一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

9月19日の大野・植山教室(2)

2015-09-25 01:24:39 | 大野・植山教室
川島なお美、逝去。川島なお美といえば、ミスDJリクエストパレード、お笑いマンガ道場などの出演が思い浮かぶ。今は天国でワイン風呂に浸かっているのだろうか。いや、天国入りの手続きをしている最中かな。
心よりご冥福をお祈りいたします。

(きのうのつづき)
説明が前後するが、私の▲8三歩は、△8六歩の時に打つべきだった。
本譜は△8七歩成▲6九玉の交換が入っているから、下手の大損だ。繰り返すが、▲6三歩成と焦らずに▲8三歩としておけば、下手が優勢だったと思う。

第2図以下の指し手。△9二飛▲5三と△6七歩成▲4三と△同金▲6三成銀△4九金▲5二銀△同飛▲同成銀△同玉▲8二飛△6二歩(投了図)
まで、植山七段の勝ち。

本譜▲8三歩に△6七歩成は、▲8二歩成と飛車を取るのが大きい。そこで△6八金は下手玉が詰まず、▲7一飛の反撃が厳しい。よって上手は△3一玉と早逃げすることになるが、▲5三と△2二玉▲4三と△同金▲6一飛△3二金▲3一金(参考図)で下手勝ち。よって植山悦行七段は△9二飛と辛抱した。

私は▲5三とと銀を取る。以下の読みは△5三同金▲6六金△4三金寄▲6五桂で下手よし、というものだった。
だが植山七段は△6七歩成と踏み込んできた。まさか△4三金を取らせてくれるわけがないと軽視していたのだが、これで下手が負けになっているのに愕然とした。
私は▲6三成銀と入るが、△4九金がははあ…と唸る一手。以下は飛車で王手をして投了した。

下手は序盤でしくじり、終始非勢を感じていたが、意外にいい勝負だったようである。しかし実戦ではその形勢判断が甘く、勝機を掴み切れなかった。

ここで3時休み。W氏も見え、久しぶりの対面となる。でも改めての挨拶はなし。それがいい。
しかし人が多く、人いきれがすごい。子供の保護者もいるし、いったいこの部屋に何人いるのだろうか。もはや座るスペースすらなく、立っているだけだ。
冷蔵庫を開けると、何とペットボトルの飲み物が品切れになっている。こんなケースは初めてだ。それで、缶コーヒーをいただいた。

休み後は、S君と一般対局。私の先手で、▲2六歩△3四歩▲7六歩。S君は少考して△4四歩。S君は居飛車党なので、これもやはり相居飛車が濃厚となった。
その後、相矢倉となる。私は前日の経験を活かして、スズメ刺しの作戦を採る。

第1図以下の指し手。▲1四歩△同歩▲同香△同香▲同飛△1二香▲1三歩△同香▲同角成△同桂▲6五香△7三角▲6三香成△8四角▲5三成香△同金▲3五歩△4三金寄▲3四歩△同銀▲3五歩△同銀▲3四歩△3三歩(途中図)

▲1八飛△3四歩▲5七銀△3六角▲1七飛△1六歩▲同飛△2七角成▲1九香△1六馬▲同香△1八飛(第2図)

私は▲1四歩から仕掛ける。角香交換の駒損になったが、私は▲6五香に期待した。
数手後銀を取り返し▲3五歩だが、△4三金寄と落ち着かれ、うまく攻めが繋がらない。先手はもっと前に▲3五歩△同歩を利かせるべきだったのだが、その機会がなかった。
△3三歩(途中図)に▲1八飛と引いたが、これはよくなかった。S君に△3四歩と落ち着かれ、歩切れの私は手段がない。
▲1八飛では何はともあれ▲3三同歩成△同金上▲1六飛とし、次に▲1四歩と▲3六歩を見るのだった。ただしそうなっても、難しい形勢だ。
本譜私の▲5七銀に、S君は△3六角から飛車をイジメにきたが、これは若干ありがたかった。
S君は△1八飛と下ろす。ここが最後のチャンスだった。

(つづく)
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9月19日の大野・植山教室(1)

