日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

仕組みを変える時が来た?

2012-10-21 19:05:34 | アラカルト
「iPS細胞移植」の虚偽騒動は、落ち着きそうな雰囲気になってきた。
この事件で「大学研究」という、閉ざされた世界の問題も浮き彫りになったような気がした。

渦中の人物の経歴もどうやら眉唾モノだったようだが、それを信用してしまった大きな理由は、「国内外の有名大学の名前」と言うコトもあったのではないだろうか?
言い換えれば「大学のブランドバリュー」が、嘘を信用してしまった、と言うコトだ。

その様な状況を懸念するように、先日山中教授は「有力な先生に師事しているから、などの理由で評価されたり、昔の実績で永久的な評価を受け続けるコトには、疑問がある。評価に対する仕組みを変えるべき」という趣旨の考えを話している。
この内容は、研究者同士の話だけでは無く社会もその様に見て欲しい、と言うお気持ちがあってのことだろう。

この山中教授のお話を知った時、大学側も積極的に情報を発信し、大学の研究に広く興味を持って貰う必要性があるのでは?と思ったのだ。
今回の事件では、渦中の人物が新聞各社に情報を流し、記事になった。
もし大学側が積極的に、研究成果をHPなどで発表していたなら、この様なコトもおきにくかったのではないだろうか?

HPのような、全世界に情報を発信するコトで、研究の進捗状況が判ってしまうと言うデメリットはあるが、ゴール地点が見えてきた情報の発信であれば、そのデメリットのいくらかは解消されると思う。
それだけでは無く「産学協同」というカタチでの、協力体制もしやすくなるのではないだろうか?
今の「産学協同」の場合、大学側がパートナーとなる企業探しを一生懸命しているのでは?と感じるケースも多々あり、研究に費やす時間と能力のロスを産んでいる様に思えてくるのだ。
難しいのであれば、文科省と経産省が一緒になって、大学での研究と企業の共同研究を後押しするような、情報交換の場を作るコトはできないのだろうか?
その中には研究に参加できなくても、中小企業などが得意とする技術を活かして、研究器具の製作という、基礎研究のサポート事業というコトも考えられると思う。
ひとつひとつは小さなトコロであっても、それらをネットワーク化すれば大企業にも負けない、特化した組織ができると思うだ。

基礎研究の中心は大学、その応用研究は企業、それらをネットワーク化した特徴有る中小企業が支える、と言う「オールジャパン」の発想で世界をリードする位の考えを持って、大学側も積極的に情報を発信し、省庁の枠を超えて国が後押しをするようなシステム作りの必要性な時代になってきているように感じるのだ。

景気が良いのはパチンコ業界(だけ)?

2012-10-20 20:42:23 | アラカルト
昨年の「地デジ化」に伴い、我が家からは「テレビ」が無くなった。
正しくは、地デジが受信できない壊れたテレビが残った、と言う状況にある。
元々壊れかけたテレビで、「地デジ化」以前からテレビが見られない状況にあり、「地デジ化」されてもさほど、困った!と言う状況では無かった。
強いて上げると、「テレビCM」が見られなくなった、と言うのが困ったな~、と思うくらいだ。

逆にテレビが見られなくなって、清々したと言うコトもある。
それは、夕方以降の時間で流れるパチンコのローカルCM。
実家に帰省した折りに見る、山陰ローカルのパチンコ店のCMは毒々しい映像ではあっても、静止画像。
音声もうるさいとは思うが、時間も短く何より頻度が余り多くない。
「多くない」と言っても、名古屋に比べると、と言う条件付だが。

ご存じの方も多いと思うのだが、パチンコは名古屋が発祥の地とされている。
そのためだろうか?本当に名古屋のパチンコ店やパチンコの機械のテレビCMは本当に多い。
多いだけでは無く、ミュージカル仕立てのCMなどもあり、時間も手間ももちろんお金も十分かけたテレビCMが、流れていた。
とは言うものの、基本はパチンコ店や機械名の連呼。
実にコレがうるさいのだ。
だから、テレビが見られない=パチンコのCMを見なくてよい、と言う気持ちの良さがあった。

