8/11第61回原子力安全委記者会見を掲載します。(8/8第60回、8/4第59回はまだ掲載できていませんが先に第61回を掲載)
新聞記事によりますと、委員会最中に傍聴者からの不規則発言があり、委員会途中で終了されたということ。
調整運転中の泊原発の運転再開を規制する法的立場にないがために、原子力安全・保安院の報告を受けるに留まらざるを得なかったととれます。
法的根拠を与える手法はないものでしょうか。
ここでわかることは、二重チェックとして、現状では原子力安全委員会は機能しないということがです。
二重チェックが効かない、福島原発事故前と同じ“甘いチェック”の状況が続くのであれば、人災はこれからも繰りかえされることが危惧されます。
覆水盆にかえらずではございますが、福島原発事故は、防げたはずです。
国会議員の皆様、原子力安全委に二重チェックの力を与えていただけませんでしょうか。
だれか、よい手法は、ないですか?
いろいろな会議体がつくられることで責任の所在が不明確になり、物事が勝手に進んでしまってはなりません。
以下、記者会見ポイント。
*泊原発再開に対する原子力安全委員会の立場
⇒この定期検査というのは、その時にも申し上げましたように、あくまでも、規制行政庁である原子力安全・保安院の方が、責任を持って実施するものでございます。決められた検査項目について、厳正に現場確認等を行って、その上で合否を判断する。そういうものだというふうに理解しています。従いまして、安全委員会としては、本日は、あくまでも報告を聴いた、ということであるという立場でございます。
⇒容認するとか、了承するとか、そういう立場に安全委員会は法的にもないわけですので
⇒あくまでも、そういう報告を受けたということだけでございます
⇒原子力安全委員会というところは、これは規制行政庁ではありませんけれども、法律にのっとって動かざるを得ないという立場
⇒調整運転が長引いて、その後、また、更に、13か月運転するということであるならば、安全委員会としてはものを申し上げなきゃいけない立場なんですが、そうではないというふうに、保安院の方から回答がありましたので、とりあえずは、問題としては良い方向に向かう、というふうに考えております。
⇒原子力安全委員会というところは、規制行政庁ではないんです。そういう意味では、手足がないんですよ。何が主な仕事かというと、原子力安全確保に関する基本的な方針を示すこと。例えば、指針類とか、そういうものを策定しているわけです。そういう意味からいくと、ストレステストみたいなものを、是非、やってほしい。我々は、実は、ストレステストという呼び方はしなくて、総合的な安全評価をしなさいという言い方を、実はしていたんですが、これは基本的な考え方ですので、安全委員会の方から申し上げる。だけれども、個別の規制行為に安全委員会が乗り出すとしたらば、これは体制から、何から何まで見直さないと事実上、不可能だというふうに理解しています。
⇒だから、確認というのは報告して、ということだろうと思いますので、了承ということではない、というふうに理解しています
*そもそも調整運転という位置付け自体
⇒これは制度改正の問題になりますので、ちょっと、これからの議論を待ちたいとは思います。
*****原子力安全委員会ホームページより******
第61回原子力安全委員会記者ブリーフィング
日時:平成23年8月11日(木)18:30~18:48
場所:第4合同庁舎7階742会議室
参加者:班目委員長、久木田委員長代理、水間課長
○毎日新聞比嘉記者 毎日新聞の比嘉と申します。
今日、傍聴者の方から二重チェックになっていないという、批判が相次いでいましたけれども、安全委員会として、今回の泊原発の運転再開について、独自の見解を示さなかったことについてどのように考えているか、お願いします。
○班目委員長 まず、この定期検査というのは、その時にも申し上げましたように、あくまでも、規制行政庁である原子力安全・保安院の方が、責任を持って実施するものでございます。決められた検査項目について、厳正に現場確認等を行って、その上で合否を判断する。そういうものだというふうに理解しています。従いまして、安全委員会としては、本日は、あくまでも報告を聴いた、ということであるという立場でございます。
○毎日新聞比嘉記者 現行のルールはそういうのは分かっているんですけれども、今回に関しては、安全・保安院の方が信頼を失った─、一連の事故の経緯で信頼を失っているということで、それであえて、政府が通常の手続とは別に、安全委員会の意見を踏まえて決定するという方針を示していたと思うんですけれども、その政府の判断については、どのように考えますか。
○班目委員長 少なくともそういうような形で、私の方は何ら要請等を受けていませんので、それについてはコメントを差し控えさせていただきたいと思います。
○北海道新聞社十亀記者 北海道新聞社の十亀と申します。
