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広告制作で注意したいこと

2022-09-21 17:05:04 | マーケティング

Yahoo!のトピックスに取り上げられていた、ベルメゾンの通販カタログの記事を読んで、改めて広告の難しさを感じた。
共同通信:千趣会、ナチス本写真掲載で回収 通販カタログ「ベルメゾン」 

実は、この問題になった「ベルメゾン」のカタログが、我が家にもあった。
問題となったページを見ると、いわゆる洋書の古本で、本のタイトルには「ナチス」という文字は無い。
「第三帝国の建築」というタイトルの本で、しかも英語ではない。
表紙を見る限りでは、海外のオシャレな通りや建物を、紹介しているような感じだ。
語学に堪能であれば、わかったかもしれないが、そうではないスタイリストさんでは、気づくことは無いと思う。
当然、千趣会側も気づかなかったのでは?という、気がしている。

その一方で、ヒットラーがかつて自分が住んでいた、オーストリアのリンツの都市計画を立てていた、ということが分かっている。
この話を知ったのは、数年前に「アルスエレクトロニカ」というイベントを中心にした、街づくりというテーマの市民公開講座だった。
元々工業都市として発展してきたリンツは、「公害の街」として知られるようになった。
そして産業構造の変化により、街の高齢化が進み「人が住みにくい街」となる。
その「住みにくい街」を、「自然と文化(特に科学)が融合できる街づくり」に変化させていく為の起爆剤となったのが、「アルスエレクトロニカ」という、科学を中心としたイベントだったのだ。
Huffpost:アルスエレクトロニカとは?オーストリアの都市・リンツが「文化都市」として蘇った理由

この話の中で、講師をされていた方が見せてくれた「都市模型」の写真が、まさにヒットラーが考えたリンツの都市計画だったのだ。
それほどヒットラー自身は、都市計画や建築等に興味を持っていた、ということなのだ。
建築や都市計画ではないが、ヒットラーは若い頃ウィーンの美術学校を受験し、失敗をしている。
この時の美術教師の一人が、クリムトであり、受験生の中でトップの成績を収め入学したのが、エゴン・シーレであった。
この美術学校の受験に失敗した話は、比較的有名な話なので、ご存じの方も多いと思うのだが、「リンツの都市計画」については、建築等を専攻していた経験のある方ならともかく、多くの人は知らない話なのでは?という、気がしている。

ただ、広告では「知りませんでした」では、許されないこととなってしまう。
今回の千趣会の通販カタログは、その一例だろう。
と同時に、広告に携わるクライアント側も、撮影時に立ち会う時には、もう少しリスクの少ない写真集等を使うという配慮が必要だったのかもしれない、という気がしている。
そのためには、「社会の変遷」ともいえる「歴史」の分野の知識も必要なのだ。
私のようにそれなりの年齢になり、自分がリアルタイムで経験した社会的問題等は知って当然であっても、それらの社会問題が「教科書の中にあった(=歴史の出来事)」という若い世代では、受け止め方も違うし、問題意識も当然違う。

今回の件は、「知らなかった」ということが。このような問題となったわけだが、広告に携わるということは社会的問題となったことの周辺的知識も過去のモノとしてとらえず、考える必要がある、ということを示しているような気がしている。







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