京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

どじを踏んだ日

2019年09月17日 | 日々の暮らしの中で

月曜日が休館だという認識はあったのに、昨日は「敬老の日」で祝日で、祝日ならその翌日が休館日となる、ということにうっかりしてしまった。
門扉が閉まる前に立って、初めて休館に気づいたのだから、なんという無駄足。どじを踏んだ。

特別展「文化財よ、永遠に」を観に泉屋博古館へと向かった。
2年ほど前になるが、政府が観光振興を進めるうえで当時の山本地方創生相が「一番のがんは学芸員」とした発言が問題になったことが思い起こされる。関連の新聞記事をいくつか切り抜いて残してあったが、
〈文化財は放っておいて残るものではない。散逸や火災、腐朽から守り、修復を重ねる人の手が必要だ。記録を未来に残すことへの思いの深さは歴代の学芸員に引き継がれ、そうした努力が、本物の歴史や文化がある京都の価値を底辺で支えている…〉などと読み直してみた。

  
現在、世田谷美術館館長を務める酒井忠康氏によると、東日本大震災の折には消滅の危機に瀕している貴重な文化財救済のためにレスキュー隊を組織して乗り出したという。この隊の中には美術品の修復士たちもいたが、もとに戻すのは至難の業ではないかと思ったそうだ。
このところ読んでいた氏の『鍵のない館長の抽斗』に収められていた。氏が、秋田県の横手市で開催された全国美術館会議の総会に出席された時のことで、2011年6月に書かれていた。

…とまあ、「文化財よ、永遠に」の言葉に少し気持ちが動いたわけだが、そわそわしたわけではないのに間の抜けた失敗をした日となった。出直そう。
                          (帰り、京都御苑のベンチでひとやすみ。居眠りしそうに…)

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