今日は、泊3号の件なんですけれども、最後に委員長が、今、冒頭おっしゃったようなことを意見でおっしゃいましたけれども、これ実際、その後、保安院に適切にやってほしいということをおっしゃったわけですから、いわゆる最終検査の結果とか報告については、特に、やり直しをする必要があるとか、そういうことを言ったという認識ではない、ということは確認したいんですけれども、それはよろしいですか。
○班目委員長 あくまでも我々は、報告を受けたという、それだけの立場ということになります。
○北海道新聞社十亀記者 今日は、さっき30分ほど前なんですけれども、海江田万里経済産業相が経産省で記者団の取材に答えて、安全委員会の確認が、昨日の時点ではとれていなかったんだけれども、今日の時点でとれたので、あとは地元の調整だけだ、というお話もしているんですが、その確認という、事実上、容認したというふうには考えては良いんですよね。
○班目委員長 どう申し上げて良いか。例えば、容認するとか、了承するとか、そういう立場に安全委員会は法的にもないわけですので、ただ、以前、7月の初めの頃の記者会見の場で、今みたいな状況が続いているのは好ましくない、ということをこういうところで申し上げたことがありますので、それに対する答えとして、今日、保安院の方から報告があったというふうに理解しています。
○北海道新聞社十亀記者 その調整運転の長期化を、委員長が以前からご指摘されていて、だから、今日は保安院からは長期化のことも含めて報告があって、それに対して、保安院は問題がないという評価をしてきましたが、それについても異を唱えるのではなくて、あくまで報告は受けたという、そういうことですね。
○班目委員長 あくまでも、そういう報告を受けたということだけでございます。
○北海道新聞社十亀記者 あと、先ほどの方の質問で、今回は、通常の手続と異なったんではないかという話もありましたが、何ら要請は受けていない、ということもおっしゃっていましたけれども、それは、では誰に言われていれば、そのやり方が変わっていたのかもしれないということなのですか。
○班目委員長 誰に言われていれば……。
○北海道新聞社十亀記者 つまり、細野さんなのか、首相に直接言われていれば、報告以外のいわゆる二重チェックというのを、もっと時間をかけてやることもあり得たという、そういうことなんですか。
○班目委員長 あくまでも、これは法律論になりますけれども、例えば、政府は政治的判断はできるかもしれませんけれども、原子力安全委員会というところは、これは規制行政庁ではありませんけれども、法律にのっとって動かざるを得ないという立場にあります。従って、例えば、細野大臣から要請を受けることはあっても、少なくとも指示を受けることはないという、独立した立場にございます。そういう意味からいきますと、ある意味では、法律をきちんとしていただけたら、我々は我々なりの対応ができる、そういうことになります。
○北海道新聞社十亀記者 あと、要請は受けていないんで、では、それはそのままというのは分かったんですが、同じ質問の繰り返しになるかもしれませんが、政府としては、官房長官も含めて二重のチェックにしたいと、そういう話をされていたのはご存じだったんですかね。いわゆる保安院だけではなくて、安全委員会にも報告事項として上げてもらう、ということになっていたということは、ご存じだったんですか。
○班目委員長 私は、直接的には保安院なんかの記者会見なんかの報道から、それを知っているだけであって、直接、誰かから、そういうふうになっているということは伺っておりません。
○北海道新聞社十亀記者 実際に政治プロセスも、今、入って、今回、議題としては報告を受けたということで終わっていると思うので、泊3号機の営業運転─調整運転が、長期化調整運転が終わって、泊3号機は間もなく営業運転に移行するかと思うんですけれども、調整運転を問題視してきた班目委員長としては、こうした運びになっているということは、今、どのように受け止めておられますか。
○班目委員長 特に、今日、小山田委員かな、確認されたと思いますけれども、調整運転が長引いて、その後、また、更に、13か月運転するということであるならば、安全委員会としてはものを申し上げなきゃいけない立場なんですが、そうではないというふうに、保安院の方から回答がありましたので、とりあえずは、問題としては良い方向に向かう、というふうに考えております。
○北海道新聞社十亀記者 すみません、長くなって。あと、泊の関係の四半期報告が終わった後に、次の議題に進まれていた中に、非常に会場から傍聴者の声が非常に大きくて、議事の進行もかなり混乱していたかと思うんですけれども、班目委員長は、今までこういう経験はあったでしょうか。
○班目委員長 いえ、全くございません。大変残念なことだと思っております。
○北海道新聞社十亀記者 ただ、一方で、まだもっと長く議論を尽くしてほしいという声が、その言い方がよかったかどうかは別にしても、聞こえていたかと思うんですけれども、そういった意見については、どのように思われていますでしょうか。
