吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

相模原障害者施設殺傷事件 その4

2016年08月04日 06時31分32秒 | 日記
 まあ毎日、TVをみるとコメンテーターなどが今回の犯人の精神病理を解説している。確かにとんでもない許すことのできない事件である。犯人の身勝手な妄想で起こした大量殺人には言い訳や正当性などあるはずもない。

 ただ、今回ネットで自分の意見を述べた医師の深層心理は自分も頷けるものがある。
 今の世の中の正当性(というかスタンダード)から見れば、この医師の考えは「いだいてはいけない感情」なのかもしれない。でもかくいう自分でもこう思ってしまったことは何度でもある。

 人間は綺麗なものを見れば綺麗だと思うし、美しくないものを見れば美しくないと思う。不憫な状態をみれば不憫だと思うことも当然ある。「可哀想に」と彼らに対して憐憫の情を持ってはいけないのであろうか? そして何をしてもどんなに努力をしてもその不憫な状態を改善できなければその状態を「terminate」させてあげたら楽になるのではないかと思うことも止められない感情だと考えるのである。

 もちろん医師であってもそれを実行に移すわけではないが、医師が努力し治療をすることで本当にそれで本人も家族も幸福なのであろうか?と毎日自問自答するような現場は、やはりとても堪えられないのである。

 このような障害者に対する考え方は、医療人と、現場にほとんどタッチしたことのない人達では異なるのであろうが、何だか後者の人達が世の中のスタンダードを作り上げているような気がするのである。

 それにしても重い事件である。