森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

「泣くなパリっ子」☆私の漫画史

2016-07-31 16:29:55 | 漫画・マンガ・まんが

「私の漫画史 その2」

私が少女漫画が大好きになっていった原点のような作品、それが「泣くなパリっ子」。

その作者は「王家の紋章」の細川智栄子氏なのですが、この方は、私が物心がついた頃には既にプロの漫画家だったのですよ。

今リサーチしたら、1935年生まれで81歳だそうです。

なんかもうそれだけで凄くないですか。現役ですものね。

 

ところでワタクシ、ドラマ好きと公言していますが、あまりラブストーリーって見ないんです。かなり昔の百恵ちゃんと友和さんの赤いシリーズとかほとんど知らないし、あと韓流ドラマもかなり昔にちょっとだけ嵌っていた時期もあったのだけれど、それも今は見ません。

それと言うのも、私はドラマはどちらかと言うと物語の流れ重視の方なんですが、チョロチョロって最初見るでしょ。そうすると、だいたい「あっ、これ、前に漫画で見た。」ってなることが多かったんです。その漫画と言うのは、なんとなく皆彼女の漫画だったように思うのですよ。

そして彼女は、小学校に上がったばかりの私の感覚でも、少女漫画界の女王のような風格を感じていたのです。

ちょっと彼女の漫画の事を、もっと熱く語りたいような衝動に駆られているのですが、それは少しだけ我慢して「泣くなパリっ子」のお話だけに絞って書く事にしますね。

 

私が今、このお話の話をツッコミを入れながらルート君に話すと、彼は爆笑しながら聞いていると言うのをひとつ前の記事で書きましたが、それはあの時の常識が今となっては通用しないと言うことが言いたいだけです。

 

昔、ええと、結婚する前だったかSFマガジンに戦前の物語の面白さを熱く語ったエッセイが載っていました。雑誌の記事は読み捨てられることが多いと思いますが、今でも誰が書いたのかも定かではないその読み物を忘れる事が出来ません。その戦前の物語と言うのは「黄金バッド」などと言うような冒険譚。黄金バッドに敵対する暗闇バッドや謎の怪しい怪物たち。

『ヒロインたちをかってに拉致しておきながら
「我々は人間が好かんのだ。」などと言う。じゃあ、連れてくるなと言ってやりたいが、そこはスルーで・・・・』と言うような事が書いてあり、矛盾しつつその世界観の面白さがたまらないと読者を誘ったのです。

 

私のツッコミはそれと似たようなものだと思って頂きたいと思います。

 

パリに住んでいたナオミは母を亡くして、日本にいる父を探しにフランスから密航して日本にやってくるのです。

もうそこからドラマチックでしょう。

父や母を探してと言うのは、少女漫画ばかりではなく児童文学の定番の物語ですよね。そして海外なんてあまりにも遠い世界だった時代に、しかも憧れのパリのような所から少女が一人、「密航」して日本にやって来るんですよ。これでワクワクしない昔の女の子って居ないんじゃないかしら。

どういう経緯だったか、日本でもすぐに親切な家族に面倒を見てもらいながら、彼女は実はピアノの天才で父を探しながらピアニストを目指すのです。

その物語の佳境・・・・。

面倒を見てもらっている家族の中には、ナオミを良く思っていない少女がいるのです。同じようにピアニストを目指す彼女はある日、階段の上から、その上に飾ってある彫像を落とすのです。

(久しぶりに登場。マイアイコン。)「だいたいね、そんな危ない所にそんなものが飾ってあるって言うことも信じられないんだけれど、何でか不思議には思わない昔のワタクシ。そして上から落としても、頭に当たっちゃうかもしれないしお腹に当たっちゃうかもしれないし、もしくは真横にそれる場合も確率的には高いんだけれど、何でかどんぴしゃりで掌の上に落ちて、手を潰しちゃうのよね。そしてお約束通り指は動かなくなりピアニストの道は断たれてしまうと言うわけ。」