○班目委員長 議論を尽くすというよりは、本件、報告案件なんです。報告だけれども、疑問があったことについては、こちらから質問させていただいて、それに対して答えていただいたと。これで全てなので、ちょっとある意味では、原子力安全委員会の本件に関する立場というものに対するご理解がないのかな、というふうには感じました。
○北海道新聞社十亀記者 最後にします。ただ、それも結局、ストレステストをめぐって、今、置かれている安全委員会の立場と、ほとんど同じなんではないかなと思うんですけれども、ストレステストと今回の件というのは、委員長としては何かどこか違いがあるのか、それとも同じと考えているのか、そこを聞かせてください。
○班目委員長 原子力安全委員会というところは、規制行政庁ではないんです。そういう意味では、手足がないんですよ。何が主な仕事かというと、原子力安全確保に関する基本的な方針を示すこと。例えば、指針類とか、そういうものを策定しているわけです。そういう意味からいくと、ストレステストみたいなものを、是非、やってほしい。我々は、実は、ストレステストという呼び方はしなくて、総合的な安全評価をしなさいという言い方を、実はしていたんですが、これは基本的な考え方ですので、安全委員会の方から申し上げる。だけれども、個別の規制行為に安全委員会が乗り出すとしたらば、これは体制から、何から何まで見直さないと事実上、不可能だというふうに理解しています。
○北海道新聞社十亀記者 すみません、長くなって。本当に最後にします。結局、保安院を抱える経産省と、官邸、菅首相の間がうまく折り合わないというところがあって、最終的に安全委員会さんの了承もあれば良い、というふうになったというふうにも伝えられているんですけれども、政治側の混乱に安全委員会がいわゆるストレステストも含め、巻き込まれているような印象も受けるんですけれども、その辺に対するご所見とかはありますか。
○班目委員長 すみません、その辺については、実際問題として事実関係がどうなっているかは、私、理解していませんので、コメントを差し控えさせていただきます。
○北海道新聞社十亀記者 ただ、それは官房長官も会見で、その安全委員会にも確認してもらうとは言っているわけですが、実際にどうなっているかというよりも、実際にそういうふうに言っていると思うんですけれども。
○班目委員長 だから、確認というのは報告して、ということだろうと思いますので、了承ということではない、というふうに理解しています。
○北海道新聞社十亀記者 ありがとうございました。
○東京新聞榊原記者 東京新聞の榊原です。
先ほど、臨時会が終わった後、国会の委員会の答弁で、菅総理が社民党の福島さんの質問に答える形で、泊3号機のこの問題について、安全委が関与した形での安全確認を行うと。具体的には、安全委に保安院が報告するとともに、安全委が安全確保上の留意事項の有無についての意見を求め、問題がないことを確認した場合に、経産大臣が終了証を出すというふうに、総理が答弁されておりました。今回の先ほどの会合で、安全委員会としての留意事項みたいなものは述べたというご認識はあるのでしょうか。
○班目委員長 むしろ、原子力安全・保安院が定期検査をやっている時に、何かこれは問題だと思っているようなことは、本当はないんですねと。これは久木田委員長代理から確認してもらったんですけれども、それを確認した上で、問題がないという回答があったということで、安全委員会としては報告を承ったと、そういう形になっているというふうに理解しています。
○東京新聞榊原記者 先ほど、国会での総理の答弁と、今回の今の安全委員会の対応は、食い違いがあったというふうにお考えでしょうか。
○班目委員長 食い違っていないんではないんでしょうか。ちょっともう一度、要するに……
○東京新聞榊原記者 要は、安全確保上の留意事項の有無についての意見を安全委員会に求めて、問題がないかどうかを確認した場合に、経産大臣が終了証を出すんだという答弁。
○班目委員長 だから、問題がないことの確認という主語は、原子力安全・保安院だろうというふうに理解しますので、問題ないと思いますが。
○東京新聞榊原記者 安全委としての今回の泊3号機の再開についての留意事項としては、質疑の中で指摘をして確認した、という理解で良いわけですか。
○班目委員長 そのとおりで結構です。
○東京新聞榊原記者 でも、国民にとって非常に分かりにくいような形になったのかなとも思うんですが、その辺りについて、二重チェックという言葉が、非常にそういうふうに受け止めた方も多かったのかなと思うんですが、その辺りについてはいかがでしょうか。
○班目委員長 我々、法的にそういう立場にない、ということをご理解いただくしかないですね。ちょっと、申しわけないんですけれども、そういう誤解を生んでいるとしたら、それは解くように、我々は努力しなきゃいけないと思います。
