養育家庭、NHK朝の連続ドラマ『瞳』で取り上げられていたテーマのひとつです。
東京都では、養育家庭制度を、「ほっとファミリー」という愛称で呼んでいます。
養育家庭制度(ほっとファミリー)は、親のいない子どもや、親がいても様々な事情で家庭で生活できない子ども(社会的養護を必要とする子)を、児童養護施設などの「施設養護」ではなく、養育家庭で、育てる制度です。養子縁組を目的とせず、一定期間子どもを養育します。
虐待にあい、施設に預けられていた子達も養育家庭で育てられることもあります。
実際に、養育家庭を行い子ども達4人を育て上げた青葉紘宇氏(NPO東京養育家庭の会 会長)の体験談をお聞きしました。
体験談は、ビデオをみるよりも、はるかに実感をもって、養育家庭の様子を知ることが出来ました。
養育家庭を行うとき、身内の説得が難しかったそうです。
子どもがお金を持ち出したり、悪さをして、校長に呼び出されたり、辛いことは、とくに母親にとっては、たくさんあった。しかし、子育ては、生きがいであったといいます。
思春期になり、どうもうまく行かず、施設にもどった子がいましたが、それでも母親や文通などやりとりをしていて、その後、再度、養育家庭へ帰ってきた子もいました。
発達障害の医学的な診断がつく子もいた感を受けますが、そのような診断名は信用せず、ありのままのその子を受け入れて育てもしました。
青葉氏はいいます。施設の養護と、養育家庭での養護の本質的な違いは、養育家庭では、「ずーっとおつきあいがあること」だと。施設では、その施設を出ると、職員との付き合いはあっても、なかなかそういう気持ちは生まれにくいのでしょう。
また、私見と断った上で、欧米では、養育家庭が進んでいて、ほとんど養育家庭制度であるが、子どもは、養育家庭をつぎつぎに回って行く状態である一方で、日本は、割合はすすんでいないが、「家族の一員として受け入れている」と述べられていました。
小児科医療でも、虐待は、取り組むべき重要な“広義の病気”です。虐待に合った子ども達が、育つことができる環境整備に、養育家庭は欠かせないものです。
東京都では、平成17年3月、社会的養護を必要とする子は、約3700人で、全国の約1割です。その15%、560人が、養育家庭で育てられています。
さらなる制度の普及に努めて行きたいと思います。
11/5の会は、区役所八階大会議室で、午後2時から午後3時30分でした。聴講者は、30名弱。その中には、おそらく養育家庭の制度を普及する関係者や、学生さんもこられての数だと思います。
機会をとらえ、広報していく必要があると思います。
ひとつの出会いがありました。私の人生の2倍程生きられている大先輩の小児科医が来られており、面識を持つことが出来ました。
小児科医として、何とかしたい問題という相通じるものがあったのだと思っています。