CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【映画】ブリッジ・オブ・スパイ【ネタバレ】

2016-01-11 21:05:32 | ドラマ映画テレビ感想
見て思ったのであります
私は、ちゃんとした映画を今まで見たことなかったんじゃないか、なんて

そんな風にちょっと感動というか感激というか、
なかなか、深く考えさせられたのでありました
ちなみに、上述の感想については、私の映画レベルが圧倒的に低いというのが
そもそも前提にありまして、映画といえば、アクションかコメディと
まぁそういう坊やなので、こういったしっかりしたのは
初めて見たと、そういうわけなのであります、
シンドラーのリストも、プライベートライアンも、フォレストガンプも、
ちゃんと見たことないから、
本当に、上述の感想どおり、ちゃんとした映画を見たのでありました
これが一番の感想であります

さて、内容は、ちょっと最近興味がわいてきていた、
冷戦時のスパイにまつわるあれこれというわけで、
ソ連のスパイを捕まえたはいいが、
アメリカで裁判にかけるため弁護しないといけない、
その弁護士のお話なのでありまして、
この露骨な観衆による罵倒というか、ヒールを押し付けられる感じが
凄いさらっとなのに、かなりの恐怖として伝わってきて
とても感心したのであります

で、話をおうと、当然その弁護だけで終わるはずもなく、
次はアメリカのスパイがソ連につかまってしまう、
この返還交渉に再びこの弁護士が活躍する、
そんなお話でありました

人情味もあり、レトリックも十分というわけで、
見ていて、丁寧に描かれているおかげで、
私のように鈍い人間でも、ああ、そうか、凄いなと
その論理の説得力というか、構造がとてもはっきり見えて
なんというかな、これ、脚本がずば抜けて凄いんじゃないかと
そんな風に感じてしまったのであります
話が読めるとか、読めないとかじゃなくて、
自分ならどうするだろうというところが、
すでにこれは無理な問題だろうと思っていたら、
あっという間に、交渉相手の芯をとらえてしまった
もう、なんというかな、
ものすごくできる営業マンのトークみたいだと
あっけにとられてしまったのであります

この映画見て、自分の営業力の無さを
いまさらまた、思い知らされるとは夢にも思いませんでしたが、
論理解析というか、論理構築の大切さ、
相手との関係と、利害、交渉とはどうなのかという
もう、それこれが非常にわずかな会談だけで伝わると
まぁなかなか、実際はもっといっぱい語りつくすだろうに
あっという間に、ちょっとした世間話のようにして
さらっと決まってしまう、
駆け引きと結果が、さりげなく、でも、しっかりと刻まれて積まれていく
ものすごく頭のいいストーリーというか、
交渉だと、本当、度肝を抜かれたのでありました
絶対俺では、あんな状況下で考え付かないというか及ぶわけもない
当たり前なんだけども、
あれは割りと、そりゃそうだろう、当たり前のことじゃないかと
さらっと言いのける人種が、相当数いるんだろうなと
思うほどに、自分の頭の悪さを呪いたくなるような
そういう気分になったのであります

映画としては、爽快といえば、爽快だったのでありますけども
なかなかどうして、深いところをえぐられたのでありました

そして、最後に重要なネタバレ部分というか
誰かと語り合いたくて仕方ない部分をひとつ白字で書くので
反転して読んでいただけると幸い
【ネタバレ】
ラストの部分であります
スパイの交換が終わったときに、ソ連のスパイはどうなるのか
その答えについて、「抱擁されるか、後部座席に黙って乗せられるかでわかる」
とだけ答えて、ソ連のスパイは「後部座席に乗せられた」わけだ、
その反対にアメリカのスパイは同僚に抱擁されて対比が生々しい、
その後の記述で、「ソ連のスパイはスパイとは認められず返還後妻とともに帰った」とされ
「アメリカのスパイは数十年後にヘリコプター墜落で死亡」とされた
これは、
「後部座席に乗せられた」=生存、
「抱擁」=処刑、
そういうことだったんだろうか、
つまり、アメリカが自国のスパイを許さず殺し(ヘリコプター事故に見せかけた)、
ソ連はスパイを許したという、ある種の皮肉をこめたのだろうか

もっというと、終始「東側を侮っている」アメリカを描き、
その描写に続いて、アメリカの衆愚を描く、
東側で出会うソ連は誰でもわかる嘘を見せていて、
東ドイツは阿呆を見る、
でも、ソ連のスパイは冒頭で鋭さを見せている、何よりも、
自分の運命について不安を覚える「必要がない」、
ひょっとすると、ずっとソ連が上手にいたんじゃないか、
交渉ごとと国益はイコールではなかったのではないか
誰かと、語り合いたいと思う疑問を覚えたのでありました

【以上ネタバレ】
というわけで、凄く楽しめた
いい映画だったと思うのであります