CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】流

2015-07-15 20:58:56 | 読書感想文とか読み物レビウー
流  作:東山 彰良

満を持してというか、最近の台湾勉強を経て
台湾小説を読んだのであります
舞台は台北と山東省で、国民党と共産党、
その頃浮名を流したというか、さまざまなことがあった
その血を、その意思を、その歴史をつむいだ
そういう感じの小説でありました
不思議な感じといったらいいのか、面白かったんだけど
獏とした印象であります
とらえどころがないような、不思議なそれを思うのであります

台湾育ちながらも、祖父は山東省から流れてきた国民党員
その時分には、殺す殺されるの毎日で、切った張ったを
文字通り、命をかけてやりとおしてきた男、
その祖父が殺された、そこからルーツを辿り、
怒りや想いや、時間とか、世代とか
そういうものを考えさせられながら生きる
成長していく一人の男を描いた小説でありました
かなりごちゃっとした感じで、
コミカルなんだけども、どことなく脆い感じで
情緒的でステキと
何書いてんだかわかんないんですけども、
なんか、まとまらないまま、繰り広げられたようで
何か大切なものがあるかのように思えてならない
そういう読後感でありました、面白かった

1960年代頃を含む、さまざまに転がる台湾の情勢と
そこで生きている人たちの生き生きとした感じが
なんというかな、どっか懐かしいような
不思議と共感を覚えるような任侠めいたそれこれが
ちりばめられていて、非常に面白いのであります
いまどきなかなか、こういうのはないなと思いつつ
兄弟盃のあれこれ、仲間と縄張りでの争い、
実にくだらないことでも、血道をあげて
暴力だとか、なんだとかにかまけてしまうような
うっそうとしたそれこれが
なんとも、懐かしいような、羨ましいようなと
ありあり伝わってきて、ロマンスと呼ぶのも違うような
それでいて、本当初恋とはこういうもんだろうかなとか
思わされるなにかが、

ともかく読んでいると、どことなく
懐かしい、という感想に近い何かが寄ってくる
そんな気持ちになったのでありました

非常に面白かったし、出てきた台湾の町々について、
特に萬華のあたりはやっぱり物騒だったんだなと
改めて思い知りつつ、今とはやっぱり違う、
台湾の人がこれを読むと、そうだったかなと
懐かしんだりするんだろうか
わからんままに、どうにも、
男たちの挽歌にイメージとしては近い
でも、あんなに物騒じゃないそれこれが
描かれていた物語でありました
よかった