2015-09-24 12:46:16 | 大野・植山教室
19日(土)は、「大野・植山教室」に行った。
午後1時30分ごろ入ると、三和土と靴箱が靴でいっぱいである。今日はシルバーウィークの初日。お前ら、ほかに行くところはないんかい、と内心で毒づいてみるが、自分もそのひとりなのだ。6年ぶりのシルバーウィークは沖縄・宮古島を目論んでいたが、仕事も立て込んでいるし、何より精神的に追い込まれて、とても旅に出る気がおきなかった。
部屋は大人のレギュラー生徒のほかに、多くの小・中学生がいた。ここ何年かで、子供の生徒が本当に多くなった。私が初めてきた時とは、だいぶ雰囲気が変わっている。
本日の手合い係はFuj氏。W氏は重役出勤らしい。教室であるが、明日は社団戦最終日で、Fuj氏をはじめ、多くの生徒が参戦する。それで、今日は平手の将棋を中心とするらしかった。
明日までで第4回大野杯リーグ戦も終わる。私は途中で優勝を諦めたので、もう対局はしなくてもいい。
1局目は、Has氏と一般対局となった。振り駒で私の先手。Has氏得意の四間飛車に、私は天守閣美濃に組む。しかし△6五歩~△8五歩と玉頭を攻められ、指しづらくなった。私は天守閣美濃が好きだが、△6五歩と伸ばされると居飛車の具合が悪いと思う。
本譜は全然自信がなかったが、私の左桂がポンポン跳ね、△7三金との交換になっては、居飛車が互角以上の岐れになった。
が、Has氏△6二飛~△6六歩に、私が無警戒だったのがマズかった。Has氏に金の質駒を見て△6七歩成とされ、また私が悪くなった。
以下、Has氏の寄せを見るばかりとなったのだが、Has氏も寄せをグズり、また私が勝ちになった。

ここから、▲8三歩△同玉▲7五桂△同歩▲5六角△6五歩▲同角△同飛▲8二金△7四玉▲8三銀△8五玉▲9六銀△7六玉▲8七銀△同玉まで、Has氏の勝ちとなった。
私の▲8三歩からの寄せが変調。感想戦をやったらすぐ答えが出て、図から▲7三銀△同玉▲6五桂で、簡単に後手玉が詰んでいた。また▲7三銀では▲6二飛成とし、△同金▲8三歩ぐらいでも詰みそうである。
本譜は全然読みが入っていない。まるで腑抜けで、前日の熊倉紫野女流初段戦で、全精力を使い果たしてしまったのかもしれない。

2局目は植山悦行七段に教えていただく。
2つ左の盤ではIi君が平手で挑んでいた。植山七段の振り飛車穴熊に、Ii君が左美濃(だったと思う)。長くなりそうだ。
私も平手戦である。▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩。▲4八銀には△4二銀だったので、▲2五歩と突いて態度を聞いた。植山七段は△3三銀。これで相居飛車確定である。
私は右銀を繰りだす。屋敷流を気取ったわけではなく、上手のこの形を純粋に咎めたかった。
しかしそんな簡単に攻められるはずもなく、私の棒銀は立ち往生する。植山七段は△7五歩▲同歩△同角。このままスンナリ角を引き揚げさせたら、下手の作戦負けだ。私は▲6六銀とブツケた。

第1図以下の指し手。△6六同角▲同角△8六歩▲同歩△同飛▲8八角△7七歩▲同桂△8七銀▲9五角△8二飛▲8三歩△7八銀成▲同玉△8三飛▲7四銀△8二飛▲8三歩△7二飛▲6三銀不成△7五飛(途中図)

▲8四角△7六飛▲6七金△8六飛▲7五角△8三飛▲7四銀成△8二飛▲6四歩△8六歩▲6三歩成△8七歩成▲6九玉△6六歩▲8三歩(第2図)

