
昨夜遅く、失せもの探しに効力抜群だという唱え言葉があると聞いていたことを急に思い出したのだった。と、そのことを今思い出していた。大切なことを忘れたようだ。
「音羽の滝の滝の音は尽きるとも 失せし物の出ぬことはなし」
文庫本、携帯電話、花ばさみ…、三日に一回くらいこの呪文にすがって失せものの行方を探し、しっかり実証済みの人がおられる。何度も探したはずの文書類の間から文庫本は出てきた。二階の窓のレールに携帯電話、雑草の中から花ばさみと、すべて見つけ出されている。
3回すらすら唱えてから探すとよいとあった。つっかえつっかえが、次第に上手になってすらすらと唱えられるようになると、たいていは失せもの発見!に至ると言われる。
家の中での失せもの探しだと気付きもしたが、寝る前に初めてこの言葉を唱えてみた。外で落としたものではダメかもしれないが、物は試しと、唱え言葉を見ながらつぶやいてみた。見ながら唱え、何度か練習した。言い淀むが少しづつましにはなる。完璧ではないが一通り言えるようになって、もういいかとお終いにした。
今朝になって運転免許証が車内から出てきたのは、ひょっとしてこの呪文が効いたのだろうか。そうだわ、効いたのだ。昨夜この呪文を唱えたのだ。忘れるところだった。なんと、この呪文のおかげだわ。
以前、私は、この唱え言葉を教わりながら真剣にノートに控える仲間の姿を距離をおいてただ見ていた。こんな日がこようとはね。
失せものの多い方、ぜひ一度お試しあれ。
「音羽の滝の滝の音は尽きるとも 失せし物の出ぬことはなし」 3回すらすら唱えてから探す・・・