○東京新聞榊原記者 分かりました。ありがとうございます。
○NHK岡本記者 NHKの岡本と申します。
この度、調整運転が5か月間続いた。その5か月で今回、こういうふうに終わるか、今、岐路に立たされているわけなんですけれども、そのきっかけというのは、7月の委員会の時に班目委員長が、5か月も調整運転を続いていることは、好ましいことではない、とおっしゃった、その発言が機になって、こういうふうな大きく変わることになったんですけれども、こういうふうに保安院が、もし、ずっと調整運転を仮にですけれども、ほったらかしておいた場合、そこは規制するそういった省庁なり、あるいは機関というものは全くないんですか。
この定期検査については、この辺、安全委員会として、そういうふうな、何か発言があったからこそ、今回、動いたんではないかな、と思うんですが、その辺についてはいかがですか。
○班目委員長 ここは難しいですね。法的にどこまでが可能なのかちょっとよく分からないところなんですけれども、やはり好ましくないということは、いずれかの段階で、原子力安全委員会から申し上げざるを得なくなっただろうとは思います。これは、仮定の話なんで、ちょっと、申しわけないんですが。
○NHK岡本記者 結局、5か月遅れて、今回、最終試験を受けることになったんですから、この今日の報告にあったように、前提条件がもともと冬にやるものを、今回、夏になったということで、一部、制限値を外れはしないものの、検査測定値は目標値を若干外れる項目があったと、こういうふうな実態が出てきているわけなんですけれども、これについては、安全委員会としてはどうお考えですか。
○班目委員長 これはもうご説明があったとおり、冬と夏とでは海水温度なんかが違うので、目標値に対する差も非常にわずかですよね。ということで、こちらとしては了解しております。
○NHK岡本記者 そもそも調整運転という位置付け自体、今後、今回のこの問題を機に、いろいろ考えていかなければいけないと思うんですが、それについては、安全委としてはいかがですか。
○班目委員長 これは制度改正の問題になりますので、ちょっと、これからの議論を待ちたいとは思います。
○NHK岡本記者 その議論というのは、どういった形でどういうふうなプロセスで。
○班目委員長 IAEAの閣僚会議への報告書においても、法体系だとか、あるいは指針類、基準類等々、抜本的に見直すというような話が書いてあったと思います。それから、更には、組織の再編なんていう話も、もう既に出ているところです。そういうような動きの中で、是非、こういう問題というのも、きっちりと整理すべきだというふうに思います。
○NHK岡本記者 その整理すべきというのは、具体的には、調整運転を定める期間とか、あるいは定期検査の位置付けとか、そういった具体的なことですか。
○班目委員長 いや、そこまで具体的なアイデアを持っているわけではないんですが、やはり、いろいろ反省すべきは反省して、制度の改革にもしっかり取り組むべきだ、というふうには思っています。
○NHK岡本記者 分かりました。あと、もう一点。今日で震災からちょうど5か月になるんですが、今、まだ汚染水の処理状況なんかが問題になっているんですが、その汚染水の処理状況についての、今後の安全委員会としての見解と、あとそれから、今後、破損箇所の特定とか、あるいはそこの穴をふさぐとかそういったことをやっていかなきゃいけないと思うんですが、その難しさなり、今後の見通しについてご意見をお聞かせください。
○班目委員長 これは、汚染水については、今日、1番目の議題として、第二処理施設の報告がございましたけれども、全体に処理施設が多重化し、信頼性が上がるという意味では、若干、ほっとしてはいるという段階です。ただ、例えば、そういう漏洩箇所の修理等々なんかも含めて、原子力安全委員会としては、もうひとつ、作業に従事する方の被ばくの問題もかなり気にしていまして、是非、そういうことも考えて、総合的な安全対策をお願いしたいなというふうに思っているところです。
○NHK岡本記者 ありがとうございました。
以 上
新聞記事によりますと、委員会最中に傍聴者からの不規則発言があり、委員会途中で終了されたということ。
調整運転中の泊原発の運転再開を規制する法的立場にないがために、原子力安全・保安院の報告を受けるに留まらざるを得なかったととれます。
法的根拠を与える手法はないものでしょうか。
ここでわかることは、二重チェックとして、現状では原子力安全委員会は機能しないということがです。
二重チェックが効かない、福島原発事故前と同じ“甘いチェック”の状況が続くのであれば、人災はこれからも繰りかえされることが危惧されます。
覆水盆にかえらずではございますが、福島原発事故は、防げたはずです。
国会議員の皆様、原子力安全委に二重チェックの力を与えていただけませんでしょうか。
だれか、よい手法は、ないですか?