ところが最近、Yahooのポータルサイトの広告表示に、そのパチンコの機械のCMが表示されるようになった。
それも1日の内、相当回数見るコトになってしまった。
現在、テレビCMそのものは、やや頭打ちという状態になっていると思う。
と言うのも、テレビ番組を視聴する人が減ってきているコトや、「地デジ化」以降テレビそのものを持たない人も増えているからだ。
以前から、テレビCMの最後に「続きはWEBで」というコメントを流し、YahooなどのポータルサイトのテレビCMからYahooなどのポータルサイトに誘導させる、と言う内容だった。
ところが昨今の景気の悪さ(?)からだろうか、コレまでその様なCMをポータルサイトで流していた企業が減ってきている様に感じている。その「埋め合わせ」とばかりに、最近はパチンコ機械メーカーのCMが俄然多くなってきたようなのだ。
それも、名古屋ローカルで流れているような、毒々しく派手な印象のCMだ。

この様な、テレビCM以外で流れるCMを見ていると、業績の良い業界とそうでは無い業界がハッキリしてくるように思う。
パチンコ業界の他に目に付くのがソーシャルゲームと呼ばれる、ネットゲームを提供している企業だろう。
とは言うモノの、ネットゲームは元々インターネットが使える環境がユーザーの条件なので、以前から相当量のCMを見ていたように感じる。
それに対して、パチンコ関係のCMは、この夏ぐらいから急激に増え始めた様に感じるのだ。

そう考えると、今の日本で元気があるのは「遊興関係」ということだろうか?
本来であれば、脇役であるはずの「遊興関係」が元気なのも、考えモノと言う気がする。





中年期の男性も、ファッションは気になる?

2012-10-18 18:54:32 | ライフスタイル
最近、週末の新聞などに掲載される「ファッション指南」の記事を見ていて、気がついたコトがある。
それは、男性向けの記事が増えてきている、と言う点。
以前は「ファッション=女性」という内容が多かったのだが、最近は決してその様な訳でもないらしい。
特に、この週末の新聞記事で掲載される内容を読んでみると、若い男性向けというよりも、ある程度ビジネス経験を持った、40代以上の男性を対象としているという印象を受ける。

確かに、最近の若い人たちを見ていると「ファッションに規制はない」という気がする。
数年前に話題となった「腰パン」も、今ではすっかり街中に溶け込んでしまった感がある。
特に高校生や大学生の間では、当たり前という感じもする。
個人的には「・・・」なのだが、それもまた時代というものなのだろう、と思っている。

それが就活に入ったとたん、制服の様に一斉に同じ色・同じカタチのスーツに身を包んでしまう。
この姿もまた「・・・」な印象を持ってしまう。
せっかくアピールをする場なのだから、自分にあった色のシャツやネクタイなどで、変化を付けて欲しいのだ。
それは、女性でも同じなのだが。

その様な「通過儀礼的ファッション」を経験し中年期近くなると、男性の場合すっかり落ち着いたというか、定番化したファッションしかしなくなってしまう。
二昔前なら、「ゴルフファッションのおじさんスタイル」だ。
ゴルフポロシャツ(風)にスラックスというのが、一般的だった。
出かける時は、その上にジャケットを羽織る・・・。
さすがに今の40代~50代の方は、その様なファッションをしていない。
「手本となるおじさんファッション」が無い、と言うのが現状なのかも知れない。

と言うのも彼らは、10代の頃「ポパイ」や「ブルータス」などの男性向けファッション誌が次々と創刊され、その影響を受けてきた世代でもある。
もちろん、健康に気をつけているので二昔前の「おじさん体型」では無い、と言う人が多いと言うのもこの世代の特徴かも知れない。
ところが、社会に出てその様な雑誌と縁遠くなると、「お手本」となるモノが無くなってしまうのだ。
何より「今更ファッション誌なんて・・・」と言う気持ちもあるだろうし、「チョイ悪おやじ風」のファッションは、一般的サラリーマンには似合わない。

ファッション誌がお勧めする、ファッションそのものを受け入れにくい、と言うコトなのだと思う。
でも、生活にやや余裕が生まれてくると若い頃に楽しんだファッションも気になる・・・。
そんな世代が、今の40代~50代の男性なのかも知れない。
だからこそ、新聞の週末にその様な連載ファッション記事が登場する様になったのかも知れない。


マーケティング思考のトレーニング?

