井沢」という避暑地の名が付くのに、実は「軽井沢という住所では無く、軽井沢周辺」だった、と言うコトがある。人気住宅地でも、同様のことがある。
きっと、そんな感覚で「魚沼近辺産コシヒカリ」が「魚沼産コシヒカリ」として、売られているのではないだろうか?
その魚沼という地域は、山間部にあり夏は1日の寒暖差があり、水が冷たいと言う場所。
日本の銘柄米というか、美味しいお米の産地と言うのは、魚沼のような山間部。
平野部の大規模農業でお米を作っても、美味しい・・・少なくともお米を食べる習慣を持っている人が感じる美味しいお米は、作れないと言われている。
これまでの日本の農業政策、主に米の場合、この様な産地などを考えた政策では無かった様に思う。
減反政策がなくなることで、平野部の農家はその土地にあった作物が作りやすくなるかも知れない。それが野菜や麦、大豆であれば、日本の農業が「米中心から農作物全体」に変わる可能性もある。
その様な状況になって、初めて「国際競争力」ということが言えるのではないだろうか?
そして「安い輸入農作物などが市場に出回れば、日本の農業はダメになる」と言う方も多い。
実際スーパーに並ぶ農作物を見ると、本当に「グローバル」だ。
今の季節、瑞々しいチリ産のぶどうが並び、そのとなりには長野県産のツヤツヤとしたリンゴが並ぶ。
そんな中、値段の安い「椎茸」が売られていた。ところが、買う人がほとんどいない。
いないのでは無く、産地表示を見たとたん売り場から離れる人が多かった。
どうしてなのか?と産地を見ると、食品事故が多い中国産だった。
生活者は「安いから買う」と言う、単純な判断で食品を購入している訳では無いのだ。
「国際競争力を付ける」と言うのであれば、「お米」に縛られるのではなく、地域にあった質の高い農作物の生産、と言う視点で考えていく必要があるのではないだろうか?