事例紹介コラムです。
ショックでしたね。同期クラブの栃木さんの自動降格もショックでしたが、大分さんはJ3との入れ替え戦には勝つだろうという楽観論が出ていたので、大丈夫かなと思っていました。讃岐さんが鳥取さんを破った時と同じような勢いを受けて、町田さんに敗れてしまいました。少し日が経ちましたが、大分さんの今回のJ3降格に関する論調が大体読めたので、順番に紹介したいと思います。まずは概略です。
12月6日にJ2・J3入れ替え戦第2戦が大分のホーム戦で行われ、J3町田がJ2大分に勝ってJ2昇格を決め、J2大分は、J1で戦った’13年からわずか2年でクラブ初となる来季のJ3降格。J1経験チームのJ3降格は史上初で、国内主要タイトル獲得チーム(’08年ナビスコ杯優勝)のJ3降格も史上初の屈辱。
J2大分は最下位だった6月に田坂前監督を解任し、後任に柳田監督が就任して最下位からは脱出したが、最後に4連敗で21位でシーズンを終了。入れ替え戦第2戦後には柳田監督と青野社長が成績不振を発表というもの。まずはサッカーキングの記事を抜粋して紹介。
【サッカーキング「大分トリニータ、J3降格の背景…歯車の狂いがもたらした悲劇」】
田坂監督は開幕前には「J2優勝」を高らかに宣言したが、歯車は実はこの少し前から狂い始めていた。気づかずに走り出した車はひずみを抱えながら加速し、止まった時にはJ1経験クラブとして初めてJ3に降格してしまうという悲劇。
かつてナビスコ杯を制し、大型スポンサーに頼らない経営スタイルで「地方クラブの星」と呼ばれていたが、輝かしい時代から一転したのが2009年。J2降格が決まり、約12億円の債務超過が発覚して経営危機が訪れる。大量の主力選手がチームを去っていったが、この苦難をサポーターや県民、行政、経済界の三位一体で力を合わせて乗り越え、2013年に一度はJ1復帰。一年でJ2に降格したが、それでもJ1のステージで戦うことが大分のミッションであった。
なぜ大分はJ3降格に陥ってしまったのか。そこにはビジョンと危機管理の欠如が大きな背景。まず一つ目はチームの構成を考える補強のつまずき。様々な人材に手を出しながら、新たなチームの軸になれるようなタレントを獲得できなかったのが現状であり、新外国籍選手の補強も失敗。しかも今シーズン途中に、田坂監督を解任したが、次期監督を見つけることができず、強化部門のトップを務めていた柳田監督になる事態まで発生。しっかりとした方向性がないまま監督を解任し、選手をかき集めたとしても、中身がないため「張りぼてのチーム」しか作れず、そのツケでそのまま崩壊。強化面での失敗は否めず、クラブ側が持つ責任はやはり大きい。
サッカーキング該当記事:http://www.soccer-king.jp/news/japan/jl/20151207/377517.html
ユニフォームの胸に☆が付いていますが、そんな強豪チームがなぜ3部リーグまで落ちなければならないのか、それは地方クラブが抱える課題、経営問題であり、もっと突き詰めたらナビスコ杯で優勝した頃の負の遺産がずっと影響を与えていたのかと思ってしまいました。続いて、「J3降格 検証」という大分合同新聞の記事。以下、抜粋して紹介。
J3降格について、今季低迷した要因やJ3降格がチーム、県全体にどのような影響をもたらすのかを検証。今回のJ3降格については、体力強化の失敗に監督交代での迷走、危機感の薄さ―。振り返るとさまざまな要因が透けて見える。
〔体力強化に失敗〕
今シーズンはスタートダッシュに失敗。内容では「あと一歩」といった試合を重ねながら、結局勝ちきれず。夏場の試合では、後半に足が止まり、失点を繰り返すプロらしからぬ試合も多かった。シーズン前の準備期間に体力強化よりも戦術練習を優先した結果とも言え、「そもそも『走るサッカー』を目指している中で、後半失速してしまうのはそういった部分が影響したのかもしれない」と西山強化育成部長代理のコメント。
〔終盤一気に失速〕
田坂監督を解任と新監督の招聘失敗と、経営陣の迷走がさらに傷口を広げた格好。柳田監督就任以降は、一時的に復調の兆しも見られたが、監督としての経験の浅さを露呈し、終盤戦は一気に失速。それでもピッチに立つ選手の危機感は薄く、練習中に互いのミスを指摘し、要求し合うことが明らかに少なく、リーグ終盤、最後まで改善されず最悪の終焉。
〔あいまいな補強〕
ここ数年、毎年のように選手が大幅に入れ替わった。「身の丈経営」を優先したため交渉事で後手を踏んだ結果、ポジション優先ともとれるあいまいな補強が繰り返され、明確な方向性を打ち出せないままチームスタイルを確立できず。
