京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

観音さんの日に秘仏も

2018年09月19日 | こんなところ訪ねて
今年は西国三十三所草創1300年にあたるとのことで、皇室の御寺・泉涌(せんにゅう)寺(東山区)の塔頭・今熊野観音寺(第15番札所)では秘仏の特別公開が毎月18日に行われている。「18日は観音さんの日やろ」と教えられ、ああそうそうと思い出しては忘れてしまって9ヵ月、昨日その秘仏拝観に参拝した。


バスを降りて、軽い上り坂の泉涌寺道を東へと進む。二十五菩薩お練り供養で知られる即成院を左に見て、さらにまっすぐ。一番奥に泉涌寺があるが、その少し手前を左に曲がれば今熊野観音寺はほどなくのところ。

正面から靴のまま本堂の階段を上がる。ご本尊を拝観したいと申し出たところ「右側から入ってください」と言われ、「右側」の入り口に回った。そこで拝観料200円を。「どうぞ仏足跡を踏んでからお進みください」の言葉に従って、内陣に進む。ほんの何歩かの移動だが狭くて暗くて、こんなところでけつまずいてはまずいと用心が要った。

本尊の十一面観世音菩薩は秘仏の観音さまで、普段はお厨子の中におられる。なので御前立が安置されているが、それがまた金ピカで美しくどんな造りかと見とれたが、その大きな御前立の後ろにお立ちなのが秘仏とされるご本尊。ライトも軽く当てられてはいるがうす暗く、お前立の左から、右からと交互に何度かのぞくがお顔から頭部ははっきり見えない。眼鏡を取り出してみたが、頭上の十一面などはさっぱりだった。仏様を「のぞく」とか「見る」だのと、随分な言葉だと心に引っかかりはすれ、見て得られるものはあるわけで、やはり気持ちは「見る」ことにかかってくる。秘仏だけに期待したが、残念なことに近づけるものがなかった。

  

せっかくここまで来たのだからと泉涌寺も訪れてみた。学生時代に来て楊貴妃観音に出会った。「一笑すれば百媚生ず」と習った楊貴妃だが、焼き付いていたイメージとは違い、意外と小さいんだと思い直した。そのあともう一度、両親との3人で参拝していた。もう40年も昔になるが、玉砂利が敷き詰められた境内を一巡しながら父、母を思い出すひと時だった。
コメント (6)
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