第2回子どもの発達と絵を学ぶ会(仮称)が、
下記要領で、開催され出席してきました。
出席の問題意識は、11/16開催の中央区立知的障害者生活支援施設「レインボー明石」の52人展から来ています。障がいのある方が、すばらしい絵を描いていらっしゃいました。私の胸には、応える作品の数々でした。彼等の絵の才能が延びる環境を整えることが頭にあり、発達と絵を学ぶこの会に出席を考えました。
あと、特別講演が、「5歳児健診」に関することであったのも、出席の要因です。小児科医としては、「5歳児健診」も制度として導入することの必要性を感じています。昨年度、委員会でも質問し、その後、問題意識をずっと持っています。
記
日 時:平成20年11月23日(日)朝8時半より午後1時半まで(途中参加も可)
場 所:サンメンバーズ神戸(新神戸駅北1,2番出口徒歩3分)
参加費:1500円
内 容:
8時半~ 参加者が持参した絵について、様々な角度から評価します。
10時~ 教育講演「子どもの発達とその障害―5歳児健診から」
小児科内科三好医院院長・徳島大学医学部臨床教授
宮崎 雅仁先生
11時~ 遠城寺式発達検査、新版K式発達検査、人物画知能検査、バウムテスト、言語発達検査、K-ABC、心の理論課題検査などについて勉強します。発達障害の幼児は言語的な問題を抱えているので、言語発達検査に慣れることも必要です。
12時半~ 昼食をとりながらディスカッション
以上、
非常に勉強になる会でした。
特に、実際に、東かがわ市で、5歳児健診を実施されている宮崎先生のお話は、非常に参考になりました。
子どもの定期健康診断は、一ヶ月、三ヶ月、六ヶ月、九ヶ月、一歳半、三歳、就学前健診などがあります。
5歳児健診は、一部自治体や、問題意識のある小児科の先生が、自分の園医をする幼稚園で独自に実施していたりします。
子どもの脳は、年とともに成長発育していきます。人間が、人間として生活するのに大事な脳の部分である「前頭前野」は、4歳~5歳で発育がほぼ完成します。その発育をみるのが、5歳児健診です。
発達障害としての、対人関係の障害としての高機能広汎性発達障害、行動障害としての注意欠陥多動障害、認知障害としての学習障害、不随意運動をもつ慢性チックなどの障害、運動障害としての発達性協調運動障害、全体的な知的機能の障害としての軽度精神遅滞を、5歳児健診で診断することが可能です。小学生の5~6%の子に上記のなんらかなものをもった子がいると報告されています。
5歳児ですので、幼稚園の年中です。早期に発見して、早期介入・治療を行うことで、スムーズな小学校生活への移行を目指します。
3歳児健診では、脳の発育は、側頭葉や頭頂葉付近までであり、前頭前野まで発育していないため、前頭前野の発育と大いに関係する上記疾患を診断できないことが多々あります。
東かがわ市は、3~4万人の総人口で、一学年の子ども数は200~300人です。
東かがわ市福祉課、子ども健康課、教育委員会の庁内の連携と、療育センターと小児科医院の連携で、実施にいたりました。
平成17年は、3箇所でモデル事業をし、18年から全市で実施。これから三年間の実績をまとめていく段階です。
対象:年中相当児。参加・不参加は保護者の自由
会場:通園中の幼稚園、保育園、平日午後に実施。
(親もいっしょに受けに来る。園に通わない子も最寄園で実施)
方法:
①チェックリストでスクリーニング
28項目の質問を、3段階の答えから選ぶ。
②保健師の問診
③療育センタースタッフによる発達検査、生活観察
発達検査は言語・動作全7項目
④小児科医・小児神経科専門医による診察
会話・動作模倣・協働運動など全9項目
)問診
*何組?
*お母さんの名前は?
*カレーとうどんは、どちらが好き?(さすが、香川という質問!小坂注)
*お母さんのカレー(うどん)は、おいしいですか?
)診察
*視診
*聴診
*触診
)神経学的診察
*両手を前、横、上にあげる
*手指のタッピング、親指と他の指との対立運動
*両方の手首を左右に動かす(回内、回外)
)概念について
*右はどっち、左はどっち
*ジャンケンをして勝者を決定する
などなど
⑤成長・発達判定会議で総合評価。
園の先生も入る。
①~⑤をして、すべてで1時から5時まで4時間かかる。
一回に20人から30人。(医師一人の場合)
実績:
①三年間で664人対象者で、644人受診。
受診率97.0%
②経過観察135名(21.0%)
③664名中39名(5.9%)が要医療と判定
④要医療の39名の内訳
22名自閉症
7名軽度精神遅滞
3名注意欠陥多動障害
4名反応性愛着障害(虐待関連の子もいる)
1名分離不安障害
2名その他
⑤要医療の39名の3歳児健診での結果
12名正常の判断
23名経過を見る
ということであった。
⇒三歳児健診では、診断しきれないことがわかります。
経過観察といわれた23名をあらためて評価しなおす場の必要性もわかります。
早期介入:
生活リズムの改善
生活環境を、改善(時間・空間的構造化)
共同作業・遊び
手指を使う
読み書き計算
薬物治療
小坂の感じたこと:
①五歳児健診は、とても有意義なこと
年中でみつけ、年長の一年間をかけて、小学校生活の準備ができる。就学時健診でわかっても、間に合わない。3歳児健診なら見付からないことが多い。
そして、実際の学校現場では、5~6%に特別な支援の必要が子がいる現状がある。
②行政、教育、福祉センター、医療機関の連携があってこそ、なしうる
③診断をつけて、フォローできる態勢が整って、実施すべき。
フォロー態勢がないうちで、診断をつけるだけなら、やらない方がよいかもしれない。
④専門医療機関の予約外来は、半年待ち以上、
小児精神科の人材不足
⑤健診で医師の技量の差を埋める必要がある
⑥小児科かかりつけ医をもつことで、フォロー態勢もなお充実
⑦昔なら、集団の中で育っていたため、要医療の子がいたとしても、自然と医療ケアがなされていた。現在、少子化、孤立化され、その環境がない。
⑧5歳児健診を実施することで、幼稚園の先生も、小学校の先生も、両者非常に喜んでいる状況であった。
幼稚園では、対応の仕方が、分かるから。そして、診断を前提に、保護者の方と対応を考えることができるようになる。
小学校では、その対応を十分なされて、小学校にあがってくるから。
以上、参加して、学んできたことでした。
下記要領で、開催され出席してきました。
出席の問題意識は、11/16開催の中央区立知的障害者生活支援施設「レインボー明石」の52人展から来ています。障がいのある方が、すばらしい絵を描いていらっしゃいました。私の胸には、応える作品の数々でした。彼等の絵の才能が延びる環境を整えることが頭にあり、発達と絵を学ぶこの会に出席を考えました。
あと、特別講演が、「5歳児健診」に関することであったのも、出席の要因です。小児科医としては、「5歳児健診」も制度として導入することの必要性を感じています。昨年度、委員会でも質問し、その後、問題意識をずっと持っています。
記
日 時:平成20年11月23日(日)朝8時半より午後1時半まで(途中参加も可)
場 所:サンメンバーズ神戸(新神戸駅北1,2番出口徒歩3分)
参加費:1500円
内 容:
8時半~ 参加者が持参した絵について、様々な角度から評価します。
10時~ 教育講演「子どもの発達とその障害―5歳児健診から」
小児科内科三好医院院長・徳島大学医学部臨床教授
宮崎 雅仁先生
11時~ 遠城寺式発達検査、新版K式発達検査、人物画知能検査、バウムテスト、言語発達検査、K-ABC、心の理論課題検査などについて勉強します。発達障害の幼児は言語的な問題を抱えているので、言語発達検査に慣れることも必要です。
12時半~ 昼食をとりながらディスカッション
以上、
非常に勉強になる会でした。
特に、実際に、東かがわ市で、5歳児健診を実施されている宮崎先生のお話は、非常に参考になりました。
子どもの定期健康診断は、一ヶ月、三ヶ月、六ヶ月、九ヶ月、一歳半、三歳、就学前健診などがあります。
5歳児健診は、一部自治体や、問題意識のある小児科の先生が、自分の園医をする幼稚園で独自に実施していたりします。
