Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

エブル体験教室@トルコ文化センター

2013-09-29 20:15:02 | 雑談
トルコにエブルという伝統工芸がある。

これは水に浮かべた絵具を紙に写し取るマーブリングという技法の一種で、ヨーロッパでは古い本の装丁などに使われ、特にベネチアのものが有名。
 

しかしこの技法は実は中央アジアで生まれ、それが東に伝わって日本では墨流しとなり

西に伝わったものはトルコでエブルとして花開き、それがオスマン帝国からヨーロッパに広がったという。
(ただしその起源と日本の墨流しとの関係については諸説あって定かではないよう)

トルコのエブルは特にアラビア書道を飾るものとして発展したが

最近では絵画のような作品を作る作家も大勢いるようだ。
  
特にマーブリングで花などを描いたりする技法はトルコ独自のものとか。
(上記の写真はすべてウェブから拝借)

このマーブリング、大昔の中学生のころ、なぜか一度だけ家庭科の授業で真似事をしたことがあり、たいそう面白くてまたやってみたいと思っていた。
調べてみると新宿のトルコ文化センターで教室があり、1回限りの体験もできるということが分かったので行ってみた。

指定された時間に行ってみると体験希望者は3名。
先生はスカーフをかぶったムスリマだが日本の方。

通された小さな部屋のテーブルの上には水盤が2つ。
 この水には海藻の成分が混ぜられているのでどろっとしている。
 この上に乗せる絵具は10色ほど用意されていたが、水性で日本画の岩絵の具のように鉱物などをすりつぶしたものが本式とか。これに牛の胆汁(手前の茶色い液体)を混ぜることで色が浮くのだそうだが、色によっては鼻を近づけるとすごいにおいがする(なぜか色によってにおい方が違うとか)。

この絵具を荒い穂先の筆にたっぷり含ませ、それを指先で軽くしごいてから筆のお尻の方を軽くつまみ、手首のスナップを効かせながら筆先を左手の指に軽く当てて絵具を水盤に落としていく。
 
これを3色ほど繰り返せばいちばん基本的な模様の出来上がり。
この上に空気が入らないように注意しながら白い紙をかぶせ、それを手前から水盤の縁にこすりつけながら引いて上げるのだが、こすっても模様が擦れないのが何とも不思議。
 引き上げたら網に乗せて乾かす。

最初に先生が見本を見せ、その後はこの基本を各自2枚づつやってみる。
やることは実に単純なのだが、実際にやってみると全く思ったように絵具が飛ばない。絵具の量、筆の振り方で水滴が大きくなったり、小さくなったりするのだが、初心者としては当然のごとくコントロールが効かない。
色のコンビネーションも思ったようにいかないのだが、これはセンスの問題とともに色を落とす順番の問題でもあるのだと終わりごろになってやっと気が付いた。

次には細い棒を使って色をひっかく方法。
 
色を落とした水面をまずは左右にひっかき、さらにそれを上下にひっかくとヘリンボーン模様になる。
これまた実際にやってみると自分のは大雑把で繊細さがない  

ヘリンボーン2枚の後、最後の一枚は好きなようにやってみてください、ということで合計5枚。
1時間強で体験レッスンは終了。

 その後はお茶とケーキをいただきつつ先生にいろいろ聞きたいことを聞いて、生徒同士でおしゃべり。
先生はトルコで師匠に弟子入りして修業したそうだが、熱心にやりすぎて普通よりずっと早く技術を習得してしまい、おかげで師匠はもう二度と日本人の弟子は取らないと言っているとか。

紙が乾かないので作ったものは持ち帰れなかった(後で取りに来てください、と言われた)が、1500円のこの体験レッスンはとてもおもしろかった。
生徒は随時募集中とのこと、花が思うように描けるようになるには何年かかかるようだが、エブル教室、始めてみようかしら。


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コメント (4)
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