いろいろな会議体がつくられることで責任の所在が不明確になり、物事が勝手に進んでしまってはなりません。
以下、記者会見ポイント。
*泊原発再開に対する原子力安全委員会の立場
⇒この定期検査というのは、その時にも申し上げましたように、あくまでも、規制行政庁である原子力安全・保安院の方が、責任を持って実施するものでございます。決められた検査項目について、厳正に現場確認等を行って、その上で合否を判断する。そういうものだというふうに理解しています。従いまして、安全委員会としては、本日は、あくまでも報告を聴いた、ということであるという立場でございます。
⇒容認するとか、了承するとか、そういう立場に安全委員会は法的にもないわけですので
⇒あくまでも、そういう報告を受けたということだけでございます
⇒原子力安全委員会というところは、これは規制行政庁ではありませんけれども、法律にのっとって動かざるを得ないという立場
⇒調整運転が長引いて、その後、また、更に、13か月運転するということであるならば、安全委員会としてはものを申し上げなきゃいけない立場なんですが、そうではないというふうに、保安院の方から回答がありましたので、とりあえずは、問題としては良い方向に向かう、というふうに考えております。
⇒原子力安全委員会というところは、規制行政庁ではないんです。そういう意味では、手足がないんですよ。何が主な仕事かというと、原子力安全確保に関する基本的な方針を示すこと。例えば、指針類とか、そういうものを策定しているわけです。そういう意味からいくと、ストレステストみたいなものを、是非、やってほしい。我々は、実は、ストレステストという呼び方はしなくて、総合的な安全評価をしなさいという言い方を、実はしていたんですが、これは基本的な考え方ですので、安全委員会の方から申し上げる。だけれども、個別の規制行為に安全委員会が乗り出すとしたらば、これは体制から、何から何まで見直さないと事実上、不可能だというふうに理解しています。
⇒だから、確認というのは報告して、ということだろうと思いますので、了承ということではない、というふうに理解しています
*そもそも調整運転という位置付け自体
⇒これは制度改正の問題になりますので、ちょっと、これからの議論を待ちたいとは思います。
*****原子力安全委員会ホームページより******
第61回原子力安全委員会記者ブリーフィング
日時:平成23年8月11日(木)18:30~18:48
場所:第4合同庁舎7階742会議室
参加者:班目委員長、久木田委員長代理、水間課長
○毎日新聞比嘉記者 毎日新聞の比嘉と申します。
今日、傍聴者の方から二重チェックになっていないという、批判が相次いでいましたけれども、安全委員会として、今回の泊原発の運転再開について、独自の見解を示さなかったことについてどのように考えているか、お願いします。
○班目委員長 まず、この定期検査というのは、その時にも申し上げましたように、あくまでも、規制行政庁である原子力安全・保安院の方が、責任を持って実施するものでございます。決められた検査項目について、厳正に現場確認等を行って、その上で合否を判断する。そういうものだというふうに理解しています。従いまして、安全委員会としては、本日は、あくまでも報告を聴いた、ということであるという立場でございます。
○毎日新聞比嘉記者 現行のルールはそういうのは分かっているんですけれども、今回に関しては、安全・保安院の方が信頼を失った─、一連の事故の経緯で信頼を失っているということで、それであえて、政府が通常の手続とは別に、安全委員会の意見を踏まえて決定するという方針を示していたと思うんですけれども、その政府の判断については、どのように考えますか。
○班目委員長 少なくともそういうような形で、私の方は何ら要請等を受けていませんので、それについてはコメントを差し控えさせていただきたいと思います。
○北海道新聞社十亀記者 北海道新聞社の十亀と申します。
今日は、泊3号の件なんですけれども、最後に委員長が、今、冒頭おっしゃったようなことを意見でおっしゃいましたけれども、これ実際、その後、保安院に適切にやってほしいということをおっしゃったわけですから、いわゆる最終検査の結果とか報告については、特に、やり直しをする必要があるとか、そういうことを言ったという認識ではない、ということは確認したいんですけれども、それはよろしいですか。
○班目委員長 あくまでも我々は、報告を受けたという、それだけの立場ということになります。