2012-10-17 11:32:14 | トレンド
朝夕、随分肌寒く感じられる様になってきた。
コンビニのレジカウンター近くも、すっかり「冬バージョン」になっている。
そんなコンビニのスナック売り場を見ていたら、「キティちゃん」の中華まんがあった。

可愛らしい「ハローキティ」の中華まん。
中身の具材が気になって確認をすると、何と肉まんだった。
私の中では、具材はデザート系かピザなどのチョッと洋風なイメージだったのだが、肉まんというのはチョッと驚き、といかキティちゃんのイメージでは無いな~と言う気がした。

コンビニの中華まんというのは、毎年各コンビニが新作が出る。
時には、1,2ヶ月ごとに「期間限定」で、販売するコトもあったように思う。
他にも有名シェフや料理の鉄人監修の中華まん、と言うのもあった。
ここ2,3年は、どちらかというと「こだわりの具材」というチョットだけプレミアム、と言う中華まんが人気だった。
それほどコンビニにとっては、おでんと並ぶ主力商品のひとつが中華まんなのだ。

その新作として「ハローキティの中華まん」が、登場したのだが・・・。
この「ハローキティの肉まん」を購入する層は、一体どんな層なのだろう?と、改めて考えてみた。
少なくとも、ビールのつまみ代わりに買うと言うコトはなさそうだ。
ハローキティが好きな層と言えば、やはり女性だろう。
女性が、肉まんを買うか?と言うと、案外昼食代わりに購入する女性は多い。
「ダイエット中」と言うコトで、夕飯を肉まんで済ませる若い女性もいるようだ。
問題は、可愛らしいカタチのキティちゃんを、カプリと食べられるのか?と言う点。
中華まんなのだから、当然食べるはずなのだが・・・やや抵抗感もあるか?

とすれば、男子中高校生はどうだろう?
彼らはキティちゃんそのものには余り興味はなさそうだが、話題性という点では興味があるだろう。
食べ盛りの彼らのことだ、学校の帰りなどにコンビニに寄って500㎖の紙パック飲料とともに、豪快にかぶりつくかも知れない。
なんと言っても「肉まん」なのだから。

マーケティングのトレーニングの一環として、そんなコトを考えながら、コンビニのキティちゃんを眺めていたのだった。



「iPS細胞移植」虚偽報道に思う

2012-10-16 15:14:24 | アラカルト
先週初め、日本を湧かしたのは京都大学の山中教授のノーベル賞医学・生理学部門での受賞だった。
それから程なく、一部のメディアが「iPS細胞を使った移植手術が成功」という報道があった。
この報道で、益々「iPS細胞」に対しての注目度が高まったのだが、「移植手術」は虚偽だった、と言うコトが判ってきた。

一番問題すべきは、この虚偽の「移植手術をした」と言った人物だが、メディアには責任が無いのだろうか?
と言うのも、この人物の研究分野が余りにもバラバラだったからだ。
記事にする時には、ある程度の人物紹介のような内容もされるコトが一般的だと思うのだが、その「人物紹介」の記事を書くとき、略歴だけでは無く研究内容も調べるのでは?
「凍結保存」の研究をしている人が、「iPS細胞」の研究をしているとは、素人目から見ても無いと思う。
それほど、簡単に研究分野を乗り換えるコトができる、研究はどのような分野でもありえないと思う。

