事例紹介コラムです。
語る会メンバーでもあるT岡助教さん(紙面にはお名前が出ていますが)で、毎年この時期に山陽新聞に寄稿されています。ファジアーノ等岡山のスポーツによる街づくりの呼びかけが主なテーマのコラムです。今回も昨日の朝刊位に「挑戦」 新生ファジアーノ 地域密着で応援機運を」というタイトルですが、毎回面白く読ませていただいております。以下、抜粋して紹介。
Q:観戦者調査の結果などから気になる点は。
T:ファンの観戦動機で「クラブの成績」と答える割合が徐々に増えていることはリスク。勝負は水ものであり、負けが続けば大きく観客が減る可能性があるから。クラブは勝敗とは別の部分で、観客動員を維持する努力が重要。
Q:面白い試合を見せることが最も重要な要素では。
T:もちろんだが、ファンからすれば、試合の質だけ求めるのであれば、欧州サッカーでも構わない。たとえ負けようと、ファジアーノの試合を観に行きたいと思わせる何かが必要で、そこに経営努力を集中すべき」
Q:昨季は初めて観客動員が前年を下回った。今季はホーム平均入場者数1万人を目指す「チャレンジ1」に取り組む。
T:1万人の中身が重要。1回観に来てさようならでは意味がない。固定客を増やすために、選手・クラブ側がもっと地域に出て応援してもらう機運づくりをすることが大切。その積み重ねとして固定客が増え、1万人超えの試合が少しずつ増えていく。短期間に効果が出るものではないだろう」
Q:どのような取り組みが求められるのか。
T:ファジアーノがあるから岡山のまち全体が明るく、元気に、生活が豊かになっていると実感してもらう努力が必要。クラブが価値を生み出しているのはスタジアムの中だけではなく、試合以外でも市民と一緒にまちを盛り上げていくことが重要。365日、まちの中にファジアーノがあり続けるように地道な地域密着活動を続けるしかない」
Q:市民ももっとファジアーノを活用するということか。
T:その通りで、スポーツ関連消費を巻き起こし、人や金が動く仕組みを作るアイディアをどんどん出し合えば良い。例えばファジアーノが勝った日は、飲食店のメニューが半額になるとか。もちろん、ブランドイメージを損なわないよう自主規制が必要な場合もあるが、全てをクラブがコントロールしなくても良い。ポジティブな力を束ね、そこに相乗効果が生まれ、大きくなっていくという循環にしなければならない」
Q:クラブに期待することは。
T:地域のプロスポーツクラブ経営は、まちづくりと同義だと思う。スポーツが持つ文化的、社会的価値を最大限に生かし、この岡山のまちをどう変えていくのか。ファジアーノにはその具体的な道筋を提示し、積極的にかかわる姿勢を見せて欲しい」
という内容でした。また、前々から紹介している「おかやまスポーツプロモーション研究会」の活動報告もしっかりレポされている、フェイスブックページ「岡大 体育・スポーツ経営学研究室」にもレポが載っていました。シーズン恒例のファジ取材で、取材に対して述べることは毎年大して変わらないが、今回はまちづくりにまで論点を拡げてみたとか。昨年までは「クラブは公共財」と述べてきて、今年は「クラブ経営はまちづくり」。プロクラブは公共財として大事に保護されるようなものではなく、まちを変える役割や機能があり、それを発揮しなければならないという攻めの定義づけ、これからいろいろな反応があるだろうとの内容でした。
当ブログでは「全くそのとおり」としかコメントできません。昔、木村社長が「阪神タイガースのように、勝っても負けても観に来てくれるチームになりたい」と口にされていたと思いますが、上の論調を読むとそういうチームにするための固定客を作る努力が今後必要という事になりますね。昨シーズンも成績の失速とともに観客動員も失速したのではないでしょうか。周りからもよく山雅さんとの比較ばなしが出ますが、なぜ山雅さんはああなって、岡山はこうなったのかかもしれませんね。以前に依頼を受けて、比較資料記事を作っています。また、ご一読下さい。
上の論調では、選手・クラブ側がもっと地域に出て応援してもらう機運づくりをすることが大切。その積み重ねとして固定客が増え、試合以外でも市民と一緒にまちを盛り上げていくことが重要とあります。当ブログでも大昔から、Jリーグ規約にもあるように、選手による地域・社会貢献活動は義務化されていると触れ続けています。
全てをクラブがコントロールしなくても良い。ポジティブな力を束ね、そこに相乗効果が生まれ、大きくなっていくという循環にしなければならないとありますが、いわゆるアウトソーシングがどこまでできるかだと思います。すべてを自分達が見える範囲で囲ってしまったら、当然事業も活動も広がらない。いかに外部を信頼してアウトソーシングできるかがキーポイントですね。これは一般企業でも当たり前の部分です。
あと、J1名古屋で言う「勝ち店」の話が出ていました。当ブログでも大昔から「協賛店制度」、最近では「サポートショップ制度」として紹介し、特集記事でも何度も紹介しています。あの山雅さんでも「サポートショップ」として頑張っているご様子。
最後に「公共財」の話ですが、当ブログでは正式には、チームが公共財で、運営会社は公共財ではないと認識しています。トップチーム以外に下部組織や異競技を含めた「クラブ」であれば公共財、民間企業である運営会社は公共財ではなく、公共財を地域から委託して運営する管理人だと思っています。昔、鳥栖さんで運営会社が破たんして交代した事があります。なので、ふがいない管理人であれば交代するのは当然ではないかと。親企業があるJクラブの運営会社は公共色がどこまであるのか。最近、マリノスさんで外国資本がどうのとネットで流れていますが、その何とかグループが運営会社を経営を担えば当然公共財とは言えないでしょうし。面白い記事でした。前と比べて辛口度が薄まったなぁとも思いましたが。
話は変わり、今日ついに2015年明治安田生命J1リーグが開幕しました。ネルシーニョダービーもありましたね。その話はまた後日。というより、ACLレポがまだだった・・・ 山雅さんスゴいです。ドローだし、1万人行ってるがアウェーです。ところで「Jリーグ.jp」は不便ですね。去年までのJ's GOALだったら試合後の監督や選手のコメントが順番に読めたのに、どこを探しても見当たらない。全く不便になりました。J's GOAL復活希望!