○北海道新聞社十亀記者 今日は、さっき30分ほど前なんですけれども、海江田万里経済産業相が経産省で記者団の取材に答えて、安全委員会の確認が、昨日の時点ではとれていなかったんだけれども、今日の時点でとれたので、あとは地元の調整だけだ、というお話もしているんですが、その確認という、事実上、容認したというふうには考えては良いんですよね。
○班目委員長 どう申し上げて良いか。例えば、容認するとか、了承するとか、そういう立場に安全委員会は法的にもないわけですので、ただ、以前、7月の初めの頃の記者会見の場で、今みたいな状況が続いているのは好ましくない、ということをこういうところで申し上げたことがありますので、それに対する答えとして、今日、保安院の方から報告があったというふうに理解しています。
○北海道新聞社十亀記者 その調整運転の長期化を、委員長が以前からご指摘されていて、だから、今日は保安院からは長期化のことも含めて報告があって、それに対して、保安院は問題がないという評価をしてきましたが、それについても異を唱えるのではなくて、あくまで報告は受けたという、そういうことですね。
○班目委員長 あくまでも、そういう報告を受けたということだけでございます。
○北海道新聞社十亀記者 あと、先ほどの方の質問で、今回は、通常の手続と異なったんではないかという話もありましたが、何ら要請は受けていない、ということもおっしゃっていましたけれども、それは、では誰に言われていれば、そのやり方が変わっていたのかもしれないということなのですか。
○班目委員長 誰に言われていれば……。
○北海道新聞社十亀記者 つまり、細野さんなのか、首相に直接言われていれば、報告以外のいわゆる二重チェックというのを、もっと時間をかけてやることもあり得たという、そういうことなんですか。
○班目委員長 あくまでも、これは法律論になりますけれども、例えば、政府は政治的判断はできるかもしれませんけれども、原子力安全委員会というところは、これは規制行政庁ではありませんけれども、法律にのっとって動かざるを得ないという立場にあります。従って、例えば、細野大臣から要請を受けることはあっても、少なくとも指示を受けることはないという、独立した立場にございます。そういう意味からいきますと、ある意味では、法律をきちんとしていただけたら、我々は我々なりの対応ができる、そういうことになります。
○北海道新聞社十亀記者 あと、要請は受けていないんで、では、それはそのままというのは分かったんですが、同じ質問の繰り返しになるかもしれませんが、政府としては、官房長官も含めて二重のチェックにしたいと、そういう話をされていたのはご存じだったんですかね。いわゆる保安院だけではなくて、安全委員会にも報告事項として上げてもらう、ということになっていたということは、ご存じだったんですか。
○班目委員長 私は、直接的には保安院なんかの記者会見なんかの報道から、それを知っているだけであって、直接、誰かから、そういうふうになっているということは伺っておりません。
○北海道新聞社十亀記者 実際に政治プロセスも、今、入って、今回、議題としては報告を受けたということで終わっていると思うので、泊3号機の営業運転─調整運転が、長期化調整運転が終わって、泊3号機は間もなく営業運転に移行するかと思うんですけれども、調整運転を問題視してきた班目委員長としては、こうした運びになっているということは、今、どのように受け止めておられますか。
○班目委員長 特に、今日、小山田委員かな、確認されたと思いますけれども、調整運転が長引いて、その後、また、更に、13か月運転するということであるならば、安全委員会としてはものを申し上げなきゃいけない立場なんですが、そうではないというふうに、保安院の方から回答がありましたので、とりあえずは、問題としては良い方向に向かう、というふうに考えております。
○北海道新聞社十亀記者 すみません、長くなって。あと、泊の関係の四半期報告が終わった後に、次の議題に進まれていた中に、非常に会場から傍聴者の声が非常に大きくて、議事の進行もかなり混乱していたかと思うんですけれども、班目委員長は、今までこういう経験はあったでしょうか。
○班目委員長 いえ、全くございません。大変残念なことだと思っております。
○北海道新聞社十亀記者 ただ、一方で、まだもっと長く議論を尽くしてほしいという声が、その言い方がよかったかどうかは別にしても、聞こえていたかと思うんですけれども、そういった意見については、どのように思われていますでしょうか。
