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ウクライナ情勢-ロシア武器密輸カスピ海南北輸送回廊と欧州通常戦力削減条約廃棄戦車の再生と実戦投入

2023-06-17 07:00:07 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 ロシアは此処まで国際公序を無視する国であったのかとNHK解説で示された”巨大な北朝鮮”という表現が正に当て嵌まるところです。

 アメリカ政府はイランからの自爆用無人機ロシア輸出に対する不快感を改めて示し、各国へ新たなイラン制裁へ協力を呼び掛けています。この点を明確に示すべくアメリカ政府はイランからロシアへ輸出される貨物輸送機の“カスピ海南北輸送回廊”の航空機飛行情報を開示し、ロシアへの武器輸出を停止するよう改めて警告しているかたちですが。

 イギリス国防省ウクライナ情報として、ロシアは新たにカスピ海南北輸送回廊によるイランからの無人航空機調達へ船舶輸送を開始した、と発表しました。輸送手段に航空機を用いても船舶を用いても国連安保理決議2231号違反には違いないのですが、船舶は航空機よりも大量の武器を積載可能である点から更なる無人機輸出拡大へ留意が必要です。
■ロシア軍廃止T-80再生
 自衛隊の場合は条約に関係なく退役した装備を解体していまして少々勿体ないといいますか問題のようにも思うのですが。

 ロシア軍の再生T-80戦車と思われる車両がウクライナのザポリージャ付近において鹵獲されたもよう。この“思われる”という背景にはロシア軍は既にT-80戦車を投入しており、今回鹵獲されたものは特性から廃棄されたものを再生させた戦車であるということですが、仮に現役車両ではなく廃棄された戦車が戦線復帰した場合、問題を引き起こします。

 再生T-80戦車とは、1992年欧州通常戦力削減条約により廃棄された戦車を示すものですが、ロシアは廃棄戦車を解体待ちのまま事実上30年間保管していたことが2023年にロシア国防省発表により明らかになっています。今回鹵獲されたものは暗視装置が旧式のPN96-MT-02であり、維持部品が枯渇している為、再生戦車が疑われています。
■ウクライナ支援
 アメリカの凄さと云いますか、逆に日本の場合は有事の際に破損した戦車を以下には約修理し予備の人員を予備の車両にのせるかを考えなければなりません。

 アメリカ政府は12日、新たに3億2500万ドル規模のウクライナ軍事援助を発表しました。その内訳は、ブラッドレイ装甲戦闘車15両、ストライカー装輪装甲車10両、HIMARS高機動ロケットシステム及びGMLRS精密誘導ロケット弾、TOW対戦車ミサイル、スティンガー携帯地対空ミサイル、そして155mm砲弾と105mm砲弾などを含みます。

 ブラッドレイ装甲戦闘車15両とストライカー装輪装甲車10両だけで、陸上自衛隊が年間に新規調達する装甲車両数に匹敵する規模であり、ウクライナ軍が喪失した装甲車両が着実に補填されている点は重要でしょう。他方、これをみますと自衛隊の予備装備の備蓄などはもう少し考えなければ現状の皆無では意味を成さないことをしめしているよう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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