吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

相模原障害者施設殺傷事件 その2

2016年08月02日 05時57分13秒 | 日記
 この最後のくだりで「自分と犯人の価値観はどれほど離れているのか」とあったが価値観はまるで違う。犯人の価値観はこれら障害者を抹殺することが世の中のためになると思っていることである。常人ならここまで考えない。
 
 犯人とこの医師の価値観は全く異なるが、しかし観点を変えると確かに自分もこの医師と共通する深層心理がある。
「ただただ生きているのが気の毒としか思えなかった」という思いである。障害者に対しての憐憫の情をもつのは何かタブーであるような世の中の流れである。でも自分の感情の中にも処理しきれないところの演算エラーとしてどうしてもそれが出てきてしまうのである。

 自分はこの医師のような本当の障害者施設に勤務したことはないが、外傷後や脳血管障害後の高次脳機能障害患者の管理をしたことはある。いわゆる植物状態の患者さんである。

 彼ほどではないが実際現場で見てきているつもりである。ここで自分の治療の手を抜けば、目の前の患者さん本人も家族も、ある意味「早く楽になれる」のではないかと何度も思った。
 でも自分は神ではない。よくマスメディアが、手術の上手い医師をつかまえて「神の手」などと称しているが馬鹿者といいたくなる。気安く「神」などという言葉を使ってほしくない。
 最近では対応の仕方が優秀だと「神対応」だとか、人気上位7位のAKBアイドルを「神セブン」と言ったりするようだ。 
 何だか最近では随分、神様が大安売りされているようである。