今日の植山七段はイライラしている感じで、指し手が攻撃的だった。私の▲6六銀に△同角~△8六歩と来たが、これはイライラしていなくても飛び込みたくなる順だ。
▲8八角に△7七歩が痛打。これで下手が芳しくないが、私は上手の飛車を追い駆けて粘る。
右のTan君は飛車香落ち戦。植山七段に勝とうの気はなく、中盤過ぎで文字通り「投げた」。左はKob君が入り、飛車落ちで挑んでいた。
▲6三銀不成(成るかどうか迷った)△7五飛(途中図)に▲7六歩。しかし△9五飛と角を取られそうになり、私は「待った」をする。改めて▲8四角と出た。
以下、再び上手の飛車を追い駆け、▲7四銀成から▲6四歩と突きだしたところでは、むしろ下手が面白くなったんじゃないかと思った。
植山―Ii戦は、Ii君の勝ち。一瞥したところまだ中盤に見えたが、植山七段が戦意を喪失したらしい。とにかくどんどん捌かないと、今日はいっぱい生徒がいる。
「○○なさい!」
植山七段がKob君に一喝した。植山七段が美濃囲いの2七の地点を攻めたのに対し、Kob君が▲1八金と受けたからだ。
植山七段は筋の悪い手を嫌う。▲1八金は私も指しちゃいそうだから厳しい物言いにも見えたが、それだけKob君に期待しているということである。
私の将棋に戻る。
「ここで△8七金は死んでも打てん」
と、植山七段は△8六歩と垂らす。次の歩成を受けてはいられないので、私も▲6三歩成。
以下△8七歩成▲6九玉△6六歩には、▲8三歩と叩いた。
「これ(△6六歩)も受けないのかよ!」
と植山七段が叫ぶ。

(つづく)
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第27回将棋ペンクラブ大賞贈呈式(5)

2015-09-23 21:13:42 | 将棋ペンクラブ
二次会は新宿通り沿いビルの地下にある居酒屋である。以前も入ったことがあり、ここが定番のようだ。
奥の部屋が予約席のようだ。左右にテーブルが設えられてあり、それぞれ10人が座れる。右テーブルの奥には木村晋介会長と西上心太氏が先着していた。Tag氏の姿もある。こちらがメインになりそうだが、Ohh氏は気兼ねなくタバコを吸いたいようで、左の席に着いた。私も同じく、左のテーブルの席に着いた。
飲み放題メニューで、会費は3,000円。私は勝手に生ビールを頼んだ。一人乾杯となる。
しばらくして、Kob氏、Kan氏、Shim氏(違うかもしれない)が左の席に着いた、みな飲み物を頼み、左のテーブルが改めて乾杯となった。
私は長年の将棋ペンクラブ会員だが、人見知りなので、ほかの会員とは意外に話したことがない。今回も黙っていたら、ハス向かいのKob氏が話しかけてきた。しかしその声がボソボソと小さく、よく聞き取れない。先日の聴力検査では、低音の聞き取りがやや劣っていたが、これは氏の声が小さすぎるのだと考えることにした。私は適当に相槌を打つのみだ。
しばらくして、加賀さやかさんが私の向かいに座った。マルチライター・加賀さやかさんは年齢不詳で、捉えどころがない。そのさやかさんが先年結婚したのは、こういう俗事とは対極にあるひとだと思っていたので、意外だった。
つまみはちょこちょこ運ばれてくるが、みな贈呈式で飲み食いしてしまったので、箸の進みが遅い。私もつまんでいるが、けっこう残っている。
木村会長が退席し、さやかさんが右のテーブルに移って、星野氏とMik氏がこちらの席に来た。
どちらもペンクラブの幹事で、両氏なくして現在のペンクラブはない、というくらいものである。
星野氏はOhh氏と将棋を始めた。駒はShim氏所蔵のものだ。
振り返れば、右のテーブルは満席だ。だが、今年の入賞者の姿はなかった。
私はMik氏と話す。
「私が二次選考委員をやらせてもらって、一次選考を抜けた観戦記を読ませてもらうわけじゃないですか」
私は語る。「あれはいわば、年間ベスト観戦記のアンソロジーですよね。しかもそれを読めるのは、二次選考委員と数名しかいない。プロ棋士も読めない。これはすごく贅沢なことだと思います。ありがたいです」
「ふむふむ」
「だからどれも面白くて、とても優劣なんか付けられないですよ。涙を飲んで採点してます」
「ふむ。でもねえ、これが不思議なことにねえ、二次選考委員の意見を総合すると、こういう感じになるんですよ」
と、Mik氏は山の形を作った。「やっぱりいい作品が上位に来る。だから今回も最終選考に上げる作品は迷わなかった。選考委員の眼力はすごいねえ」

