京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

話して聞いて、分け持って

2025年01月26日 | 日々の暮らしの中で
スヌーピーで有名なアメリカの漫画『ピーナッツ』を訳されている谷川俊太郎さん。
あの中には「ショー・アンド・テル」という時間がよく出てくるんですと、語っていた。

「子どもたちが何でも好きなものを一つ持ってきて、それについてみんなの前でお話をするという時間です。」


孫娘はオーストラリアでプレップ(入学前)に通うときから、この時間を体験している。

彼らの家に滞在していた2011年10月。まっ白な犬のぬいぐるみを両の掌に乗せて、愛おし気に見つめてから通学のリュックにしまうのを偶然に見かけ、母親に訊ねたことがあった。
何か話したいことがあったのだろうと、そっけない返事。その時に「Show and Tell」を知ったのだった。


6つ違いの弟が生まれるのを前にして、枕元に縫いぐるみを並べ始めた。赤ちゃんを寝かしつける練習をすると言って、毎晩かわりばんこに抱っこして寝ていたらしい。その一つの白い犬。
飛び入りOKとか、気づけば何かしらを持って登校していた。話したあとで質問を受け、それに答える。そんな時間は小学校に入学すると「Show and Share」と変わって、3年生まで続くようだった。


「日本人が一般的にいって話し下手なのは、小学校のころから人にどうやって自分の考えていること、感じていることを、正確に、簡潔に伝えるかという訓練をしていないからじゃないかと思うことがあるんです」
と谷川さんの言葉は続いている(『声の力』収 -「語る技術」とした小文内で)。

先日、不登校の子どもたちのカウンセラーとして長く現役でいる知人のもとで集う機会があって、同席することになった。
TellからShareへ。話す力、聞く力。そんなことへの思いを、私も言葉にしてみたけれど…。
昔むかし、学級担任で過ごしていた時代の失敗も含めた体験のあれこれも自ずと思い出された。

身の回りの小さなことをすくい上げ、言葉を紡ぐ。互いを知る、他人を知ることは、自らの成長につながる。
そんな大真面目が、少しずつ人の心に沁むといいなと期待する。

〈「われ」の視点を強調し過ぎは下品だ〉
紙上で目に留まった言葉だけど、近代短歌以前の和文脈でのことだけだろうか。

それにしても「聞く力」って要るなあとつくづく…。
コメント (2)
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