確かに20年前と比べて一般人の心肺蘇生を含めた応急救護は格段に増えてきており喜ばしいことである。しかしながら今でも応急救護に参加することは「勇気」なのかと痛感した。この最初の入り口であるモチベーションの部分が20年前と一向に変わっていないことを残念に思う。講習指導者は「勇気」ではなく、何事もなく当たり前のことを当たり前のようにしただけという感じになるよう指導していただけたらありがたいのであるが。それにしても、以前埼玉のある駅で乗降客が列車とホームの間の隙間に落ちて腰の部分がはまり込んでしまった事故があった。このままだとその傷病者は客車の重みで骨折してしまうかもしれない。そこに居合わせた乗客が一人二人と客車を支え始めたのである。そしてその数が数十人に膨れ上がり、客車はついに持ち上がり傷病者はたいしたケガもなく救出できたのである。朝の通勤時間のことであったが、わずか数分の電車の遅れのみであり(まあこの時間の遅れが短かかったこともすごいことであるが)、この救助に参加した人たちは「何事もなく」また通勤のため現場からいなくなっていったのである。この事例は個人が行った応急手当というわけではないが、おそらくはこのような「勇気」とは関係ない応急救護だってできるはずなのである。<o:p></o:p>