京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

立命館大学国際平和ミュージアム

2009年04月29日 | 日々の暮らしの中で
一年前の今日、京都在住の岡部伊都子さんが亡くなった。

「加害の女」と自省し平和の尊さやいのちの重みをつづる。反戦や人権問題にも強く言及した社会派のエッセイストだ。彼女のやわらかな文章が好き。と同時に、心の底に激しさや強さを持ち合わせていることがきっちりと読み取れる、そこがまた一段と好きだ。気高い。

数万点に及ぶ遺品が立命館大学国際平和ミュージアムに寄託された。一周忌を翌日に控えた昨日、開催された「岡部伊都子展」と記念講演に出かけた。館長と岡部さんの娘さんの講演に続き、随筆二作品の朗読の世界に浸る。改めて平和を尊ぶ生き方を見つめさせられた思いがする。

実は昨日は、ライフワークとして森永ヒ素ミルク事件の救済対策委員(長:京都市)を務めた父親を持つ友人と過ごした一日でもあった。岡部さんとほぼ同時代を生きた父親の遺品も、ここに寄贈してあるのだという。“過去の歴史に学び、未来の平和を願って開設された博物館”、ここを出た後、彼女は父親と最後に入ったという名曲喫茶(出町柳駅付近)へと向かった……。

境内の石の鐘。国家総動員法に基き梵鐘は強制的に供出させられた。戦争を忘れさせないために、びくともせず風雨にさらされなお鎮座する。

国家や社会のために個人が貢献する生き方は尊いものだ。一人はみんなのために、社会のために、だろうか。微力を尽くし合う。社会の中で人は育つ、人を育てる。
世の中を動かしているのは人だろうな……。
いつもはゴールデンウイークに組み込まれ連休づくりに貢献してくれるぐらいの思いしかなかった「昭和の日」。珍しくぽちぽちいろんな事が頭に浮かぶ……。

        (大東亞戦梵鐘應召供出記念模造之と刻されてある石の鐘)


コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする