石屋のカミさん日記

仕事に趣味に 好奇心の赴くまま楽しいこと追求します!

乳と卵

2008-02-22 22:53:46 | Weblog
芥川賞受賞の川上未映子さん
「乳と卵」 本になるのが待ち遠しくて
掲載された文芸春秋を買ってきた。

昨夜、読み終え
今日、書店に行くと「本日発売」の札をつけて並んでいた。
白と赤の素敵な装丁で 本も欲しくなってくる。

「乳と卵」
適度な大阪弁の口語調で書かれた 珍しい文体で
物語が紡がれていく。

豊胸手術に異常なほどの興味をもつ39歳の巻子と
その娘・・思春期の入り口に立ち、
大人になっていくことに戸惑いや嫌悪をもっている緑子。
そして巻子の妹であり、緑子の叔母である「私」。

東京に住む「私」のもとに、大阪から巻子母娘が
数日間、泊まりにきてから始まるお話。

ほとんどが、大阪弁のしかも「私」の喋り言葉で
綴られているので、最初は相当読みづらい。
でも、途中で大阪の友達から話を聞いているような
そんな感じで慣れてくると
どっぷりとその小説のなかに入ってしまっている。

主題は ごくありきたりだと思うのだが
小説の演出が上手
数日間のできごとをちゃんと完結させているし
静かなところと激しいところの
コントラストがうまいなあと感じた。

女の体や生理のことを めちゃめちゃ
生々しく描いているのだけど
テンポのよい大阪弁、喋り言葉なので
あっけらかんとした友達とおしゃべりをしてるような感覚になる。
すべて計算された小説の技法なのだろうな

文芸春秋には 選考委員の選評も掲載されている。

池澤夏樹・石原慎太郎・小川洋子・川上弘美
黒井千次・樹のぶ子・宮本輝・村上龍・山田詠美
・・・という錚々たる文壇の先生方

この選評も 大変面白いし、文学の読み方の勉強になる。
さすがに小説家として成功されている方の
目のつけどころは違うなあと感心した。

「乳と卵」については ほとんどが即決で受賞作に
推されたみたいだが、ただ一人 石原慎太郎さんだけは
辛辣な評価をされていた。
豊胸手術を東京まで受けにくる巻子の
乳房の意味が伝わらない・・そうだ。
一人勝手な調子のお喋りは不快で聞き苦しいと
評しておられた。

乳房への偏執の意味は私も、よくわからなかったが
石原慎太郎さんのような生粋の東京人には 
川上さんの大阪弁はあまり心に響かないかもしれないな

関東のかたは この小説を読んで
どう感じられるのだろうか


コメント (1)
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