WOWOWで2008年3月公演だった宝塚の「赤と黒」を観ました。
それでお芝居の感想以外にも、ちょっと「赤と黒」について思いつくまま書いてみました。
高校時代だったか、ヘッセとかサガンとかアガサばかり読んでいましたが、映画と同じで好みに偏りもなく、この「赤と黒」も読みました。でも最後まで読了した記憶がなく、ラストのあらすじを姉に聞いたか解説本を読んで済ましたか・・・?
それなのに、その頃の「好きな人リスト」に・・・って、本当にリストって言うわけではないのですが、好きな人の名前を羅列した詩(詩って言うのかな)に、しっかりと「ジュリアン・ソレル」と書いてあった私。
そう、ジュリアンは美しくて、野心家で聡明で冷たい男。でも、その内側は押さえられない熱情で溢れていたのですよ。
だいたい、名前が「ジュリアン・ソレル」でしょう。しかも作者名が「スタンダール」よ。なんだか素敵な響きではありませんか。
女子高校生よ。
「今ねえ、『スタンダール』の『赤と黒』を読んでいるのよ。ジュリアン・ソレルがねえ」とか言ってみィ、なんか超お洒落な感じがしない?
それとも、友達をなくす?
この物語を宝塚以外で観るとしたら、竜也君も凄くいいなあと思ってしまいますが、山本耕史君なんかも似合いそうだなんて、妄想キャスティングしてしまいました。
でもそうしたら、シナリオは「愛こそすべて」的なものではなくなるとは思いますが。またはこれを漫画で読むとしたら、やっぱり大島弓子の線の細い絵の作品で読みたいです。
「赤と黒」のあらすじや詳しい解説はwikipediaでどうぞ→こちらです。
そのwikiのページに書いてありましたが、イギリスのテレビドラマではユアン・マクレガーとレイチェル・ワイズが演じたそうですね。そういうイメージもありだなと思ってしまいました。
こんな風に少しも宝塚にたどり着きそうもないことを書いていると、まるで「宝塚」を否定しているかのようですが、そうではありません。見ていたら、いろいろなことを考えてしまったり、昔の事を思い出したりしてしまったのでした。
私が「宝塚版、赤と黒」を観て一番に感じたのは、分かりやすさだと思います。社会情勢から屈折した感情まで、非常に良く纏まっていて複雑な部分はこそぎとり、分かりやすくなっているお芝居でした。
ゆえに最後のジュリアンの愛の勝利者的なラストにも、説得力が出るというものです。「宝塚」はやっぱり「愛」と「恋」の世界なんですよね。
小説の中でもマチルダという気位の高い、個性的な貴族の女性に心惹かれました。彼女は最後にジュリアンの首を得て、ある意味、恋の勝利者。男の首を得ると言えば、サロメを連想してしまいますが、女性の密かな願望の中に、そういうものがあるのでしょうか。
自分の本意ではなかったにしろ、自分の裏切りに、元恋人のジュリアンに殺意まで抱かせたレナール夫人も、また恋の勝利者だったかもしれません。
宝塚版「赤と黒」の解説は→コチラです。
ジュリアン役は安蘭けい。
長い間この役を熱望していただけあって、適役でした。長い細い足が素敵。今年退団したばかりなので、これからの女優としての活躍が楽しみです。お名前の「アラン」と言う響きも素敵ですね。
だけど、私、この「赤と黒」って、才覚・美貌を兼ね備え野心もあったのに結局は女で失敗してしまった男って、少し思ってしまうのですが。