○班目委員長 議論を尽くすというよりは、本件、報告案件なんです。報告だけれども、疑問があったことについては、こちらから質問させていただいて、それに対して答えていただいたと。これで全てなので、ちょっとある意味では、原子力安全委員会の本件に関する立場というものに対するご理解がないのかな、というふうには感じました。
○北海道新聞社十亀記者 最後にします。ただ、それも結局、ストレステストをめぐって、今、置かれている安全委員会の立場と、ほとんど同じなんではないかなと思うんですけれども、ストレステストと今回の件というのは、委員長としては何かどこか違いがあるのか、それとも同じと考えているのか、そこを聞かせてください。
○班目委員長 原子力安全委員会というところは、規制行政庁ではないんです。そういう意味では、手足がないんですよ。何が主な仕事かというと、原子力安全確保に関する基本的な方針を示すこと。例えば、指針類とか、そういうものを策定しているわけです。そういう意味からいくと、ストレステストみたいなものを、是非、やってほしい。我々は、実は、ストレステストという呼び方はしなくて、総合的な安全評価をしなさいという言い方を、実はしていたんですが、これは基本的な考え方ですので、安全委員会の方から申し上げる。だけれども、個別の規制行為に安全委員会が乗り出すとしたらば、これは体制から、何から何まで見直さないと事実上、不可能だというふうに理解しています。
○北海道新聞社十亀記者 すみません、長くなって。本当に最後にします。結局、保安院を抱える経産省と、官邸、菅首相の間がうまく折り合わないというところがあって、最終的に安全委員会さんの了承もあれば良い、というふうになったというふうにも伝えられているんですけれども、政治側の混乱に安全委員会がいわゆるストレステストも含め、巻き込まれているような印象も受けるんですけれども、その辺に対するご所見とかはありますか。
○班目委員長 すみません、その辺については、実際問題として事実関係がどうなっているかは、私、理解していませんので、コメントを差し控えさせていただきます。
○北海道新聞社十亀記者 ただ、それは官房長官も会見で、その安全委員会にも確認してもらうとは言っているわけですが、実際にどうなっているかというよりも、実際にそういうふうに言っていると思うんですけれども。
○班目委員長 だから、確認というのは報告して、ということだろうと思いますので、了承ということではない、というふうに理解しています。
○北海道新聞社十亀記者 ありがとうございました。
○東京新聞榊原記者 東京新聞の榊原です。
先ほど、臨時会が終わった後、国会の委員会の答弁で、菅総理が社民党の福島さんの質問に答える形で、泊3号機のこの問題について、安全委が関与した形での安全確認を行うと。具体的には、安全委に保安院が報告するとともに、安全委が安全確保上の留意事項の有無についての意見を求め、問題がないことを確認した場合に、経産大臣が終了証を出すというふうに、総理が答弁されておりました。今回の先ほどの会合で、安全委員会としての留意事項みたいなものは述べたというご認識はあるのでしょうか。
○班目委員長 むしろ、原子力安全・保安院が定期検査をやっている時に、何かこれは問題だと思っているようなことは、本当はないんですねと。これは久木田委員長代理から確認してもらったんですけれども、それを確認した上で、問題がないという回答があったということで、安全委員会としては報告を承ったと、そういう形になっているというふうに理解しています。
○東京新聞榊原記者 先ほど、国会での総理の答弁と、今回の今の安全委員会の対応は、食い違いがあったというふうにお考えでしょうか。
○班目委員長 食い違っていないんではないんでしょうか。ちょっともう一度、要するに……
○東京新聞榊原記者 要は、安全確保上の留意事項の有無についての意見を安全委員会に求めて、問題がないかどうかを確認した場合に、経産大臣が終了証を出すんだという答弁。
○班目委員長 だから、問題がないことの確認という主語は、原子力安全・保安院だろうというふうに理解しますので、問題ないと思いますが。
○東京新聞榊原記者 安全委としての今回の泊3号機の再開についての留意事項としては、質疑の中で指摘をして確認した、という理解で良いわけですか。
○班目委員長 そのとおりで結構です。
