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「新型出生前診断」、施設の充実よりも先に考えることがあるのでは?

2018-02-14 23:14:02 | アラカルト

朝日新聞のWEBサイトに、「新型出生前診断」が受けられる施設拡充の記事が、掲載されていた。
朝日新聞:妊婦血液からDNA分析、新型出生前診断の施設増を検討

「妊娠中に、胎児の情報を得たい」と考える、女性は少なくないと思う。
万が一、何等かの障害を持って生まれてくることが分かれば、それなりの対応ができる、と考えるご夫婦もいるだろう。
反面、そのような情報を得たことで、出産をするのか堕胎をするのか悩むご夫婦もいるだろう。
特に日本の場合、生涯をもって生まれた場合、親御さんにかかる負担は大きい。
それだけ障害者を受け入れる施設も少ないという問題もあるが、障害者が経済的な面も含め自立した生活ができる、という環境も整っていない、という問題も大きいのでは?と、思っている。

それだけが問題なのか?と言えば、むしろ「出生前診断」そのものに対しての理解が、十分にされていないのでは?という気がしている。
日本で行われている「出生前診断」でわかるのは、「染色体異常」の3つの障害だけだ。
その3つの「染色体異常」だけが、先天的な障害ではない、ということは多くの人が理解していると思っている。
まして昨今話題となっている「発達障害」などは、この「新型出生前診断」ではわからない。
むしろ、出産時にはわからない様々な障害を持って生まれてくる子供たちのほうが、多いのではないだろうか?

現在の「新型出生前診断」で判明する「染色体異常」による障害についても、私を含め多くの人たちは理解できていないように思うのだ。
だからこそ、障害者に対しての偏見のようなものがあるわけだが、まず先に取り組まなくてはならない問題というのは、そのような理解と教育なのでは?という気がしている。
そのような教育が十分にされないことで、不利益を得てしまうご夫婦も少なからずいらっしゃるだろう。

「ヒトゲノム」が解析され、徐々に「遺伝子」が関わる病気が分かるようになってきた。
海外、アメリカなどでは「染色体」ではなく、DNA=遺伝子レベルでの「出生前診断」が一般的になりつつある、と正月休みの時に読んだ「遺伝子医療革命」の中にあった。
それだけの診断が可能になってきている背景には、「ヒトゲノム」の解析ができるようになったことで「一人ひとりにあった遺伝子レベルでの治療(=精密化医療)」への期待があるからだろう。
そして日本でも、早晩「遺伝子医療」が行われるはずだ。
京都大学の山中教授の「iPS細胞」研究から起こる移植治療や、創薬による治療がまさしく「遺伝子医療」の一つだからだ。

科学がどんどん進み、その科学の恩恵にあずかるはずの生活者が、知識も理解もできていないというのは、生活者にとって大きな不利益となるはずなのだ。
そう考えた時、「新型出生前診断」をはじめとする、医療診断全般の知識が得られるような環境づくりのほうが、施設増設よりも急務のような気がしてならないのだ。






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