Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

ルーヴルDNPラボ 「都市スーサとその陶器 イスラム時代の創成記」

2008-06-21 19:49:54 | 機内食・映画・美術展
ルーヴル-DNPミュージアムラボの第4回展、「都市スーサとその陶器 イスラム時代の創成記」を見に行ってきた。
Louvre - DNP Museum Lab



前回の「うさぎの聖母」展のときと同様、ネットで事前予約をして受付に行くと、どうやら観覧者は自分一人のよう。平日の早い時間とは言え、ティツィアーノの時はたくさん来ていたから、やはりイスラムの工芸品はマイナーなのか。

前回はまず予備知識なしで作品を見て、それからラボを見る形になっていたが、今回はまず知識を仕入れてから実物を見る経路になっている。別にこれを守る義務もないが、素直に順路に従うことにする。

初めにあるのは中東のイスラム諸国家の歴史パネル。この間行ったばかりのエリアなので、分かりやすいし興味津々。複雑だけれど日本の学校じゃ教えてくれないことだし、もっと詳しく知りたいと思う。

次にはイランの都市スーサの説明。ペルシャのダレイオス大王の時代から拓かれた都市ということだが、ここはちょっとあっさり。

シアターではスーサの発掘の歴史のビデオを鑑賞。これが結構面白くて、19世紀末のフランスの発掘隊はまず現地に要塞を建てることから始めたという。つまり現地人の襲撃があったということで、でも実際にフランス人がやったことは掘り出したお宝をかっぱらっていたわけだし、ここいらへんはどちらの側から見るかで見え方も変わる。ただし考古学的なものに価値を見出したのもヨーロッパ人なわけだから、一概に彼らを泥棒呼ばわりするのもいかがかと思うのだ。

スーサの発掘で一番重視されたのは一番古いペルシャ時代のダレイオス大王の宮殿跡。ここからフランスに持ち帰った彩色タイルの壁がルーヴルのコレクションの目玉の一つになっていて、そういえば昔行った時に感動したことを思い出した。
  

そのペルシャ時代の上に重なっていた7~9世紀のイスラム遺跡に目が行ったのは1960年代になってからのことなのだそうだ。

とここまでお勉強してからやっと実物の陶器とご対面。


今回来ているのは型押文の器が2つ、白釉の器が2つ、それにラスター彩の皿が一つ。どれも小さなもので、かわいらしいがいかにも地味だ。

それぞれの作り方についてのビデオもあったが、ちょっと中途半端。特にイスラム独特のラスター彩についてはもっと詳しく知りたい。

ということで、全体を見終わった感想は「中途半端」。スーサの歴史が長すぎるのでイスラム時代に絞りきれず、展示は陶器なのにそれについての説明は少ない。展示品も考古学的には貴重なのかもしれないがこれという目玉がなくて地味だし、前回に比べると単なるビデオ展示が多くてインタラクティブと呼べるものは少ない。期待していたのでちょっと残念。

一番印象に残ったのは2010年に完成するというルーヴルの新しいイスラム展示室の紹介で、しかし博物館の宣伝という意味では「もっと見たい」と思わせたところで成功なのかもしれない。

不完全燃焼だなあ、と思っていたら帰り際にもらった資料の中に松岡美術館の「イスラム陶器名品展」の案内を発見。6月25日までというこの特別展、行かなきゃ。


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コメント (3)
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