京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

「名月」に陰晴はかりがたし

2018年09月24日 | 日々の暮らしの中で
「明夜の陰晴はかりがたし」

陰暦八月、中秋の名月の前夜、芭蕉は敦賀の津に宿を求めている。その夜は月が特によく晴れた。期待して、「明日の夜もこんない月が晴れてくれるだろうか」と宿の亭主に言うと、「明夜の陰晴はかりがたし」と答えが返る。期待はしたものの、亭主の言葉にたがわぬ北国日和の定めなさ。雨名月に ― 名月や北国日和定めなき (『奥の細道』 敦賀)

まあるく夜空に、あそこに月が…とわかるもののあいにく色も輪郭も薄くかすんで見えた。やがて雲の陰に。虫の声の伴奏ばかりが心に染む。
同じ月を見て感慨を共有する楽しみはもてなかったけれど、それはそれ、今年の「名月」はこうした趣だったということになる。

昨夜は名月前夜であることも忘れ、娘宅で過ごしていた。


コメント (4)
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