森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

―好き―

2007-07-11 01:46:04 | 詩、小説
優しい風が 吹いてきたね

小雨が君の前髪を 濡らしている

君は少し微笑んで  

ああ、好きだなあと言う



そうだよね  僕も好きだよ

言わないけれど そう思う



少し大気が動けば 風が生まれ

天から落下する水滴は  大地を濡らす

その風にそよぎ  その雨を受け止めて

木々の緑や草花は  光り輝いている



あたし達、何処からきて何処に行くの

どうしてここにいるの


君が無邪気に そんなことばかり聞くもんだから

いつも僕は  大人の振りして 少し難しい顔をしていなくてはならないんだよ



だけど  



吹く風に少し小首をかしげ

右手を差し出して雨を受けながら

ああ、好きだなあと君は言う



僕は思わず君を後ろから そっと抱きしめる

だから 僕達はここにいるんだよ

声には出さないけれど  そう答えている




僕達は  何処から来て何処に行くんだろう

それは 僕にもわからない




君はやっぱり微笑んで

僕の手の上に君の手を添えて

―好き―と言った

うん、

僕はそう言ったんだ



君が尋ねたわけではないのは わかっていたけれど

なんたって僕は照れ屋なもんだから



君は幸せそうに微笑んで

ああ、好きだなあって  また言った















コメント (2)
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