「JIN-仁」と共に楽しみにしていたドラマ。
こちらも大満足でした。
別に戦争シーンが好きと言う訳では決してありませんが、迫力がありました。旅順攻略は、それだけでも映画にする事が出来るくらいのお話ですが、(あれだよね。『山は死にますか~♪』って言うやつとか・・)、意外と短めでした。でも画面が揺れまくって緊迫感・臨場感がありました。
モンゴルロケは無駄ではありませんでしたね。
日本軍200の兵に、3000のモンゴル兵が登場してきた所での撤退シーンで、好古がしんがりを勤めると言った時、本当にカッコいい男だと思いました。ナレーションで戦国武将の再来と言われた好古の少年時代、または大阪の青年時代に彼の中にそのような片鱗が見えたのかとありました。ただ親切な青年であったという印象の方が強く、彼の勇気は彼の自己訓練によるものだったと言うような内容だったと思いますが(そんな感じという事で、言葉は実に不正確です)、そのナレーションに感じ入りました。
好古の働きもあって、半年かかると言われた旅順を僅か一日で落としますが、それも「してやったり~!」と誤解をさせる見せ方でないのが、好感が持てました。
―中国側の敗因は中国兵の志の低さだった・・・
一方真之はその翌年、巡洋艦「筑紫」に乗り込みますが、自分が命令した事によって、自分に心酔している部下の花田を戦死させてしまいます。自分は軍人には向かないと悩む真之。穏やかだった青年、好古の勇猛果敢ぶりと比較して、かつてはヤンチャそのものだった真之でしたが、その二人の対比に心惹かれました。
今回の物語の最初に巡洋艦「浪速」の「高陞号(こうしょうごう)」撃沈エピソードが描かれました。偽りの国旗に惑わされずに攻撃の命令を出した東郷平八郎に、最後に良き指揮官とはと真之が問いかける展開は、上手い運びだなと思いました。
決断は一瞬。でもその一瞬にだす決断を正しいものにするかは、その前に膨大な時間をかけて鍛錬するべきものなのですね。
一方子規は、従軍記者として戦地に赴きます。この時の子規の喜びようには、今では理解しにくい武士の時代の隣の時代に生きた男子の心意気を感じました。
だけど、既に日清両国間で講和談判が始まってい手、子規の従軍はただ行っただけになってしまいました。ただそこで後の森鴎外である、森林太郎と出会い戦争の真実を知ったのでした。戦死と言われた人の3分の2が病死であったと言う現実。
日本はそんな事実を反省の糧にせず、この後10年おきに戦争をしていったのかと思うと、何か口の奥が苦くなる様な気がしました。
帰途に付く途中、船底にいる子規に、仲間が「フカがいるぞ!」と呼びに来ます。子規はいつもそんな仲間に囲まれているんだと印象深かったです。でも、その甲板で子規は喀血してしまいます。
ちょっとお話前後して・・・・
五月雨や 大河を前に 家二件
良い句ですね~。与謝蕪村の作なんですね。
「俳句は写生」と熱く語る子規。思わず「子規~」とか言う気持ちになってしまいました。従軍に行く前に何処にも行けない自分を嘆いている子規に日本新聞の上司は、君の戦場はここにあると伝えるシーンなのですが、良いシーンでした。でもそう言われても、自分に納得が行かなかったのです。
「JIN」では妹の気持ちを理解する、良い兄が出てきましたが、ここでは一目見て兄の心を理解できる妹がいました。真っ赤な楓を縁側の敷石で白い布に石打をする兄。心を吐き出すかのようなその行いと、布に写った赤の色。
妹は涙ぐみながら「ほんに綺麗。」と言うのでした。
子規は行動が、既に俳句じゃんと、ふと思ってしまったシーンでした。
二人の軍人好古、真之たちの物語は、それぞれ面白かったのですが、ペンが武器の戦士、子規の物語が、妙に心に残ってしまいまいました。
彼らはそれぞれ寿命が違いますが、物語はどういう展開になっていくのでしょうね。