若い頃の結婚する前、小さな私と背の高い夫殿が歩いていると、近所の人から
「チッチとサリーみたいね。」とよく言われました。
私たち夫婦も結婚してから、まあまあの年数が経ってしまいましたが、その漫画「小さな恋の物語」は未だに続いていて、作者のみつはしちかこさんも82歳になられました。
私は最近、年齢的には立派なおばあさんの明るいエッセイを読むのが好きになっています。
昨年は田村セツコさんの本に嵌っていたと思います。嵌ると言っても3冊ですが。
「年齢的には立派なおばあさん」などと一見失礼な言い方ですが、わたしは「おばあさん」にネガティブなマイナーなイメージは持っていないので、やはりある程度の年齢になったら、その言葉も自然に受け入れたっていいのではないかと思っています。
80を過ぎても現役で、自分の考えをしっかり持っているなんて、私から見れば、それこそがキラキラしているように見えるんですね。
80歳という年齢は、残念ながら誰でも迎えることが出来る歳ではないのだと、最近では思っています。だけどもしその年齢を迎えることが出来るのならば、「いつか行く道」です。そのいつか行く道でキラキラしている人の言葉を敢えて聞いてみたいと思うのは、普通の感情だと思います。
みつはしちかこさん、いろんなものに片思いをしながらときめいて生きていらっしゃいます。素敵です。
だけどそんな彼女にも、鬱という病気と闘う日々があったりしたのです。
その病気にもうまく付き合いながら彼女は、日々に感謝しながら過去や今を大事にしていました。
印象深かったのは、彼女と手塚治虫氏のエピソードかもしれません。
それを読むと、ますます手塚氏の事が好きになってしまいました。神様のような存在だったのに、気さくでファンにも優しく、そしてマメな人だったのだなと分かるのです。
サイン会でファンの人のリクエストに応えて、さらさらとイラストを描いて渡す氏の様子が書かれており、私もそんなサイン会に参加したかったな心から思いました。
みつはしさんは新作が出ると、親しい人たちに本を贈呈するのだそうですが、手塚氏からの温かいお返事、そしてそれが最後の手紙になってしまったお話は、さらに印象的でした。
家宝なのに、今それがどこにあるのか分からないという点も含めて^^
また「出来ないことはできないと降参したっていいんじゃない。」という考え方にも新鮮な印象を受けました。
日々進歩していってしまう日常で、取り残されていろいろな事を「やらない人」が結構周りにもいませんか。「やれない」のではなくて、最初から「やらない」のです。その「やらない」というのも実は「やれない」の一つなんですよね。
なんだかそれは情けない事のように感じて、自分はずっと頑張っていきたいと思っていました。おおむね、他の人の著書を読んでも「頑張っている」という姿に共鳴し、勇気を貰ったりもするのですが、みつはしさんのはちょっと違うような気がするのです。
一言で言うと、なにげに「ゆるい」。でもその「ゆるさ」がたまりません。
それはもしかしたら、鬱という病気で苦しんだ方のある種の悟りかもしれません。
一人暮らしになったときに、一軒家からマンションに引っ越した時にかなり捨てたからというのもあるかもしれませんが、「断捨離」はしないとはっきり言っているのもいい感じです。
「過去のことを悔やまない 未来の事を心配しない」
「老後ではなく まだ老中だと認識して暮らす」
励まされますね。
「想像の翼を広げて 毎日を輝かせる」
深く共鳴します。
今日も雨。
楽しい雨の日を ♪
(6月1日に読了)
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