その様な基本的な情報の収集と確認を怠ったのは、報道した新聞社などの問題だと思うが、報道しなかった新聞社の記事を読んでみても、「何だかな~」という気がするのだ。
一言で言うと「してやったり」という雰囲気が漂うからだ。

以前、スポーツライターをされている方のお話を聞いたことがある。
その方は、長い間スポーツ紙の記者をされていた方で、(新聞社から)記者に求められるコトのひとつに「スクープ」が有る、でも、「スクープ」が誤報となるコトもあるので、確認をするという作業は、手間でも最低限必要なこと、と言うお話だった。

そして、渦中の人物が海外から帰国してきたことで、虚偽の内容を報道してしまった新聞社も含めて、一斉に渦中の人物を悪者扱いにしている。
確か責められるべきコトではあるが、報道した側の責任は訂正文のようなものだけで終わりで良いのだろうか?
「スクープ合戦」の結果、必要最低限の確認作業を怠った為に、起きてしまった事件という責任のようなモノは無いのだろうか?

日本の自然科学の報道は、海外のサイエンス誌などの論文を元にした内容が多い、と言う指摘がある。
「論文」そのものには問題がなくても、その内容がマウスレベルの実験であったとしても「直ぐに実現可能」という印象を与えてしまう記事も少なく無い。
その様な報道のあり方も、本当は問題なのでは?
今回は、渦中の人物自らが持ち込んだ内容だったからこそ、報道する側の確認作業が重要だったと思う。
そのコトを棚に上げて、渦中の人物を責めるメディアの姿には、とても違和感を感じるのだ。

「医療向け美容」と言う市場はできるか?

2012-10-15 16:48:18 | マーケティング
昨日、名古屋で開かれた「ピンクリボンフェスティバル シンポジウムin名古屋」に出席した。
イベントとしての「ピンクリボン」には、やや疑問を感じるトコロはあるのだが、シンポジウムなどで、臨床の現場で活躍をされている医療関係者からお話を伺う、と言うのは患者にとっても有意義なコト。
そのため、私も乳がん患者のひとりとして積極的に参加をしている。

そのシンポジウムの中で、出席をされていた乳腺外科の先生から、こんなお話があった。
「抗がん剤などの化学療法を受けている患者さんは、爪が黒ずんだり割れやすくなったりする」というお話だ。
私は幸いなコトに、外科的治療(=手術)以外の治療を必要としないほどの早期だった。
そのため、「ホルモン療法」も「抗がん剤治療」も受けていない。
もちろん「ホルモン療法」や「抗がん剤治療」などの知識はあるのだが、治療を受けていない分、その辛さ・苦しさなどは判らない。
そのため、「抗がん剤治療中の患者さんの爪の状態」など、知るよしも無かった。

丁度同席をしていた「乳がん看護認定看護師」の方が、「マニキュアをして、爪を保護して下さい」というコトをお話をされた時、思ったコトが「医療美容」というコトだった。
その様な言葉が有るのか知らないが、美容整形など「美しくなるための医療」ではなく、「医療を受けるための美容」という視点での「美容」となると、日本は二の次三の次となっているような気がしたのだった。

例えば「抗がん剤」による副作用で脱毛をした時、一般的には「医療用かつら」をイメージすると思う。
しかし「医療用かつら」を利用する期間は、僅か半年~10ヶ月程度。
その短い期間の為に「かつら」を躊躇する人も、少なく無いのでは?
それだけはなく、副作用による脱毛というのは、頭皮だけではない。
眉毛やまつげ、体毛総てが抜け落ちる。
コレは、女性でも男性でも同じだ。
「眉毛のない顔」というのは、相当「怖い印象」となってしまうのは、想像できると思う。
また「癌」に限らず、何らかの手術をした痕がケロイド状になっても、我慢をしているという方もいらっしゃるのでは?

