都市と楽しみ

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河川も「流域管理」に、高水治水の限界、土地利用と防災

2022-07-30 02:27:27 | 都市計画

 最近、新聞に「流域管理」を見る。もともと、我が国は低水の河川工事であり、船運や霞提( https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9C%9E%E5%A0%A4 )、遊水池(地 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%8A%E6%B0%B4%E6%B1%A0 )など、川と周辺が一体の治水と利水、そして親水(川と親しむ)歴史があった。

 

 明治5年にファン・ドールンを団長とするオランダ人技師団を招聘し、デ・レーケ、ムンデルら多数の技術者が高水工事(洪水を川に閉じ込める)をすすめ、堤防のかさ上げ・連続化、川床の掘下げなどの工事を行った。さらに、明治29年に河川法が成立、高水工事も府県でなく国家負担となった。

 さらに、高度成長期において:

都心部では地下水汲み上げ(利権が不明確なため放置状態)による、地盤沈下が発生した。現在も橋の袂は高いが、次の橋との間は円弧状に下がっている川沿いの道が、東京・大阪に多い。この時に0メーター地帯のカミソリ堤防がやむなく出現した。

郊外では、都市のスプロールにより、上流のがけ地(砂防ダム)近辺での住宅開発や、遊水地であったエリアの住宅開発が行われ、潜在リスクが高まっていた。

 近年、異常気象における時間雨量50mmを超える短時間強雨の頻発がある。これにより、堤防の決壊やバック・ウオーターなどの想定外の事態や、土石流など懸念された災害の発生がある。

 国土交通省も「高水治水」だけでは、公共投資も限界であり減災できないと気付いた。( https://www.mlit.go.jp/river/kasen/suisin/pdf/01_kangaekata.pdf )そこでの、対策は。インフラの強化だけではなく、リスクのあるエリアからの移転という提言に至っている。これはコンパクト・シティの観点からも安全かる効率を高め集約していく都市計画につなげる動きだ。もはや、住宅あまりの時代であり、自家用車頼みの住宅エリアも見直しの時代だ。

 「流域管理」により、リスクを明確に認識し、避難の備えをするのは、市民として必要だ。また、都市計画として、リスクの高いエリアの開発制限は必要だ。リスクがあり安いというのを梃に開発を再開されてはいたちごっこだ。アメリカの文献もある( 災害リスクの心理学 ダチョウのパラドックス         ハワード・クンレイター 、ロバート・マイヤー https://blog.goo.ne.jp/n7yohshima/e/9e713b142dde1966e765ff9621bd0c61 )

 あわせて損害保険の料率も、公平性の観点から地震、水害などのリスクを反映した料率とすべきと考える。何度も災害にあうエリアはそのたびごとに公共的支出が必要だ。果たして居住や生産に適するのかという疑問を抱かせる。

 住むエリアも、利便性や快適性の効用と災害リスクを天秤にかけ、公共・住民・産業が考えるべき、「人口減」の社会になりつつある

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