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大統領映画2本立て@Bunkamura ル・シネマ

2013-09-18 13:47:35 | 機内食・映画・美術展
ル・シネマのサービスデー、今回は大統領の映画を2本見てきた。

1本目はフランス映画。
 「大統領の料理人」 Les Saveurs du Palais

行ってみると映画館にはまたも女性たちが行列を作り、上映30分前には満席。ネット予約をしておいてよかった。
みなさんやっぱりおフランスと食べ物には弱いのね、自分もそうだけど。

ストーリーはミッテラン大統領のプライベートシェフとなった女性がエリゼー宮で男性社会と衝突しながらおいしい料理を作って大統領を喜ばせる、というもの。

まず驚いたのは大勢のスタッフを抱える厨房があるにもかかわらず、それとは別に私的な集まりのためのプライベートシェフがいるということ。
そしてこの女性シェフがきれいにお化粧しているのはいいとして、仕事中もハイヒールをはき、いつも長い真珠のネックレスをしていること。
この主人公には実在のモデルがいるそうなのでまったくのでたらめは見せられないだろう。いつもこんな格好で料理を作っていたとしたら本当に驚きだ。

出てくる料理はさすがフランス、作るところから出来上がりまで本当においしそう。
大統領が分刻みのスケジュールも無視して夢中になって料理の話をする、なんてところもフランスの面目躍如。
しかし「祖母が作ったようなシンプルな料理が食べたいんだ」と言うリクエストに、出される料理がフォワグラやトリュフだらけってどうよ。
主人公はエリゼー宮を辞してから南極料理人になるのだが、そこで作る料理にもフォワグラやトリュフって本当なんだろうか。
日本の南極越冬隊もストレス解消のために贅沢な材料がふんだんに用意されていると聞いたことはあるが。

予告編では田舎の名もないシェフがいきなりエリゼー宮に呼ばれた、と言う風に見せていたがもちろんそんなことがあるわけもなく、モデルは料理学校で名を挙げた人らしい。
モデルはともかく、映画の中の主人公はやたらプライドが高く、昔からいる厨房スタッフや大統領の側近と衝突するのも無理ないんじゃないかと思ってしまう。絶対に自分を曲げようとしないのだから。
実際にそんな人だとしたらあまりお近づきになりたくないが、それでもあまり反感を感じずに最後まで見てしまうのは主役のカトリーヌ・フロの力かもしれない。フランス人ならこういう強烈なキャラクターがいそう、と納得してしまうのだ。

美味しそうな料理が見たい、という期待は裏切らない映画。


続けて見た2本目はこちら。
 「私が愛した大統領」 Hyde Park on Hudson

ビル・マーレイがフランクリン・D・ルーズベルトを演じるというので興味を持った。
あばた面でいつも無愛想なビル・マーレイ、なぜかサダデーナイトライブ(古い!)のころから好きなのだ。

FDRはよく知られているようにポリオの後遺症で脚が不自由ながら、大恐慌後から第二次大戦時まで3期もアメリカ大統領を務めた人。
同時に何人もの愛人がいて、そのために夫人のエレノアが政治活動に熱心になったのではないかと言われている。

今回の映画でも中心人物はFDRの遠縁のいとこで愛人だったデイジー。
これをローラ・リニーが地味に演じていて、FDRとドライブに行く場面など美しい景色が楽しめる。
原題のHyde Parkはニューヨーク州のハドソン河畔にあってとてもきれいなのだ。

この田舎町のルーズベルト家へ戦争協力を頼もうとイギリスのジョージ6世とエリザベス王妃がやってくる。
その姿がいささか滑稽に描かれ、また迎えるアメリカ側、特にエレノアの無礼ぶりも大げさに描かれる。王妃にむかって「エリザベスって呼んでいいわよね」なんて、イギリスの学校に通っていたエレノアが言うだろうか。

物語は自信のない若い国王をFDRが父親のように励まし、「こうしてアメリカとイギリスはしっかり手を組みました」と言う話になるのだが、こうなると中心人物のはずのデイジーの役割がさっぱりわからない。英雄色を好む、FDRは立派な政治家だったのだから愛人が何人いたっていいじゃないか、というテーマなのだろうか。確かに昔はプライベートなことまで何もかも暴かれるわけじゃなかったし、クリントンのスキャンダルだって公にして何かいいことがあったのかって話。

デイジーやそのほかの愛人たちの関係、それ以上に夫人のエレノアの複雑な立場の方がずっと興味深いのだがそちらはちょっと触れるだけでほったらかし。
FDRを演じるビル・マーレイもがんばってはいるが、カリスマ性のある大統領には見えない。

なによりがっかりなのはジョージ6世とエリザベス王妃に全く品がないこと。
この映画はなんとイギリス映画で、この国が自国の王室を遠慮なく描くのは今に始まったことではないが、もうちょっといい役者はいなかったのか。

「英国王のスピーチ」がいかにいい映画だったか、よくわかった。


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