事例紹介コラムです。
お待たせしました。今回のなでしこジャパンの検証について、いろいろと情報を集めていましたが、そろそろ出していこうと思います。たくさん情報があるので1回で終わりません。ネット情報を見たら、複数回シリーズのコラムになっているパターンが多いので、情報の違いに注目しながら、順番に出していき、最後に当ブログとしての見解を出したいと思います。まずは地元の山陽新聞の「折れたなでしこ 五輪逃す」というタイトルのコラム記事。以下、抜粋して紹介。
【合宿で対外試合組まず(判断ミス)】
アジア最終予選の敗因と今後の課題。「準備段階で試合が必要だったかな」という佐々木監督のコメント。予選前の合宿のみで対外試合を組まなかった判断ミスが転落へ。なでしこリーグはオフであり、多くの選手は試合勘が不足。それでも「試合をするよりも昨年の反省と修正をしたい」という佐々木監督の周囲に的確な助言をする存在は無し。初戦オーストラリア戦では試合内容と「3点も取られるような手ごたえじゃない」という選手の認識のずれこそ、準備不足の影響。混乱したなでしこジャパンは、次の韓国戦でシステムを実践でほとんど試していない4-5-1に変更し引き分け。中国戦では長いボールを放り込む戦術を選択したが、ポゼッションに向かう選手もいて意思疎通が欠如。苦境をはねつける一体感もなく、全員が勝利に飢えていた時代から変貌。
【ベテラン頼み 薄い選手層(世代交代停滞)】
ベテラン頼みの陣容は疲弊し、世代交代の停滞が敗退の一因。'08年北京五輪からほぼメンバーを固定して更なる強化を実施。'11年ドイツW杯も'12年のロンドン五輪、昨年のカナダW杯も常連選手を集めて結果を掴んだ。
'12年以降は国際試合で多くの若手を招集したが、アピールに乏しく、「自分の手元に何か月か預けてくれれば」を歯痒そうに吐露したことも。問題はなでしこリーグのレベルが世界と距離がある事。「守備が甘く、ボールを奪う、奪わせないという厳しさが90分通してどれくらいあるのかという指摘も。国内では世界基準のスピードを味わえないため、代表で定期的に外国の強豪と肌を合わせるベテラン代表選手と、そこに加われない若手代表選手との差が縮まらず。メンバーの硬直化は長期政権の弊害であるが、監督を替えてもすぐに解決できず。昨年に澤選手の引退が惜しまれたほど、選手層が薄いのが現状。
【欠かせない若手の底上げ(新たなチームづくり)】
世代交代を推し進めながら新たなチームを作り上げる事が必要。まずは若手選手の底上げが必要で、下からの突き上げによるチームの活性化。次に戦術面でポゼッションサッカーは徹底的に研究尽くされているため、相手の出方に対応できるだけの柔軟性や幅を観につける事。世界を驚かせた連係をベースに、戦力の上積みを今後進めなければならないとしています。
ここで出たキーワードは「練習のみで強化試合が無い調整の失敗」と、「ベテラン選手の固定化による弊害」ですね。次に「なでしこ 黄金時代の終焉」というタイトルのスポーツ報知。敗因を検証するという事ですが、以下、抜粋して紹介。
【世代交代失敗の真相】
「代表に行かなくてもいいですか?」と言う複数の若手代表選手や、「ボールが来ない」と嘆く選手も。ロンドン五輪後、代表チームはいつしか一部にとって「行きたくない」場所に。
世代交代の失敗が、ボディーブローのように作用。平均年齢で他国の平均が24歳前後に対し、日本は27.1歳という出場6チームの中で最年長チーム。過密日程の中、初戦からフル稼働を強いられたベテランの運動量は低下。佐々木監督が「経験値を生かしてもらう」という選考理由が裏目に作用。
20人中14人が’11年W杯組で、新たに入ったのは6人。'12年のヤングなでしこのメンバーもいたが4年半育たなかった背景にはドイツ組の強すぎる結束が挙げられ、その中で若手は戦術の他に疎外感を感じ、持ち味を出せないまま評価されず、代表活動後に精神的なスランプに陥る選手もいたとか。同じ顔ぶれのまま相手に研究され、年齢と勤続疲労を重ねた結果、予選敗退。
スポーツ報知該当記事:http://www.hochi.co.jp/soccer/japan/20160308-OHT1T50001.html
【実戦不足「練習で何やってたのか」】
オーストラリア、中国は連戦、連戦で試合をやってきた中、佐々木監督は初めて調整段階での誤算とコメント。昨年のカナダW杯後に、「もう少し一緒に過ごす時間だったり、試合をこなせていれば」とコメント。だが、若手主体で臨んだ東アジア杯を除き、主力が唯一経験した対外試合は11月のオランダ遠征の1試合のみ。五輪予選の壮行試合も実現せず。
日本協会が実現させた五輪予選招致で得た地の利が「勝って当然」という重圧の空気が支配。それに加えて想定と異なる戦術で来る他国の日本対策に対応しきれず。
スポーツ報知該当記事:http://www.hochi.co.jp/soccer/japan/20160309-OHT1T50001.html
【東京五輪へ新世代で新スタイルを】
復権には、世界における日本の立ち位置を再認識することが必要。'11年ドイツW杯後、各国は日本を「女子版バルサ」と絶賛し、こぞって日本のスタイルを導入したが、世界のトレンドが変わると同時に戦術的な優位性は消え、フィジカルの差が顕著に表面化。それでも日本は進化ではなく、精度を高めることに固執した結果、4年半の間に模倣され、研究され尽くした戦術はアジアでも通用せず。
日本協会は昨秋刷新した強化、普及指針「なでしこビジョン」で'20年東京五輪、招致を目指す'23年W杯での優勝が目標。今回の厳しい現実だったが、一方で希望もあり、世代交代の遅れが悲観される中で下の世代は国際舞台で好成績という結果。'12年U-20W杯でヤングなでしこがは3位。'14年U-17W杯でリトルなでしこ優勝。五輪予選と同時期にはU-23代表がスペインの国際大会に参戦し、ドイツなど欧州の強豪に3連続完封勝利。
東京五輪は開催国のため予選は免除。苦い教訓から学び、立ち上がる時間は十分にあり、3年後の'19年フランスW杯や東京五輪に向け、若い世代とともに新たな、なでしこスタイルを確立できれば、世界一に返り咲くことは不可能ではないと締めくくってます。
スポーツ報知該当記事:http://www.hochi.co.jp/soccer/national/20160309-OHT1T50231.html
まずはこういう内容でした。このスポーツ報知から出てくるキーワードは、「ベテラン偏向による弊害」「ホームの重圧と他国の日本研究」ですか。大会後、なでしこOBによるチームの抜本的刷新、ベテラン選手をごっそり入れ替え論が報道で流れました。最初はそんな極端な・・・と思いましたが、これらの論調を観ると、今の状況を打ち破るためにはそれくらいやらなければならないのかなと思いました。佐々木監督が就任時に教え子達を引っ張ってきたように、高倉新監督が'14年のU-17W杯優勝メンバーから新しいなでしこ戦士を養成していってもらえたらと思います。その時に宮間選手がどういう位置にいるのかは知りませんが、未来の女子サッカーのために頑張ってもらいたいと思います。この特集はこれで終わりません。また、紹介させていただきます。