しばらく前の朝日新聞のWebサイトに「マーケティングとは」という、インタビュー記事が掲載されていた。
朝日新聞:マーケティングは「エッセンシャルワーク」 啓発団体トップの思い (有料会員記事)
インタビューに答えている方は、元三菱東京UFJ銀行副頭取をされていた小笠原剛さんで、中部マーケティング協会の会長をされている方だ。
マーケティング協会というのは、商工会議所内と関連が深く、名古屋の場合名古屋商工会議所の中に事務所がある。
実は会社員時代、中部マーケティング協会の勉強会に何度か、参加させていただいたことがある。
このインタビューは年に1回開催される中部マーケティング協会が主催するセミナーなどでも最大規模の「マーケティング会議」を前にしてのインタビューだったようだ。
この記事の中で、インタビュアーが「マーケティングのイメージが、人によってバラバラ」と話している。
仕事をしていて、この「イメージがバラバラ」ということを、実感することは度々あるのも事実だ。
ただ「バラバラのイメージ」のすべてが、「マーケティングの仕事」だともいえる。
というのも、ドラッカーの「マーケティングの4P」が、これらすべてに当てはまるからだ。
拙ブログに来てくださる方なら「マーケティングの4P」が、何を指しているのかご存じだと思う。
製品が市場に出て、生活者に買ってもらう為に必要最低限なことだからだ。
と同時に、ドラッカーは「マーケティングはビジネスの基礎知識」だとも、言っていた。
企業の経営者から新人、最近ではアルバイトなどの非正規雇用者に至る、ビジネスにかかわる人たちすべてが、持つべき知識である、とドラッカーは言っているのだ。
にも拘わらず、日本では「マーケティングは、広告代理店の仕事」のように、思いこんでいる部分がある。
そのため、広告代理店に仕事を依頼するにしても、依頼した広告代理店から出てきた企画や調査結果を理解し、判断を下すのは依頼をした企業側であるにも関わらず、その判断ですら相手に丸投げしているような企業は少なくない。
ドラッカーの言う「ビジネスの基礎知識」としての「マーケティング」という視点になると、この小笠原さんの話している通り「ビジネスにかかわる誰もが持つべき知識である=エッセンシャルワーク」ということになる。
このような話になると、「Webマーケティングは旧来のマーケティングの手法では対応ができない」などの意見が出てくるのだが、マーケティングそのものは、「生活者に視点を置いて考えること」なので、時代が変わろうと市場がWebを経由したものであろうと、基本は変わることがないはずなのだ。
にもかかわらず、書店には目新しい「〇〇マーケティング」というタイトルの本が、次々に登場している。
まずそこから、考えなおす必要があるのでは?ということなのだ。
Webであろうと実店舗であろうと、サービス業であろうと「生活者に視点を置く」ということには、何ら変わりは無いのだ。
問題は「自社が生活者に対して、どう考え・何を・どのように提供し・告知をすればよいのか?」ということを、考えつくしているのか?ということなのだ。
今のような「社会不安が強い時、生活者は何を求めているのか?」と「それにどう応えることができるのか?」ということを考えるのは、その企業(本来は企業だけではなく、行政にかかわる人たちも含めてなのだが)のトップから現場に立つ人たちまで考えるべき問題である、ということなのだ。
その考えが「マーケティングはエッセンシャルワーク」ということになるのだ。
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