天授庵の次は山門に上ることにしました。
高い所は昔から苦手ですが、近頃ではこの程度は大丈夫なのです。問題は急激な階段をこの足で上れるかなのでした。だけど、階段の横に太い綱手で手すりが作ってありました。それにつかまりながら山登りの感覚で上るとチョー楽ちん。
私の先を上っていたおじ様がいきなり振り向いて、
「そこ、頭をぶつけないように気をつけろよ。」と言いました。
なんてー、
なんて親切な人なんだろうと感激しかけた時、妙にその方は照れて
「あっ。うっ。」などと言ったのです。
ははーん。
この人はすぐ後ろにお仲間がいると思い込んでいたようです。
なのでワタクシ
「はいよ~。」と答えて、そして同じように振り向いて見知らぬおばさま方に
「そこ、頭ぶつけないように気ぃつけるんだよ。」と言いました。
数年前だったら、私はニコヤカに「はぁ」とか言うだけが精一杯だったと思います。歳を重ねておばさん化するのは、そうそう悪いことばかりでも無いようです。
と、さりげない自慢話はさておいて、山門の上から眼下を見下ろすと、先ほどの天授庵の東庭が見下ろせるのでした。中庭の真ん中にある松のポジションを「その1・天授庵」の記事で見比べてくださるとわかると思います。
以下は見下ろした風景。
以下は見渡した風景。
抜きん出ている松の木。まっすぐに伸びて伸びて、みんなを抜いたところでようやく葉を茂らせているんだね。
眼下の紅葉も素敵だけれど、こういう風景はやっぱり上ってみなければ分からないものだと思います。
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だけど私こういう木を見ると、
お~い、寂しくないのかッて思っちゃう。
遠いお山の向こう側、ちょこんと見える塔の頭を仲間と思って
「おーい、おーい」って呼びかけているんじゃあないのかな。
ずっと昔に切り倒されて仲間の躯で作った塔とも知らずに・・・・・