CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】圓さん、天下を回る

2016-01-06 21:21:45 | 読書感想文とか読み物レビウー
圓さん、天下を回る  作:升本 九八

思いがけず、経済小説を連続で読んでしまった
いや、そもそも経済小説だったか?
そう思うような、笑える楽しい小説でありました
エコノミックなエスパーである、エコパーなる
経済的超能力者という、よくわからん設定ながら、
それを駆使して、正義なのか、そうでもないのか、
よくわからないことに駆り立てられるという
荒唐無稽きわまりない話でしたが、
なかなか刺激的で面白い物語を堪能できたのであります

先日の本に続いてといっていいのか、
またもエンデ絡みの地域通貨、さらには、
利子の逆、つまり減る通貨について、
これをどうしたらよいか、
マクロ経済学をベースにしたような薀蓄を絡めつつ、
血の巡りと呼ぶべき、お金の流動性について
あれこれと、はらはらどきどきしながら、
国家の陰謀までも描いてしまう
スリリングといえはスリリングな、
でも、スパイ映画のようなものとは
まったくベクトルが違うそれを楽しめるのであります

行動経済学のお話や、
日銀の役割なんかも、わかりやすく、
若干間違ってんじゃないかという説明で理解できて
ざっくりとした、経済読み本としても
きわめて優秀ではないかしらと
思ったり感じたりするのであります
そうなんだ、こういう、なんかどうでもよい消費
あるいは浪費というそれをやる人って
世の中いっぱいいるんだよな
まぁ、自分もそうなんだけどさ
このお金の使いっぷりが、ちょっといいなぁと
目を細めてしまう具合でありましたけども
なかなかどうして、素晴らしいのであります

誰が主役だったのか、最終的には
ああ、やっぱり圓さんだったのかと思わされたのですけども
彼女のいい具合に抜けたところがまたまた
にやにやと楽しめるようでもあり、
彼女のエコパー能力は、想定されたそれよりも
ただ、消費したいという欲求それなのではないかなんて
考えたりしたのですけども
ともかく、どたばたしながら、世界経済を救った
いや、経済が救うという意味だったりなんだったり
ごたまぜを楽しんで、人間の幸せみたいなのが
見えたようにも思える、不思議な読み応えがありました