祖母(父の母)の新盆のとき、私は二十一歳だったが、御世話になった坊守から「kei さんだけもうここに残らはったら」と言われた。父と坊守とは互いをチャンづけで呼び合う幼馴染だった。懐かしい話に笑いが絶えず、くつろいだ父を見る賑やかな晩だったのを記憶している。
やがて、坊守の言葉は色合いを変え、重みを増して改めて私のもとに届けられた。
口数控え目な息子をよそに、坊守の巧みな話術に乗せられて……。彼女は私の姑として立場を変え、君臨することとなった。
生き字引きと持ち上げられ、昔話から近隣の情報まで話題に事欠くことはない。家族縁者おそろいほど、機を得たとばかりに姑の口は冴えよく働く。「まあまあ○○さん!ようお参りやして…」、よく通る大きな声でお出迎え。お愛想の一つも二つも上乗せし、姑の言いたい放題なのに、出会いを感謝しながら気分よく帰っていかれる。
見真似、口真似の盗み取りを続けても、未だに足並みがそろうどころではない。立て板に流れる水の量はかなり減ったのだから追いついてもよさそうなのに。根っから陽気な姑とは、そもそも水温からして違っていそうだ。
「お客さん大好きやわ」、その昔、私たち家族を歓迎してくれた若き日の坊守が見える。彼女の人生そのものの言葉として受け止めている。賑やかに祖霊を迎え楽しんでお帰りいただく。口角の準備運動に余念もなさそうな姑だが、縁の糸だけはあたたかく紡いでいきたい。
姫の最期のお披露目に・・・
やがて、坊守の言葉は色合いを変え、重みを増して改めて私のもとに届けられた。
口数控え目な息子をよそに、坊守の巧みな話術に乗せられて……。彼女は私の姑として立場を変え、君臨することとなった。
生き字引きと持ち上げられ、昔話から近隣の情報まで話題に事欠くことはない。家族縁者おそろいほど、機を得たとばかりに姑の口は冴えよく働く。「まあまあ○○さん!ようお参りやして…」、よく通る大きな声でお出迎え。お愛想の一つも二つも上乗せし、姑の言いたい放題なのに、出会いを感謝しながら気分よく帰っていかれる。
見真似、口真似の盗み取りを続けても、未だに足並みがそろうどころではない。立て板に流れる水の量はかなり減ったのだから追いついてもよさそうなのに。根っから陽気な姑とは、そもそも水温からして違っていそうだ。
「お客さん大好きやわ」、その昔、私たち家族を歓迎してくれた若き日の坊守が見える。彼女の人生そのものの言葉として受け止めている。賑やかに祖霊を迎え楽しんでお帰りいただく。口角の準備運動に余念もなさそうな姑だが、縁の糸だけはあたたかく紡いでいきたい。
姫の最期のお披露目に・・・