吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています

医師の証明 その3

2012年04月04日 06時41分39秒 | インポート

 途中で途切れてしまったが大分前の日記の続きである。大昔、先輩から聞いた話であるが、もちろんその話の真偽はさだかではない。その先輩の知り合いの医者の話であるが、ある地方で検死を警察から依頼された。現地に行くと顔見知りの警察官から「あー先生、どうも自然死みたいです。事件性はないようなので、面倒だからこのまま病死で検案書かいてくださいよ」といわれたので、そのまま検案書を「病死」としたそうである。ところが大分後になって実はこれは刑事事件だったようであり、その責任が追及されるにいたった。警察側は「先生からの診断では病死になっております。なので我々も捜査を打ち切りました。医師からの証明があったのでやむを得ません」と完全に責任を医師におしつけてきたのである。この話を聞いて医師の診断・証明とは医学を離れて、時に社会での種々の事柄の担保に用いられるものだと痛感したのである。この医師もうかつであったろう。「信ずるものは騙される」である。己がきちんと診察(検案)をしなかったための結果なのである。確かに現場での会話は証拠として残らない。残るのは書類としての公文書(私文書)だけなのである。怖いっ!