吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

また産科事故 その2

2016年08月31日 06時03分21秒 | 日記
 この文面だけから判断するのは正しくはないが、陣痛促進剤の過量投与が「理由なく」大量投与したとある。医師が大量投与する場合、「理由がない」などということはない。陣痛が弱かったからだろう。もしかしたら、もう少し投与したら分娩に見合うだけの陣痛が得られるかもしれない、だからもう少し、もう少し・・・というのが続いて結果的に大量投与になったのかもしれない。
 しかし、この部分は医師のさじ加減の範疇と思う。あくまで能書のとおりの薬用量にとどめていて効果が得られなかったらすぐ投与を中止をすることははたして是なのであろうか? 「理由なく」と切って捨てる判決文はさみしい気もする。

 ま「た帝王切開もしなかった」とあるが、クリニックで手術の準備がすぐに整うのか? あるいは他院へ転送するにしても受け入れ先を探すにはこれまた時間もかかる。
 緊急帝王切開なんてのはものすごく母児ともにリスクの高い処置である。そう簡単にことがうまく運ぶわけではない。いずれにせよ正常分娩含め出産はかなりの程度の危険性をもった「大仕事」なのである。病気ではないのであるが常に死の危険と隣り合わせの大仕事である。