子どもの脳は、年とともに成長発育していきます。人間が、人間として生活するのに大事な脳の部分である「前頭前野」は、4歳~5歳で発育がほぼ完成します。その発育をみるのが、5歳児健診です。
発達障害としての、対人関係の障害としての高機能広汎性発達障害、行動障害としての注意欠陥多動障害、認知障害としての学習障害、不随意運動をもつ慢性チックなどの障害、運動障害としての発達性協調運動障害、全体的な知的機能の障害としての軽度精神遅滞を、5歳児健診で診断することが可能です。小学生の5~6%の子に上記のなんらかなものをもった子がいると報告されています。
5歳児ですので、幼稚園の年中です。早期に発見して、早期介入・治療を行うことで、スムーズな小学校生活への移行を目指します。
3歳児健診では、脳の発育は、側頭葉や頭頂葉付近までであり、前頭前野まで発育していないため、前頭前野の発育と大いに関係する上記疾患を診断できないことが多々あります。
東かがわ市は、3~4万人の総人口で、一学年の子ども数は200~300人です。
東かがわ市福祉課、子ども健康課、教育委員会の庁内の連携と、療育センターと小児科医院の連携で、実施にいたりました。
平成17年は、3箇所でモデル事業をし、18年から全市で実施。これから三年間の実績をまとめていく段階です。
対象:年中相当児。参加・不参加は保護者の自由
会場:通園中の幼稚園、保育園、平日午後に実施。
(親もいっしょに受けに来る。園に通わない子も最寄園で実施)
方法:
①チェックリストでスクリーニング
28項目の質問を、3段階の答えから選ぶ。
②保健師の問診
③療育センタースタッフによる発達検査、生活観察
発達検査は言語・動作全7項目
④小児科医・小児神経科専門医による診察
会話・動作模倣・協働運動など全9項目
)問診
*何組?
*お母さんの名前は?
*カレーとうどんは、どちらが好き?(さすが、香川という質問!小坂注)
*お母さんのカレー(うどん)は、おいしいですか?
)診察
*視診
*聴診
*触診
)神経学的診察
*両手を前、横、上にあげる
*手指のタッピング、親指と他の指との対立運動
*両方の手首を左右に動かす(回内、回外)
)概念について
*右はどっち、左はどっち
*ジャンケンをして勝者を決定する
などなど
⑤成長・発達判定会議で総合評価。
園の先生も入る。
①~⑤をして、すべてで1時から5時まで4時間かかる。
一回に20人から30人。(医師一人の場合)
実績:
①三年間で664人対象者で、644人受診。
受診率97.0%
②経過観察135名(21.0%)
③664名中39名(5.9%)が要医療と判定
④要医療の39名の内訳
22名自閉症
7名軽度精神遅滞
3名注意欠陥多動障害
4名反応性愛着障害(虐待関連の子もいる)
1名分離不安障害
2名その他
⑤要医療の39名の3歳児健診での結果
12名正常の判断
23名経過を見る
ということであった。
⇒三歳児健診では、診断しきれないことがわかります。
経過観察といわれた23名をあらためて評価しなおす場の必要性もわかります。
早期介入:
生活リズムの改善
生活環境を、改善(時間・空間的構造化)
共同作業・遊び
手指を使う
読み書き計算
薬物治療
小坂の感じたこと:
①五歳児健診は、とても有意義なこと
年中でみつけ、年長の一年間をかけて、小学校生活の準備ができる。就学時健診でわかっても、間に合わない。3歳児健診なら見付からないことが多い。
そして、実際の学校現場では、5~6%に特別な支援の必要が子がいる現状がある。
②行政、教育、福祉センター、医療機関の連携があってこそ、なしうる
③診断をつけて、フォローできる態勢が整って、実施すべき。
フォロー態勢がないうちで、診断をつけるだけなら、やらない方がよいかもしれない。
④専門医療機関の予約外来は、半年待ち以上、
小児精神科の人材不足
⑤健診で医師の技量の差を埋める必要がある
⑥小児科かかりつけ医をもつことで、フォロー態勢もなお充実
⑦昔なら、集団の中で育っていたため、要医療の子がいたとしても、自然と医療ケアがなされていた。現在、少子化、孤立化され、その環境がない。
⑧5歳児健診を実施することで、幼稚園の先生も、小学校の先生も、両者非常に喜んでいる状況であった。
幼稚園では、対応の仕方が、分かるから。そして、診断を前提に、保護者の方と対応を考えることができるようになる。
小学校では、その対応を十分なされて、小学校にあがってくるから。
以上、参加して、学んできたことでした。