京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

西の空が明るんで

2022年01月30日 | 日々の暮らしの中で

神社の階段下に、両の手に持ったスティックを支えにして腰を伸ばし、上を見上げる高齢の女性が立っていた。近づくと笑顔を浮かべていて、深い会釈をしてくれる。「こんにちは」と腰をかがめて、笑顔で返した。
「きれいに咲いてはります」と言って、また腰を伸ばす。「よう上がらしまへん」ので、いつも階段下から眺めているのだと言われた。

「寒いね」と話しかければ「寒いね」と言葉が返ることの気持ちの安らぎ。同じだろう。「きれいだ」と言う思いに相づちをうってもらえる交感に、そこはかとなく心はふっくり、満たされる。それが何ごともない一日の喜びにさえなる。

私は神に祈ることはしないが手を合わす。
西の空が明るんだ。雲のあわさいから漏れた夕日が「大」の斜面を染めた。


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2 コメント

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お互いが心温めて、Reiさん (kei)
2022-01-31 22:39:30
人と言葉を交わすことは、ほんのひと言ふた言であっても、何か心温まる思いがします。
きっとこの思いはお互い様だろうなあと感じました。
言葉には元気づけるやさしさがあり、心を力づけるエネルギーがあるようですよ(笑)
会釈にプラス「こんにちは」と、声も発して(笑)

義母がよく使っていました。私は話し言葉では使うことありませんが、
文字にするときに時々。 京言葉なのでしょうか。
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軒灯篭、素敵ですね (Rei)
2022-01-31 15:52:17
心温まり、和む会話ですね。
いいお話聞かせて頂きました。
一人暮らしで買い物でも無言のレジ、
ご近所の方と出会っても会釈だけのお付き合いです、
交流もメールが多く、味気ないことです。
雲のあわさい>雲の間ですね。京言葉でしょうか。
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