吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

杉並区健診で肺癌見落とし その1

2018年11月30日 05時23分26秒 | 日記
 肺癌が見落とされた結果40歳の女性が亡くなったと報道されている。朝の情報番組ではその時の胸部X線が供覧された。でも自分もその映像をみたがその所見をpick upするのは極めて難しいという印象である。
 もちろんCTスキャンを撮ればあきらかなのだが、いかんせん区の健診で単純胸部X線写真1枚なのでこの程度のものでは診断精度に限界がある。現状では診断医のhuman errorということにされてしまうが、これは診断医の能力というよりも、「ん、ちょっと気になるな」という勘がはたらくかどうかである。

 しかしながら診断医の専門性もネックになる。たとえばあまり胸部X線読影になれていない医者の場合は、比較的「要精密検査」にまわす症例が多くなる。これは「自分の技量の低さで見落としてはいけない」という安全弁が働くからである。
 でももちろんこの場合全例「要精密検査」にして全例CTにまわせば見落としは無くなるが、これでは「健診」ではなくなってしまう。