何故、この様なコトが余り問題とならなかったのか?と言えば、「病気なんだから」というコトで、治療を優先する余り心のケアを医療者側も、患者側も重視してこなかった、と言うコトが大きいと思う。
しかし「抗がん剤」などの進化により、治療をしがら仕事をすることが十分可能となりつつある。
医療の現場でも、盛んに「患者のQOL」というコトを言い始めているが、実態として伴っていない、と言う面がクローズアップされてきている。

「爪の変色やもろくなる」というだけでは無く「脱毛による容姿の変化」や「顔色の悪さ」、「術後のスキンケア」など医療的面からみた「美容」というコトもこれからは必要となっていくのでは?と、感じたのだった。


マスクも進化する

2012-10-13 19:28:22 | トレンド
ここ2、3日、朝晩は急に冷え込む様になってきた。
寒くなると、やはり風邪などが流行する。
ドラッグストアーの商品棚も、すっかり秋から冬向けの商品が目立つようになった。
最近はマスクなどは通年商品という扱いのようだが、それでも入荷量が随分増え、商品もバラエティーに富むようになった感がある。

数年前のマスクのトレンド(?)は「ぬれマスク」だった。
私も冬場愛用しているのだが、のどが乾燥しないのでなかなか良い、と感じている。
その後、「マスク」とはいうものの形状は「マスク」ではない、直接鼻に挿入しウィルスや花粉の侵入を防ぐタイプ、鼻に薬剤を塗るタイプなど、イロイロな形状のマスクが登場している。
形状では無いが、マスクにスプレーをすると除菌をし抗菌効果がアップする、と言う補助的商品も昨年あたりから発売される様になってきた。
他にも睡眠時ののどの乾燥を防ぐ「おやすみマスク」という、商品もある。

そんな「マスク」の商品棚で、全く新しいタイプの「マスク」を見かけた。
鼻に薬剤を塗ったり、直接鼻に挿入するタイプでは無い。
「ネームホルダー型エアーマスク」という商品だ。
今や企業だけでは無く、何らかの団体に属している方であれば「ネームホルダー」は、必携だろう。
「ネームホルダー」が無ければ職場に入るコトすらできない、と言うのが現状ではないだろうか?
その「ネームホルダー」に、薬剤の入った「サシェ」を入れ自分の周囲の空間を除菌・抗菌するという、コレまでとは全く違った発想の商品。
持続期間も約2ヶ月、と使い捨てマスクを毎日ゴミとして捨てていたコトを考えると、エコでもある(価格としては、割高感はあるが)。
何より「マスクをする」という、不便さが無い。
日頃眼鏡をかけている方(私もそうなのだが)にとっては、「眼鏡が曇る」という煩わしさが無い、と言うのは大きな魅力だと思う。

その様に考えると、時代というか生活の変化によって、随分変わってきた様な気がする。
「ガーゼマスク」は未だに健在だが、「ガーゼマスク」をしている人は余り見かけ無いのでは?
おそらく主流となっているのは「サージカルマスク」と呼ばれる、医療用として作られた不織布のマスクだと思う。
それも、女性向けにパステルカラーのものや、眼鏡が曇らない工夫がされていたりする様になってきた。
しかし、「マスク」そのものが目立ってしまうし、女性の場合お化粧などの関係もあり、余りしたくない、と言うニーズがあった。
それが「鼻に直接薬剤を塗る」とか「直接鼻に入れる・ノーズマスク」という、「マスクのようでマスクでは無い」という、タイプのものが生まれたのだとおもう。
使用感や薬剤を塗る手間などもあり、現在一般的になっている「サージカルマスク」より、ヒットはしなかったようだが。
そして働く人の必携となった「ネームホルダー」に装着する、と言う形へと進化した。

「ネームホルダー」がこれほどまでに「必携」とならなければ、おそらくこの様な商品は生まれなかっただろう。
そう考えると「たかがマスク。されどマスク」。
社会や生活の変化が、商品の形状を変え進化させるのだと感じるのだった。

100円ショップも脱中国?

