「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

【協働 UPDATE4】ボランティア再考

2007-07-08 11:03:34 | NPO・地域力
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質問:
持続可能な未来へとつながる地域づくりを進める上で、市民参加は、不可欠なものであり、様々な場面で、ボランティア活動が展開されています。
 次にあげる5つの項目(A~E)は、ボランティア活動とはどのようなものかを整理したメニュー表だと考えてください。
 あなたが、ボランティア活動を進める上で、重要だと思う項目から順に、1、2、・・・5、と順位付けして並び替えてください。

メニュー表
A社会的な目的を達成する無償の行為である。

B自分ができる範囲で行う社会参加である。

C仲間づくりのための活動の場である。

D社会的使命感を持って行う市民活動である。

E好きだからこそやれる自己実現の行為である。

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さて、重要度の順位付けは、どのようになりましたでしょうか。





ちなみに小坂は、
E好きだからこそ>C仲間作り>Bできる範囲>A無償>D社会的使命感
であった。

ワークショップを一緒にした同じグループの5人の回答は、
B出来る範囲>A無償>C仲間作り>E好きだからこそ>D社会的使命感(高齢、女性)
B出来る範囲>A無償>D社会的使命感>C仲間作り>E好きだからこそ(高齢、女性)
B出来る範囲>D社会的使命感>E好きだからこそ>A無償>C仲間作り(同年代 女性、町会に参加)
B出来る範囲>D社会的使命感>E好きだからこそ>A無償>C仲間作り(同年代 女性)
E好きだからこそ>B出来る範囲>A無償>D社会的使命感>C仲間作り(同年代 女性)

小坂の順位付けの理由は、
 E好きということがまず、なんでもたいせつで、好きなことでないと、長続きはしない。好きなことをやっている結果として「自己実現」もついてくる。好きというのが、第一優先とした。
 また、一人で好きなことをやっても楽しくない。C仲間がいることで、楽しさが増し、長続きすることになる。第二の優先順位を。
 無理をしても長続きできないので、Bできる範囲をすることも大切であり、第三の優先。
 D社会的使命感は、責任も発生するわけで、大切なのであるが、使命感だけでは、疲れてしまうから、順位が一番低くした。
 A無償の行為とあるが、無償でないボランティアの形もあり、一概にはいえないので、優先順位を低くした。

 各自優先順位の自己決定をした後、同じグループ内で話し合いをもち、グループとしての順位付けを行った。
 結果は、E好きだからこそ>Bできる範囲>C仲間作り>A無償>D社会的使命感。
 集団決定までのプロセスは、グループでは、上述のように無理のない参加をしたいという考えから、B自分のできる範囲でを第一優先にする人が多かった。Eの好きだからやるのであれば、趣味でもできるではないかという意見もあった。ただ、Eの好きだからやるということをすることで楽しくしなくては、長続きしないという意見で、まとまり、E好きだからこそを第一優先に、そして第二優先は、B自分のできる範囲ということに落ち着いた。そして、C仲間作りは、結果としてついてくるもので優先順位を低くしたという意見が合ったが、仲間がいることで、一人で好きなことをするより、楽しさが増し、活動が長続きするということで、第三番目の優先順位に。D使命感でやっていると、無理が出て、長続きしないので、一番低い順位に。そして最後に残ったもののA無償の行為は、自動的に第四の優先順位となった。

 自己決定の後、グループ内で優先順位の集団決定行った。自己決定だけでいいのではと思う方がいらっしゃるかもしれない。そうではない。このプロセスで、自分の考えがわかり、価値が明確化し、グループの中で、自分の考えが試され、自分の考えがさら深まるのである。その後、「ボランティアとは?」という講義を受けると、理解の達成度が飛躍的に伸びるのである。

 
 考え方は、様々であり、当然、この質問に正解はないのであるが、この質問作成者の作成者の意図を解説すると、
 「自らが行う」という「自発性」の行為であるという「ボランティア」について、
ABDの質問から、
A「社会的」な目的を達成する無償の行為である。
B自分ができる範囲で行う「社会参加」である。
D「社会的使命感」を持って行う市民活動である。
と「社会」という言葉を入れており、
ボランティアの「公共性」「社会性」の側面を問いかけた。

BCEの質問から、
B「自分ができる範囲」で行う社会参加である。
C「仲間づくり」のための活動の場である。
E「好きだからこそ」やれる自己実現の行為である。
というところから、ボランティアの「持続性」の側面を問いかけた。

各質問を型で述べるのであれば、
A社会的な目的を達成する無償の行為である。
⇒社会事業タイプ

B自分ができる範囲で行う社会参加である。
⇒自己責任タイプ(出来なくなったら、やめていいのかという問題はある。)

C仲間づくりのための活動の場である。
⇒同好会タイプ(同好会のことをサークルというが、ボランティアは、輪を広げることが大切。閉じた輪でなく、開かれた輪でなくてはならない。)

D社会的使命感を持って行う市民活動である。
⇒市民活動タイプ(「社会的使命感」簡単に言うと「放っておけないという気持ち」があってなされることがある。)

E好きだからこそやれる自己実現の行為である。
⇒自己実現タイプ(「自己実現」が目的化すると「社会性」を失うので気をつけねばならない。)


 ボランティアの位置づけを、二つの座標を使って明確にすることができる。
一つは「個人」と「社会」という座標。もう一つは、「手段」と「目的」という座標。
 「個人」の「手段」で、「個人」の「目的」を達成するものを「趣味」という。
 では、「社会」的「手段」を用い、「個人」の「目的」を達成することは、「行政サービス」という。
 「社会」的「手段」を用い、「社会」の「目的」を達成することは、「公共事業」。
 それでは、「個人」の「手段」を用い、「社会」の「目的」を達成するのが「ボランティア」

 なにかワークショップを通じ、「ボランティア」という雲をつかめた気がする有意義な時間を過ごせた。そして、昨日書いた「合意形成」のワークショップの実践でもあった。二つ得した気分。


NPO法人生態教育センター
理事長 小河原孝生氏による
ワークショップを受講した再現。










コメント
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