監督交代劇でも結局3人の候補者全員に断られ、苦肉の策で長くチームに携わってきた柳田伸明氏に指揮を託したが、選手との間になれ合いが生まれ、再起を図るチームに必要な新たな風は吹かなかった。
〔気迫薄まった?〕
過去の栄光がクラブの目を曇らせていたのかもしれない。現実と向き合っていたとは言い難く、J3降格の可能性が迫った今季リーグ終盤になっても、危機感は薄かった。
県民に債務超過解消のための支援金募集を呼び掛けた12年、J1復帰を果たした13年、債務超過を解消した昨シーズンも必死さが伝わってきたが、主力選手が減っていくことで、県民への「恩返し」の気迫は薄まってしまい、支える県民やサポーターへの熱意や責任感といったものが感じ取れず、危機感までも見失った様子。
〔5、6億円程度か〕
今年2季目のJ3はJFLや地域リーグに所属していたチームが参戦してスタート。様々な面でJ2とJ3には多くの違いがあり、J1、J2に17年間所属した大分には「未知の世界」とも言え、1年でJ2復帰できなければ最悪のシナリオとなる可能性もあるとか。
「収入は5、6億円程度になるのでは」と入れ替え戦後、青野社長は想定される運営予算を厳しい表情で説明。約10億円とみられる今シーズンに比べ、ほぼ半減する見通し。
スポンサーの撤退や入場料収入の減少は避けられず、TV中継が減るため放映権料も見込めず、リーグ配分金は約1億円から約1千万円へと大幅に減額。約2億円の売り上げがあるシーズンパスの落ち込みも予想。
〔参戦継続も危うく〕
約3億3千万円だった今シーズンの人件費を抑えても、4億円超とみられる収入減を予想。J1経験チームの大分は選手寮や育成組織などの環境も整っているため、固定費が経営を圧迫。2009年の経営危機後から経費削減を進めてきたが、今後どこを削ればいいのかとクラブフロントは苦悩。
昨シーズン、最大約12億円あった債務超過を解消したが、出資した企業再生ファンドへの3億円近い株の買い戻しが残る。「関係者と協議し、来季は利益(返済額)を減らしてでもJ2復帰を考えないと」と青野社長のコメント。復帰が遠のき、再び経営危機に陥るようなことがあれば、Jリーグの参戦継続すら不安視。経営面でも再び正念場に立たされたので、クラブの一層の努力が必要。経営陣の意識改革に加え、さらなる営業力強化が必要。チーム名の由来となった「三位一体」でどう乗り越えるか。真価が問われると締めくくっています。
大分合同新聞該当記事:https://www.oita-press.co.jp/1010000000/2015/12/08/004525362
さすが地元マスコミ。よくわかりました。こういう記事を待っていました。当ブログにとって大分さんは、昔よく前の溝畑社長を特集していました。いい意味でも悪い意味でもインパクトを残した溝畑社長の後任として、確か県関係だったと思いますが、青野社長が登場されました。2009年の時の記事を見ると、当時の大分さんは平均観客動員数が1万9千人なんですね。何もかも今と違った世界でした。
その青野社長が去っていかれますか・・・という感じです。ナビスコ杯優勝後に経営危機になってから、三位一体による地域の支援を取り上げ、特にJ1資金で市民の募金で多額の募金が集まった時にはたまげました。しかし、力及ばず、地方の雄クラブが一つ急降下しちゃいましたね。
ファジの試合では、やり込められた事もあり、決してJ3に落ちるチームのようには見えなかったです。つまり、現場ではなく、運営側の責任ということでしょうか。また、J1に行って欲しいですね。
J2大分関連⑧:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20140324
〃 ⑦:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20130628
〃 ⑥:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20121126
〃 ⑤:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20091216
〃 ④:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20090706
〃 ③:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20090102
〃 ②:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20081104
〃 ①:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20081103