京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

人にはそれぞれの事実がある

2025年02月22日 | 映画・観劇
午後2時からという上映開始の20分前にチケット売り場に並ぶということになってしまった。
10分前には入場開始の案内があるので、すでに周辺には人も多く、それもやけに男性が多く詰めている。混んでいるのだ。実際残りの座席は7、8席ほどで、選ぶ余地もなく後方の空きを指定した。


海外の映画祭で13冠と評価された「事実無根」。
冤罪で大学を追われてホームレスになった元教授・大林明彦(村田雄浩さん)が、生き別れた娘・沙耶に会いに来る。
娘のアルバイト先「そのうちcafe」のマスター星孝史(近藤芳正さん)も、映画監督への夢が破れ、過去にDVがあったと妻から一方的に証言されて離婚、3歳で別れたまま15年間も娘と会えないでいる。
マスターの優しさは二人の間に奇妙なつながりを生み、やがて大きくドラマは展開する。

ウソか本当か。事実の捉え方は人によって異なる。
「事実無根というのは、どこにでも存在するのではないか」、
と語る監督の言葉が映画を紹介する記事にあった。
「生活するというのは、他人とともに生き、何かを共有すること。自分も京都で暮らすようになって救われた」と。
人にはそれぞれの事実がある。


人への批判力よりも自分を反省する、顧みる心がほしい。
「責任を自分に痛感する心が失われている」
いつだったか、高田好胤さんの言葉に触れたことが思い起こされる。

過去にとらわれながら生きる男たち、でも生きるには未来を見なくてはならない。それには今を大事に生きることが求められる。
「現実とどう折り合いをつけて人は生きていくのかを描きたいと思いました」と監督は語られている。

クラウドファンディングで集めた資金をもとに京都から全国展開を見据えているという。
近藤芳正さんのおかしみあるひと言がクスッとした笑いを何度も誘う。公園にやってくる子供たちとマスターとの親しみもいい。
「そのうちcafe」は下京区の六条院公園に隣接した実在する店だそうな。

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