日々是マーケティング

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食品偽装表示に思う

2013-11-14 13:40:37 | アラカルト

阪急阪神ホテルのレストランで発覚した、「偽装表示」の問題。
止まるどころか拡大するばかりで、「食材偽装表示」が、外食業界の常識だったのか?と、思わせる程だ。
今日も、名古屋三越のレストランの一部で「食材表示が偽装されていた」と、報じられている。
中日新聞:栄のラシック(※)内2店で虚偽食材
※ラシックとは、名古屋三越の系列の複合ファッションビルで、名古屋三越に隣接している。

今回の虚偽食材として報じられているのは、「バナメイエビ→芝エビ」、「北海道産大豆使用の味噌→秋田県産大豆使用の味噌」という内容。
「バナメイエビ→芝エビ」というのは、他の外食店でも問題になっていた虚偽食材。
一方「北海道産大豆使用の味噌→秋田県産大豆使用の味噌」というのは、初めてのケースだと思う。

「手前味噌」という言葉がある様に、お味噌を自宅で手作りをしていた時代ならともかく、今のように多くの家庭が購入する時代に、秋田県産大豆と北海道産大豆の味噌の違いが分かる人がどれほどいるのだろう?
まして、このお味噌を使って料理を提供していたのは、「金沢の食材をメインとした寿司店」。
「国産大豆使用味噌」と書けば、問題は無かったのか?と言うコトになる。
まるで「重箱の隅をつついている」ような、気がする。

もう一つ気になるのは、虚偽食材として使われていた数々の食材が「悪い食材」として、イメージづけられるコトへの怖さだ。
某冷凍食品メーカーのテレビCMで、以前「バナメイエビ使用のエビ焼売」というものがあった。
パッケージにも「バナメイエビ使用」と、謳ってあった。
「バナメイエビ」そのものは、芝エビの代用的存在だったかも知れないが、「バナメイエビ」には「バナメイエビ」としての美味しさがあり、決して「悪い食材ではない」はずなのだ。
「大正エビ→ブラックタイガー」にしても、料理の本などには「大正エビ、またはブラックタイガー」と記載してある本もある。

牛脂を入れた加工肉ステーキにしても、多くはオーストラリア産牛肉に和牛の牛脂を入れるコトで、柔らかさと旨味を出すことを目的としていて、食材そのものが体に悪い訳ではない。
米国で起きた「BSE問題」以来、オーストラリア産牛肉を購入するコトが多くなったが(と言っても、数ヶ月に1回程度だが・・・牛肉そのものが苦手なので・苦笑)、十分美味しい牛肉だと思うし、柔らかくはないが、しっかり噛むコトで肉の旨味が感じられると思っている。

むしろ「牛ステーキは、柔らかく刺しが均等に入っていなくては美味しくない」という、思い込みなのではないだろうか?
「○○料理に使われるのは、××という食材」という思い込み、と言うべきかも知れない。
もちろん、今回の虚偽表示の問題は、外食店に大きな問題があると思う。
ただ、その背景にあるのは「食に対する思い込み」、と言う気もするのだ。

少なくとも今回虚偽表示に使われた多くの食材は、「悪い食材」ではないし、それぞれ美味しい食材である、と言うコトを忘れてはいけないと思う。