○東京新聞榊原記者 でも、国民にとって非常に分かりにくいような形になったのかなとも思うんですが、その辺りについて、二重チェックという言葉が、非常にそういうふうに受け止めた方も多かったのかなと思うんですが、その辺りについてはいかがでしょうか。
○班目委員長 我々、法的にそういう立場にない、ということをご理解いただくしかないですね。ちょっと、申しわけないんですけれども、そういう誤解を生んでいるとしたら、それは解くように、我々は努力しなきゃいけないと思います。
○東京新聞榊原記者 分かりました。ありがとうございます。
○NHK岡本記者 NHKの岡本と申します。
この度、調整運転が5か月間続いた。その5か月で今回、こういうふうに終わるか、今、岐路に立たされているわけなんですけれども、そのきっかけというのは、7月の委員会の時に班目委員長が、5か月も調整運転を続いていることは、好ましいことではない、とおっしゃった、その発言が機になって、こういうふうな大きく変わることになったんですけれども、こういうふうに保安院が、もし、ずっと調整運転を仮にですけれども、ほったらかしておいた場合、そこは規制するそういった省庁なり、あるいは機関というものは全くないんですか。
この定期検査については、この辺、安全委員会として、そういうふうな、何か発言があったからこそ、今回、動いたんではないかな、と思うんですが、その辺についてはいかがですか。
○班目委員長 ここは難しいですね。法的にどこまでが可能なのかちょっとよく分からないところなんですけれども、やはり好ましくないということは、いずれかの段階で、原子力安全委員会から申し上げざるを得なくなっただろうとは思います。これは、仮定の話なんで、ちょっと、申しわけないんですが。
○NHK岡本記者 結局、5か月遅れて、今回、最終試験を受けることになったんですから、この今日の報告にあったように、前提条件がもともと冬にやるものを、今回、夏になったということで、一部、制限値を外れはしないものの、検査測定値は目標値を若干外れる項目があったと、こういうふうな実態が出てきているわけなんですけれども、これについては、安全委員会としてはどうお考えですか。
○班目委員長 これはもうご説明があったとおり、冬と夏とでは海水温度なんかが違うので、目標値に対する差も非常にわずかですよね。ということで、こちらとしては了解しております。
○NHK岡本記者 そもそも調整運転という位置付け自体、今後、今回のこの問題を機に、いろいろ考えていかなければいけないと思うんですが、それについては、安全委としてはいかがですか。
○班目委員長 これは制度改正の問題になりますので、ちょっと、これからの議論を待ちたいとは思います。
○NHK岡本記者 その議論というのは、どういった形でどういうふうなプロセスで。
○班目委員長 IAEAの閣僚会議への報告書においても、法体系だとか、あるいは指針類、基準類等々、抜本的に見直すというような話が書いてあったと思います。それから、更には、組織の再編なんていう話も、もう既に出ているところです。そういうような動きの中で、是非、こういう問題というのも、きっちりと整理すべきだというふうに思います。
○NHK岡本記者 その整理すべきというのは、具体的には、調整運転を定める期間とか、あるいは定期検査の位置付けとか、そういった具体的なことですか。
○班目委員長 いや、そこまで具体的なアイデアを持っているわけではないんですが、やはり、いろいろ反省すべきは反省して、制度の改革にもしっかり取り組むべきだ、というふうには思っています。
○NHK岡本記者 分かりました。あと、もう一点。今日で震災からちょうど5か月になるんですが、今、まだ汚染水の処理状況なんかが問題になっているんですが、その汚染水の処理状況についての、今後の安全委員会としての見解と、あとそれから、今後、破損箇所の特定とか、あるいはそこの穴をふさぐとかそういったことをやっていかなきゃいけないと思うんですが、その難しさなり、今後の見通しについてご意見をお聞かせください。
○班目委員長 これは、汚染水については、今日、1番目の議題として、第二処理施設の報告がございましたけれども、全体に処理施設が多重化し、信頼性が上がるという意味では、若干、ほっとしてはいるという段階です。ただ、例えば、そういう漏洩箇所の修理等々なんかも含めて、原子力安全委員会としては、もうひとつ、作業に従事する方の被ばくの問題もかなり気にしていまして、是非、そういうことも考えて、総合的な安全対策をお願いしたいなというふうに思っているところです。
○NHK岡本記者 ありがとうございました。
以 上