これは書いてもいいと思うのだが、Mik氏が技術部門優秀賞の村山慈明七段に連絡を取った時、電話口で村山七段が
「大賞は誰ですか?」
と問うたという。さすが勝負師、と思わせるエピソードだと思う。
星野―Ohh戦は、金3枚の防波堤が堅固で、Ohh氏が優勢。面白いのは、盤上の「馬」が赤字に塗られていること。さらに、「左馬」だった。
それを指摘すると、Shim氏がえらく感激してくれた。
「…? 一目で分かると思いますが」
「いやいや何局指しても分からない人がいるのよ」
「…左馬なの? 私気付かなかった」
と、これはOhh氏。ちょっと問題発言で、Ohh氏は駒師なのだ。

盤上では、Ohh氏が決めに出た。すなわち、▲7四馬△同歩▲6三桂である。
ここで星野氏がお手洗いへ立つ。が、そこで黙っている私たちではない。ついその先を検討してしまう。私は△7二金▲6一飛成△7一香▲6二銀を読む。Ohh氏は▲6一飛成で▲6一銀の読み筋を披露した、なるほどこの攻めも鋭い。
しかし戻ってきた星野氏は、△7五歩。▲7一桂成を待って投了した。
感想戦が終わると、閉店の11時にならんとしていた。これで散会である。
かくして、今年も将棋ペンクラブ贈呈式が終わった。が、すでに来年度への選考は始まっている。来年の大賞に輝く作品はどうなるだろう。今から楽しみである。
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第27回将棋ペンクラブ大賞贈呈式(4)

2015-09-22 22:17:53 | 将棋ペンクラブ

第4図以下の指し手。▲4四歩△5三金▲8八玉△8六歩▲4五桂△5二金▲7四馬△6七馬▲同金引△8七歩成▲同玉△8六歩▲同玉△4八飛▲8七角△4五飛成▲6四桂△5一金▲5七金△4九竜▲6五馬△5四歩▲同馬△8二飛▲8四歩(第5図)

左の男性氏は健闘している。竜を作り、勝利まであと一歩だ。
私はとりあえず▲4四歩と突いた。これには△同金もあったが、熊倉女流初段はおとなしく△5三金。熊倉女流初段は本局において、素直な指し方で一貫している。指導対局だからか全然本気を出してない感じだ。
▲4五桂と跳ねようとしたら、△6七馬▲同金引△4九飛がある。それで、当たりを避けて▲8八玉と入城した。改めて盤面を見ると意外にしっかりしていて、もう少し戦ってみる気になった。
△8六歩には挨拶せず、ようやっと▲4五桂と跳ねる。△5二金に指し手が分からず、とりあえず▲7四馬とプレッシャーをかけておいた。
熊倉紫野女流初段はついに△6七馬と飛車を取る。が、これは局面がさっぱりして、ありがたかった。どこかで△7七歩と叩かれるのがイヤだった。
熊倉女流初段は玉を釣り上げて△4八飛だが、これに期待したのだろう。これには▲9六角が、▲7八金を守りつつ△5二金取りになるが、角の利きがダブっているのが気に食わない。それで、一つ控えて▲8七角と打った。
これがいい判断だったようで、もし▲9六角と打ったら、△8五歩(王手)があった。
△4九竜に▲6五馬と引き、次の▲3二馬が受けにくい。この筋の二枚角は強力で、ここで初めて、優勢を意識した。
△8二飛に、▲8四歩。しかしこれは消極的だった。

第5図以下の指し手。△4三桂▲同歩成△同金▲4四桂△3三銀▲7三銀△4四銀▲同銀△5四金▲同角△8九竜▲8八金打△7四桂▲9六玉(投了図)
まで、119手で一公の勝ち。

▲8四歩では当然、▲8三歩から連打するところ。△8三同飛のとき飛車の横利きが三段目に通るから躊躇したのだが、震えすぎた。
とはいえ▲8四歩でも、上手は受けが難しい。まさか△4三桂とは受けるまいと思ったら、本当に打ってきたので驚いた。熊倉女流初段、さすがに簡単には投了しない。
▲同歩成△同金に▲4四桂がシャレた手だと思ったが、これも焦りすぎ。ふつうに▲4四歩でよかった。
左の男性氏は見事勝ちを収めたようだ。私も続かなければならない。
△3三銀に▲7三銀と打ったが、この方向転換はおかしい。しかし一手勝っていたようで、最終私の▲9六玉に、熊倉女流初段が投了を告げた。