2012-10-12 18:49:18 | ビジネス
今日、久しぶりに近所の100円ショップに出かけた。
お目当ての物は、品切れだったのだが売り場を歩いてみて、チョッとした変化に気づいた。
それは、製造国の変化だ。

ご存じの通り、100円ショップと言えば製造国の大半は中国。
ところが、最近はベトナム製などの表示も増えつつある。
そして今日、何気なく見つけた「クッキングシート」は、何とドイツ製だった。
このところのユーロ安と言うコトもあって、輸入が可能となったのかも知れないが、コレにはチョッと驚いた。

考えてみれば、デンマークの100円ショップこと「タイガー」がこの夏、日本に進出した。
100円ショップといっても、厳密には100円~1,000円くらいの値幅がある商品ラインナップとなっているのだが、その北欧らしいポップで、遊び心のあるカラフルなデザインで、大人気になっている。
もちろん、タイガーと我が家の近所の100円ショップとを比較するのは大間違いだが、タイガーの進出をきっかけに、従来の100円ショップも変わらざる得ないのかも知れない、と感じたのだった。

その傾向は既に現れていて、100円ショップの「ダイソー」や「キャンドゥ」のような、日用雑貨から文房具、キッチン用品もあればガーデニングやDIYなどの工具など幅広い品揃えをしているトコロや、「セリア」の様に若い主婦層を中心に考え、手芸用品やキッチン用品でもお菓子作りの道具などに力を入れているトコロもある。
とすれば、何でも中国で製造するコトが良い訳ではない、と言うトコロに行き着くのも自然なコトかも知れない。

アジアの中でも、エスニックな手工芸を得意とする国や地域があれば、日本でデザインなどの企画を作り、その国や地域で生産した方が特徴的で、チョッと変わった物ができるだろう。
むしろ、大量に仕入れるのではなく小ロット総て買い取りと言う条件で、仕入れ値を下げながら、コレまでとは違う商品を販売するコトも可能となるだろう。
当然だが、「売り切れごめん」というコトになるし、それが話題を呼び人気となるコトもあるだろう。
その「売り切れごめん」で人気を呼んだのが、「タイガー」でもあったのだ。

その様に考えると、今や100円ショップと言っても100円の商品ばかりでは無いし、むしろ「安価」だけを売りにできる時代でも無い、と言うコトかも知れない。
とすれば、人件費だけ安い生産国では無く、もっと違った付加価値できる要素のある国で、100円ショップに似合う物ができれば良い、と言うコトになる。
100円ショップの「脱中国」というのは、その様な事情も有るのかも知れない。





大きなニュースにならない、凄い新商品

2012-10-11 18:42:29 | マーケティング
このところ元気がない、日本の家電メーカー。
確かに、海外では薄型液晶テレビなどはサムソンに完敗状態。
国内では何とか・・・と言うトコロかも知れないが、昨年の「地デジ化」による爆発的なテレビの買い換え需用によって、「地デジ化」以降はパッとしない。
起死回生だったはずの「3Dテレビ」も、普及しそうな雰囲気はない。
白物家電は、まだまだそれなりの売り上げが有る様だが、そもそも「地デジ化」の様な爆発的な売り上げは期待できない、と言うのが現状だろう。

そんな家電業界だが、ひっそりと凄い商品が新発売される様だ。
それがソニーの「ワンセグ放送が聴けるラジオ」だ、
以前、ソニーは「ワンセグチューナー付AM/FMラジオ」という、小型テレビ付ラジオを販売していた。
その代わりとなる商品という印象があると思うのだが、今回の新商品は「テレビを見るコトができない」仕様となっている。

それが何故凄いのか?と言うと、「地デジ化」によって視覚障害者の方たちが楽しんでいた「テレビを聞く」コトができなくなり、その不満というか問題を解決する為に作られたラジオだからなのだ。
「視覚障害者」と言うある意味限られた市場を考えたとき、多くの企業は二の足を踏むと思う。
でも、家電メーカーとして社会的責任というコトを考えれば、いずれ何処かの家電メーカーが作る必要があった商品。
その商品を、ソニーが作ったと言うコトに、意味が有ると考えるのだ。

