森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

二月の扉「見るなの座敷」その3

2009-02-19 08:27:16 | ユーモレスクを聴きながら(book)

二月の扉「見るなの座敷」その2 の続きです。

―「見るな」と言う禁止事項は本当に「見るな」だったのか―

「見てはいけない」と言う禁忌は民話、昔話の常套ですが、私はこの物語のそれに、非常に違和感を感じるのです。

なぜなら同じ見てはいけないというタブーのある「鶴女房」は、見られては困ります。自分の正体がばれてしまいますから。

「見るな」ではなく「開けるな」ですが、「浦島太郎」は開けては困ります。歳を取ってしまうからです。

黄泉の世界のイザナミの部屋を覗いてはいけません。おぞましき死霊の姿が分かってしまうからです。(注:昔話的神話の発想です。)

でも、この物語では二月の座敷にいったい見られて困る何があったのでしょうか。さっぱり分かりません。

この話は別名で「鶯の内裏」と言うお話で、完結しているものもあります。と言うことは、二月、もしくは三月の部屋はそれらの棲家だったとか、または12ヶ月を一堂に集めておく原動力の部屋だったとか、いろいろ考えることが出来るような気もします。

最初に書きましたが、想像力を友にしてこの物語を思ってみると、一気にミステリー色などが強くなっていくのです。

私は、実は「見るな」は「見ろ」の仕掛け言葉だったのではないかと思うのです。

「見るな」と言って、出かけていき、そしてなかなか戻らない。そこに作為を感じませんか。

実は「見るな」「開けるな」ではなくて、自分達では開ける事が出来ない扉があり、それを通りがかりの者に開けさせると言う、異界の者の策略だったと言うお話。その為に、館の女性は迷い込んだ者を、優しく歓待するのです。男は扉を開けてしまいすべてを失ったからと言っても、別にコツコツと自分で築いてきたものを、失ってしまったと言うわけではなく、本来居た場所に戻っただけで、まあいい夢を見たと言っていいでしょう。

お話によっては金銀財宝が絡むものもありますが、やっぱりそれも別に努力したわけではないので、失ってもやっぱりいい夢と言えるかも知れませんね。

 

扉を開けさせた異界の者は、何者なのか、どうしたのかは分かりませんが、やはり春告げ鳥の化身なのかもしれません。

扉が開いて、春告げ鳥が鳴いて、そして里山から春が来るのです。男はあっけに取られてぼんやりと立ち尽くしていますが、やがて季節が春に変わっていくそんな気配に、ふっと微笑んで山を下りていく、そんなラストシーンなんて想い描いてしまいます。

夢から醒めてうつつの春に身をゆだねていく、そこに夢とうつつの絡み合う幻想的な物語が存在するような気がします。

 

二月の扉を開けてはならぬ~

いえいえ、

二月の扉は開けねばならぬ。開ければやがて芽吹いていた花々が競い咲きあう春がやって来るのです。

 


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相棒7-15「密愛」

2009-02-19 00:03:46 | ドラマ(相棒)

「相棒」のHPのストーリーの所に

相棒史上最高の一騎打ちがいま始まる!

とあったけれど、本当に一騎打ちでした。

登場人物は6人。右京さんと大学の時のフランス文学の恩師悦子、殺された榊、不審な男、向かい側の布団屋のおばちゃん、榊の前の妻。(とってもこの国最高の、学校の生徒には見えない大学生達は抜かして)

だけど岸恵子さんの存在感が凄かったです。
寒々しい冬の風景と、素敵な別荘、そしてハイセンスの岸さんのファッション。そこで繰り広げられる愛の物語。かつての優秀な教え子である窓際刑事と、美しかった初老の元教師の対決。今日の「相棒」そのものが、フランス文学のようでした。さながらフランソワーズ・サガンティストと言った所かしら。

私は岸さんの事を今まで、そんなに素敵だと思ったことがなかったのです。なぜなら彼女が演じた役で知っているのは、「悪魔の手毬歌」の犯人役だったり、特攻隊の物語の宿屋の女将だったりで、衣装もそれなりでした。でも今日は、いったい何着着替えたのと言うくらい素敵でしたよね。

岸恵子さんと国広富之さんの配役がぴったりだったのが良かったのだと思います。

密室殺人のトリックの鍵は「愛」だったとは。

真面目な顔をして、猿とかリすとか氷とか言っている右京さんには笑えました。もちろんわざと言っているのは分かっているのですが、あれはある意味ライター様(今回は古沢良太)の密室殺人トリックの日頃から思っている皮肉みたいなものでしょうか。

 

右京に分かってもらいたいから、彼を呼んだ。
でも、その理由は良心の呵責からではなく、自分が愛されたことを、ただ一人でいいから知ってもらいたかったから。

右京はその選ばれた一人だったわけですね。

恋人の為にブレンドされたハーブティに、謝る悦子の姿にちょっとジワーッと来ました。

 

今回がしっとりだったので、来週は賑やかにやってもらいたいですね。なんと来週の相棒は芹沢君ですよ。彼に相棒の役が回っていくなんて、実は微塵にも思っていなかったので、そこから「やられた~」と言う嬉しさがありました。来週も期待しちゃいます。

米沢映画のミニドラマは「マージャン編」。
「何だこの役は~!」
「敢て言わせていただくなら、主役かと。」って何時もこれは面白いですね。

 


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