(やはり、久々登場。ルート君)「狙いは絶対に外さないって、ある意味素晴らしすぎるよな。」

「この物語の素晴らしいのは、この先よ。ショックのあまりナオミはその家からいなくなってしまうの。でもその家族が凄く心配していると、ある時から、彼女を家族みんながちょっとずつ目撃するようになるの。

ある時は、その家の少年がバスに乗っていると、車窓から見た横断歩道に立っていたりして、次のバス停であわてて下りてそこに行ってみるのだけれど、もちろん彼女はそこにはいなくて、またある時はお兄さんが、歩道の向こう側を走って行く彼女を見かけて追いかけるのだけれど、やはり見失ってと言う風に続くのね。セリフが『あっ!』『あっ!』の連続よ。

いったいどうしちゃってるんだろーってみんながマックスに思った頃、彼女はおもむろにその家に帰って来て、そして・・・・・・」

「そして?」

「バーンとバイオリンを取り出して演奏し、そこに居たみんなを感動させたのですよ。」

「えええー!?」

「えっ? やっぱりそう思う?  

 

だけど、この最終回で私は感動しました。ピアノがダメならバイオリンがあるさと言うのは一つの楽器を極めようとしている方々から言わせれば、「だから漫画」と言わざるを得ない部分だと思います。

でも漫画だと思って読んでいる幼き私には、感動する罠がその物語には仕掛けてあったのですよね。

起承転結を繰り返して連載物は続いていくと思うのですが、全体の大きな起承転結で、指が動かなくなると言う大きな「転」の部分から最終回の「結」までを、あまり引っ張らないと言うのも読者層を考えていたのか素晴らしかったと思います。つまり出奔した後のナオミの苦悩と立ち直るまでの彼女の心の軌跡を簡単な説明で終わらせ描いていないのです。

すれ違って目を合わせても、謎の微笑みを残し彼女が去ってしまったと言うシーンもあったような気がします。つまりチョイ見せとすれ違いを繰り返し見せるのって、ラブストーリーの定番だと思うのです。しかもこの場合はサスペンス色も強いんですよね。

だからナオミが現れてバイオリニストとして復活した姿を見た時、読者は頭の中で彼女の血のにじむような努力の時間を想像すると言うわけなのです。そして復活して登場してくるので、誰も恨んだり憎んだり、ヒロインはしないのです。

そして探していた父は、ずっと近くで応援していてくれたピアノの先生だったんじゃなかったでしょうか。

なにせ6歳、または7歳の時の記憶なので間違えていたらごめんあそばせ。

 

とにかくこの漫画が大好きで、そして少女漫画全体が大好きになった私にとっては、この作品がその始まりの一作目だったような、そんな作品なのです。

 

 

 ←オークションの所からお借りした画像です。なんと最終的なお値段が11万越え・・・・!!

でも私・・・・

めちゃめちゃ好きだったがゆえに、逆に今は絶対に読みたくないような、そんな気がします。

 

細川智栄子氏の事は、またこの先でちょっと書かせていただく事もあるかと思いますが、とにかく今の彼女の作品は、「王家の紋章」ですよね。この物語、「ガラスの仮面」と共に作者が生存中に終わらせることが出来るのかと言われているものなんですが、この記事を書くにあたって、いろいろな所を読んでいて、この物語のあらすじを読んでいたら、ちゃんとちょっとずつ進んでいるんですよね。いつかまとめて未体験のネットカフェに行き、一気読みしたいと思います・・・・・って、61巻もあるんじゃ、無理だな(^_^;)

 

因みに今年の夏、なんと帝国劇場でミュージカルでやるそうですよ。

そのHP→ここです。

 

 

 

 

王家の紋章 連載40周年アニバーサリーブック(プリンセス・コミックス)
細川 智栄子あんど芙~みん
秋田書店

 

 

王家の紋章(61)(プリンセス・コミックス)
細川 智栄子あんど芙~みん
秋田書店

 

 

 

伯爵令嬢 (1) (Hitomi comics)
細川 智栄子,芙~みん
秋田書店

 

 

コメント (2)
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