CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】背中の蜘蛛

2020-04-29 21:25:40 | 読書感想文とか読み物レビウー
背中の蜘蛛  作:誉田 哲也

不思議な読み応えの刑事モノミステリでした
凄い面白かったんだけども、最初に追っかけていた事件と、
違うのが本ボシで、そっちの解決を見て終わりってな感じなんだが
なんとなし、もやっとしたというか、
最初の事件はどうなったんだ、そんな簡単なオチだけでいいのかとか
やきもきしたというか、凄い面白かったのに
なんだろうか、違うところも気になってしまう終わりだった

最先端の捜査手法というのに焦点があたった内容で、
実際、どこまでが本当の話で、そういうことがあるのか、
そのあたり気になるんだけども、
凄いありそうだ、リアルに見えると、
内部事情をさっぱり知らない身分で読む分には、
物凄く面白く見えた小説でありました
最近の警察ではAIとデータ使って、こんなにあれこれできるのか…

実際がどうかというのはさておいて、
小説内でのその活躍っぷりと、その裏腹、維持、操作、活用には
途方もない労力が必要なうえに、そういった人材が払底しているというのが
また、いかにもありそうだなと思いつつ進む、
結局は、人間が足で調べていく、昔ながらの手法が
犯罪捜査というものには一番ではないかしら、なんていう、
浅はかというか、誰でも思いつきそうな感想も匂わせているのに
そうではない、ダークウエブをはじめとする、
犯罪の手段が異なっている世界を描いていて、興味深かったのでありました

とはいえ、捜査をするほうも、追われるほうも
やっぱり人間なので、最終的には普通の刑事モノと一緒とは語弊があるが、
人間の思考、感情が物凄く濃く出てきて、うなるというか、
そういうものを読んで、感動や興奮を覚えるんだなと
改めて思い知らされたようでもあって
大変楽しかったのでありました

人間のよさも描かれつつ、その感情があるからこそ、
嫌なこともおきているというのも、しっかりと描かれていて
どっちがどうしたなんていう、二元論には陥らず、
また、使い勝手、手段は手法で、本質ではないなんていう
薄っぺらい説教でもないのに、
なんとも、面白く、色々考えさせられながら読めた
よい小説でありました

なんだかんだ、この人の書く刑事たちのキャラクタが好きなんだな
いかにもキャラクタという感じの体育会系だけど、
作中に出てくるとおり、嫌いじゃない、むしろ好きなタイプだといいたい
そういう刑事ばかり出てきて楽しかった