投了図で下手玉は詰まず、上手玉には▲3二銀△2二玉▲3一銀打△1二玉▲2一銀不成という妙な詰めろがかかっている。受けても一手一手で、この辺が投げ時と思う。
「(中盤で)角をこう打ちあうようでは、こちらが悪いと思ってました」
と熊倉女流初段。
「いえ私も自信がなくて…。▲7三角成の時、△7二歩~△6三歩と馬筋を外されると私がダメだと思いました」
以下、お互いに短い感想を言った。
投了図だけ見れば私の快勝のようだが、中盤まではハッキリこちらが悪かった。が、どこで悪くしたのか分からない。まあそれも当然で、いつの間にか上手の模様がよくなっている、これが上手の腕というものだろう。
熊倉女流初段に「勝とう」の気持ちはなく、拍子抜けする感じだった。でも女流棋士に教えていただく機会はなかなかないので、いい思い出になった。熊倉女流初段は癒し系で、とてもかわいらしかった。
そうそう、熊倉女流初段にお目にかかる機会があったら、伝えておきたいことがあったのだ。
「私、熊倉先生が休場した時、そのまま引退しちゃうんじゃないかと思いましたよ。でも復帰してくれてよかったです。先生頑張ってくださいよ。応援してるんですから」
私は一方的に言うと、名残惜しいが、席を立った。
ステージでは、棋士の色紙や著書が配られる企画が終わったようだ。私ももちろんいただける権利があるので、無人のステージに行く。著書を選んでいると、Was氏(だったと思う)が来て、ここに色紙がありますよ、と言う。見ると渡辺弥生女流初段の「切磋琢磨」で、これはいいといただいた。
でも、藤森哲也四段著の「急戦矢倉」も捨てがたい。それで、こちらももらってしまった。
が、これはもちろんルール違反。参加者がもらえるのは1人1点である。まあ、関東交流会で青野照市九段著「プロの新手28」を紛失してしまったので、その代わりにしてくれたらありがたい。
長田衛氏が来て、今泉健司四段を紹介してくれた。私は今泉四段とガッチリ握手。
「今泉先生、結婚しないでくださいね」
「?」
初対面の棋士にこんな失礼な言葉を吐く将棋ファンは、私ぐらいだろう。
時刻は午後8時半を過ぎ、お開きである。いつもなら直帰するのだが、今年はOhh氏に二次会に誘われた。これは将棋ペンクラブ主催で、近くの店に20人分を予約してあるのだ。
帰宅して録りだめしたビデオも観たかったが、今年は二次会に参加する気になった。
表に出ると、藤田麻衣子さんのご子息がいた。吹き出すくらい、お母さんにそっくりだった。
渡部愛女流初段は熊倉女流初段といっしょに帰るようだ。エレベーターに乗る前、私に挨拶をくれた。愛ちゃんは礼儀正しいと思った。
(つづく)
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第27回将棋ペンクラブ大賞贈呈式(3)

2015-09-21 21:53:26 | 将棋ペンクラブ
上手 △女流初段 熊倉紫野
下手 ▲一公

▲7六歩△8四歩▲6八銀△3四歩▲7七銀△6二銀▲4八銀△5四歩▲5六歩△4二銀▲2六歩△3二金▲7八金△4一玉▲6九玉△5二金▲5八金△3三銀▲7九角△7四歩▲6六歩△3一角▲3六歩△4四歩▲1六歩(第1図)

熊倉女流初段は、茨城県古河(こが)市出身。師匠は高橋道雄九段。どちらも4月23日生まれで、師匠と弟子が同じ誕生日というのは珍しい。
JR古河駅の構内には中華料理屋が入っている。東口を出た先にも中華料理屋があるが、熊倉女流初段は入ったことがあるだろうか。
▲7六歩に、△8四歩。熊倉女流初段は居飛車党だと勝手に思っていたから、この2手目は意外だった。私は▲6八銀とし、以下スラスラと相矢倉に進む。これが植山悦行七段なら、どこかで急戦調に変化してきただろう。
熊倉女流初段は左手で指す。24手目△4四歩まで懐かしい形で、かつては「矢倉24手組」と呼ばれた。
私は25手目、▲1六歩。

