日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

ファッションの世界も「地産地消」?

2013-11-15 15:17:55 | ビジネス

ファッションビジネスの話となると、このところ話題になるのはユニクロばかりだ。
それも、ファッションそのものの話題ではなく、業績とか売り上げといった「数字」の話。
肝心なファッションの話となると「・・・」になってしまう。
ユニクロやH&M等に代表されるような「ファストファッション」ばかりが、注目されているのを見ると、ファッション分野の仕事を僅かながらもかじったコトがある私としては、残念というかファッションそのものが、つまらなくなってきているような気がしてならない。

特に、日本人デザイナーの活躍というについては、1980年代~1990年代のような注目度はなく、ミラノから始まるシーズンごとのファッションショーの話題についても、東京の注目度は下がる一方という印象がある。
違う見方をすると、東京から新しいファッションを発信できていない、と言うコトになる。
もちろん、渋谷や原宿などの「カワイイファッション」や「ストリートファッション」、秋葉原の「オタク系」などは、世界でも注目されるファッションなのだが、いわゆる「プロが創りだすファッション」という視点では、随分寂しい状況になっている、と言うのが現実だと思う。

そう思っていたら、実は新しい動きが生まれはじめているようだ。
朝日新聞:日本人デザイナーが拓く、日本の繊維の未来
元々日本で創り出される織物や染色の技術は、世界でもトップクラス。
ジーンズとなるデニムの世界的シェアは、岡山県倉敷市がトップだったと思う。
オートクチュールなどのニットで使われる糸は、日本製が人気だという話も以前聞いたことがある。
そんな日本の繊維産業を支えている多くは、地方の中小企業だったりする。
むしろ手間暇が掛かる作業が多い、この様な繊維産業は効率を求める都市部周辺では無理なのかも知れない。
何より、地方にはその地域独特の織物技術や染色技術がある。
その様な地方に残る高い織物・染色技術を使って、若いファッションデザイナー達が、世界へ出ようとしているようなのだ。

1980年代、世界のファッションを驚かせた日本人デザイナー達は、「日本らしさ」をデザインという方法で表現をした。
そして今世界へ出ようとしている若いデザイナー達は、日本の地方に眠る(?)高い繊維技術で世界を驚かせようとしているようなのだ。
それは「ファッションの地産地消」と言う感覚の様にも思える。
もっともこの場合の「地産地消」とは、地方で生産をし地方で消費するのではなく、消費される様に世界に発信する、と言う意味になるのだが。