ソニーとしては、以前「ワンセグチューナー付ラジオ」を製造・販売していたコトから、技術的には大きな問題が無かったかも知れない。
しかし大きな市場が見込めないコトに対して、躊躇するコトもあったと思う。
それでもあえて、その様な商品を作り・販売をする、と言うことは企業として、とても重要なコトだと思うのだ。
なぜなら、企業は社会の中でしか生きられない組織であり、団体だからだ。
その社会を構成しているのは、健常者だけでは無い。
身体的ハンディを持った人たちもまた、社会を構成する重要な存在だ。
その様な人たちに対して、どのように考えているのか?と言うひとつの答えとして、この様な商品の開発があり、生産・販売があると思う。

決して、大きなニュースになるような新商品では無いし、社会に大きな変化を与える商品でも無いかも知れない。
それでも、この様な企業姿勢が現れる新商品は、とても大切で凄い商品だと考えるのだ。

ところで・・・東日本大震災の時、テレビよりもラジオのニュースのほうが、役だったと言う
コトがあった。
とすれば、このラジオのもう一つの位置づけは「(地デジ)テレビ放送が聞ける、防災ラジオ」というコトも考えられると思う。

基礎研究の基金を、産業界全体で

2012-10-10 19:51:09 | アラカルト
京都大学の山中教授の研究「iPS細胞」がノーベル賞・生理学・医学賞を受賞したコトで、この分野の研究費の国の支援が決まりそうだ。
そのコトは、とても良いコトだと思う。
なぜなら、「iPS細胞」の研究はこれから益々盛んになっていくだろうし、何より「未来への投資」となるからだ。
今まで山中教授は、研究資金を得るため自ら資金集めに奔走されていらっしゃった、という苦労話を聞けば、なおのこと良かった!と思う。

ところで、日本の場合この様な基礎研究に対して、産業界全体が支援するというシステムが無い様な気がしている。
基礎研究をないがしろにしているとは思わないのだが、もっと産業界と大学が近くなっても良いのでは?と、思うのだ。
日本の企業の場合、「大学の卒業証書は重要だが、その内容については問わない」という傾向がコレまで強かった様に思う。
特に理工系の分野では、学生時代に研究したコトとは全く関係の無い仕事に就くことも、当たり前の様にある。
もちろん、企業側としては「様々な経験を積ませる」という目的が有るとは思う。
思うのだが、その様な考えがあったのは20年くらい前の話で、今はとてもその様な余裕すらないのでは?
また、「大学院を卒業したけど就職先が無い」と言う就職浪人が多いのも、日本の特徴だと言われている。
せっかく大学院でより専門的なコトを学んできているはずなのに、それが活かされるコトも無く終わる、と言うのは社会的資産という視点で考えると、勿体ない様な気がするのだ。

と言うのも、このところ拙ブログで頻繁に登場する名古屋大学の赤教授の「青色LED」の発明に、国の研究機関とは別に民間企業も参加していたからだ。
現在赤教授の「青色LED」関連の特許によってもたらされる収益は、国立大学が保有している特許収入の96%をしめ、その収入の半分が名古屋大学に入り、残りの半分を国の研究機関と民間企業が分け合う様な形となっている。
「青色LED」の市場は拡大し続けているコトを考えると、それらの収入を元に新たな基礎研究への投資をするコトも可能だろうし、企業内でするコトが難しい研究を大学などの研究機関と共同で行えば、企業の活性化にも繋がるのではないだろうか?
その足がかりとして、産業界全体で基金を作り、それぞれの提供したい研究を選び支援することで、企業にも「特許」という資産を得やすくなるのではないだろうか?

今回のノーベル賞の自然科学の部門の受賞者の研究を見ていると、本当に「基礎研究の重要性」というコトを改めて感じる。
そして「基礎研究」がもたらす社会的大きな利益などを考えたとき、国だけでは無く産業界全体での支援が、とても重要な気がするのだった。