第1図以下の指し手。△6四角▲3七桂△4三金右▲1五歩△7三銀▲1七香△3一玉▲6七金右△7五歩▲同歩△同角▲6五歩△4二角▲6六銀△8五歩▲1八飛△2二銀▲4六角△9二飛▲7九玉△4五歩(第2図)

熊倉女流初段はナチュラルメイクか。顔色がいいふうには見えないが、悪くもない。それでもちょっと元気がないように見えたが、体調が悪ければ、今回のオファーは受けないだろう。
▲1六歩までは、「矢倉25手定跡」とも呼ばれ、ここで上手(後手)がどう指すかが序盤のヤマ場だった。熊倉女流初段は△6四角とノゾく。私はある作戦を用意していたので、▲3七桂と跳んだ。
△4三金右に、▲1五歩~▲1七香。私はスズメ刺しの作戦を採った。熊倉女流初段も矢倉の経験は豊富だろうが、対スズメ刺しのそれは経験値が少ないとフンだ。
ただ厳密には、スズメ刺しの態度を見せるのが早かったかもしれない。後の▲1八飛に△2二銀と形よく受けられてしまったからで、先に囲いをすませるのだった。
もっとも、△2二銀は壁銀である。このまま戦いが起これば、下手が有利に運ぶと思った。
熊倉女流初段はさして考えず、たんたんと指す。しかし△4五歩は、ビシッときた。ここは緩急の二択だが…。

第2図以下の指し手。▲5七角△6四歩▲同歩△同角▲6五歩△4二角(註:この辺りの指し手が、うろ覚えです)▲4六歩△同歩▲同角△4五歩▲5七角△7四歩▲4七銀△7三桂▲4六歩△6五銀(第3図)

ステージには来場者が上がり、それぞれ一言述べている。中倉彰子女流初段の声が聞こえている。今日中倉宏美代表は、別件があって欠席。代理での出席になったようだ。
しかし私は耳を傾けている場合ではない。△4五歩と突かれた局面。ここは△2四角も有力だったと思う。
戻って△4五歩には、▲7三角成と行きたいところで、Ok氏ならそう指す。だが以下△7三同桂▲7四歩△7二飛▲7三歩成△同飛の結果は、二枚換えでも歩切れで下手不利と思った。
上手に大駒を渡すと何かと面倒である。もうちょっと熊倉先生との将棋を楽しもう…と▲5七角と引いた。
数手後熊倉女流初段は△7三桂だが、ここは△6四歩と合わされるほうがイヤだった。
▲4六歩に△6五銀。ここ△6五桂なら、▲同銀△同銀▲6六歩△7四銀▲4五歩と指すつもりだった。

第3図以下の指し手。▲4五歩△6四角▲4六角△同角▲同銀△2七角▲6四角△4二歩▲6八飛△3六角成▲7三角成△6六銀▲同金△5五歩▲同銀△5七銀▲6七飛△5八馬(第4図)

私は▲4五歩と取った。これは大きな位である。以下角交換となり、角を打ちあった。
熊倉女流初段は△6四角とノゾいたが、ここは△6六銀▲同金△6五歩▲6七金引△6六銀とガリガリ来られたら、全く自信はなかった。
△4二歩に、本当は▲2八飛と寄って先手を取りたい。しかし以下△3六角成▲7三角成△6六銀▲同金△7二歩▲6四馬△6三歩▲6五馬△4六馬(参考図)まで、下手が不利になると思った。

それで、気が利かないが▲6八飛と回った。これなら同様の手順で進んだ時、△4六馬が王手にならないので、▲9二馬△同香▲6一飛△4一銀▲5二銀まで下手が勝つ。上手は壁銀が見た目以上に痛い。
とはいえ、△7二歩と一本打たれるのがイヤではあった。本譜は△5五歩。これも味わい深い手で、私は▲同銀と取ったが、▲5七銀と我慢するべきだったかもしれない。
△5七銀▲6七飛の次にどうするのだろうと見ていたら、熊倉女流初段は△5八馬。
突如飛車取りに飛び込まれ、飛び上がった。▲7七飛と逃げれば、△6六銀成▲同銀△7六金。しかし△5八馬を捨て置いても、次に飛車を取られてしまう。プロに飛車を渡したら、アマはひとたまりもない。
ここまで私は、よく指した。ここが投了の時期だと思った。

(つづく)
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